日付: | 2016年5月29日 |
場所: | ヘングスト峠(Hengstpaß:標高987m) | 地域: | オーストリア(Austria Republic) 上オーストリア州(Oberöstrreich) |
訪問地: | St. Pankraz parking area(A8), (car), Windischgarsten(602m), (R31:Nationalpark Kalkalpenweg), Rosenau am Hengstpaß, Hengstpaß(987m), Egglaim, Hengstpaß(987m), Windischgarsten(602m), (car), Wien |
|
夜中に何度か目覚めた。年齢のせいか、若干、頻尿気味で夜中には良く目覚める。バン型乗用車での車中泊の難点は、やはりスペースの狭さだろう。特に、自動車の出入りが不便である。後部座席を前部倒してフラットにしていることから、天井が低い。天井が低いとフラット面に背を伸ばして座ることができない。この状態で後部ドアを開けるのはかなり難しい。
いずれにしても何度か目覚めたが、これはアパートのベッドで寝ているときも同じである。 午前6時には起きあがった。着替えをして自動車の後部のゴタゴタの整頓をする。エアマットの空気を抜いて寝袋を畳んでバックに詰め込む。そして分解してあった自転車を組みたてて出発準備は完了である。簡単なものである。 食べ残しの昨日のパンと缶詰を一つ食べて朝食代わりにする。実は、どこでも良いが日曜営業のパン屋を町で見つけて、そこでコヒーを飲みながら作り立てのパンをしっかり食べたいのである。朝食の二度食べになるが、どんなカフェに入れるかも興味津々なのである。 |
![]() |
|
昨日の時点で、今日は山登りにするか或は自転車による峠登りにするかを決めてなかった。行動予定をガチガチに立てて、その通り行うのは、それはそれで良いが、意外性が計画に押されてしまい、楽しさが半減してしまう気がする。別にカッコをつけているわけではないがギリギリまで、できる限り決めないようにしている。
昨日は、標高で2000m程度まで登った。まだまだ山には雪が残っている印象だった。昨日、攻めたスキー場の近くに標高1700m超の徒歩でアクセスする峠がある。登山道を登っていく道だが、ちょっと不安が残る。と言うことで、急遽変更して近くにある標高1000m程度の峠を自転車でアタックすることに決めた。 |
![]() |
|
ウィンデッシュガルスタイン(Windischgarsten)の街に入ると、ビラ・ゾーンベンド(Villa Sonnwend)という立札を見つける。古い館らしい。午前8時、爽やかな朝の時間だ。どんな館だろうと興味を持って、少し寄り道をしてみることにする。
館の入口に1kmほどの進入道路があり、道路の両側に幹の太いマロニエの木が並んでいる。新緑が朝日に映えて、とても感じが良い。その道路を老夫婦二人が、ノルディックウォーク杖で、ゆっくりと歩いている。その二人を自転車で追い越す。 ビラは、薄黄色のペンキで壁を塗られた立派な建物だった。建物は宿泊施設として使っているようで、何人かの人が家の前を散歩していた。こんな立派なビラで宿泊する人もいれば、パーキングエリアで車中泊する人もいる。ひとそれぞれの好みだろうが、世の中の仕組みをどことなく考えさせられた。 |
![]() |
|
地図上で観る限りウィンデッシュガルスタイン(Windischgarsten)は、結構、大きそうな町だった。この町の規模になれば、日曜営業しているパン屋もあるだろうと思い街を自転車で散歩する。経験からして日曜営業の店は街の中心部にある教会近くに多い。教会近くをブラブラしてみる。
まずパンの入った袋を持った50歳絡みの男が歩いているのを街で見かける。歩いているということは近くだろうと推測する。ドイツ語をもう少し勉強していれば、この男に質問してみるのだが、やらなかった。次に、自転車で街の通りを走りすぎて行く一人の男を見かける。恐らく、彼の進む方向にパン屋があるだろうと考える。その男の後を追ってみる。 そのパン屋は、やはり教会の近くの広場に面したところにあった。数人のお客が店の中にいた。開店しているパン屋カフェである。 店に入ってコヒーが飲めるかどうか聞くと、いいよと言ってくれる。店の中に進んで、テーブルに座る。テーブルの上には、花が飾ってある。立派なカフェである。 |
![]() |
|
ウィンデッシュガルスタイン(Windischgarsten)の街を抜けるところで、街頭に看板を一つ発見した。実は、先週の日曜日にオーストリアで大統領選挙が行われた。右派候補者と左派候補者の大接戦で、結局、50.3%対49.7%で、右派候補者が勝利した。看板は、接戦で負けた右派候補者のポスターだった。
移民問題はオーストリアでも大きな問題になっている。地理的に欧州の中央に位置していることから、色々な民族が混じり合った歴史がある。したがって、移民には寛容な国のように見えるが、20世紀の初めに「Nation(国家)」という観念が芽生えた以降、急速に「我が国」という考えが民衆に根付いた。 EU統合以前は、日本と同じくらい帰化が難しい国と言われるまでになっていた。そして今回の大統領選挙で移民に寛容な候補が僅差で当選した。オーストリア、そして欧州は、これからどうなっていくのであろうか。 |
![]() |
|
午前10時前に登り始めた。峠に至る道路は、車通りの多い国道だった。グループで走るオートバイク、自家用車が猛スピードで追い抜いていく。注意して走らなければならず、気を抜けない時間が続いた。
海抜600mから海抜987mまでの登りである。この登りは、ある意味、朝飯前程度のものだった。ただ、昨日の雨の湿気が山間に残っているのだろうか、とにかく汗が額から流れてくる。これが夏の峠登りだと実感する。 |
![]() |
|
午前11時には、峠に到着する。この峠は親切で、道脇に「海抜987m」との看板が掲げられていた。峠登頂の記念撮影をする。
峠登頂後は、自分への褒美で、一服がてらコヒーでも飲もうかと考える。幸いにも、一軒のお店が峠にあった。店の入り口に「アイス」の表示が見える。自転車を適当な木に括り付けて鍵をかけて、店の中に入る。 店は、お土産屋さんだった。Tシャツやら、絵葉書やらが綺麗に台の上に並べられていた。店の奥に冷凍ボックスが見える。 冷凍ボックスの蓋をあけるとボックス底にカップ入りのアイスクリームが並んでいた。イチゴヨーグルトアイスの一種類だけである。他は何もない。結構、本格的なアイスでイチゴが50%、ヨーグルトが21%だとカップ横に張り付けられたラベルに書かれている。作った場所は、インゼルスドルフ(Inzersdorf)という村で、ここから20km〜30km離れたところにある。値段は2.4ユーロ(300円)だ。 レジには、見かけ30歳前後の髪の短い金髪女性が座っていた。電話でのお話しに夢中で、私がレジ前にいるのにもかかわらず、ずっと受話器に向かって話しをしていた。私は2ユーロと50セントのコインを2つレジ前のテーブルに置く。 女性は、受話器を肩と首に挟んで、レジスターから10セントコインを私に返してくれた。「スプーンは?」とジェスチャ−で尋ねると、ジェスチャーで蓋に入っているとジェスチャーで返してくれた。面白いもので、お互いまったく言葉によるコミュニケーション無しで、ジェスチャーだけでことが済んだ。さすがに2.4ユーロのアイスだ。甘く、とても美味しいのである。 |
![]() |
|
峠は、自転車乗り、バイク乗り、自動車と多くの人が入れ替わり立ち替わり訪れる。面白いことに、それぞれ、体形がパターン化できるのである。「趣味は体形を作る」とはよく言ったものだ。まずバイク乗りは、大抵は、皆、太っちょだ。どうだろう男でも体脂肪が40%近くありそうなのがゴロゴロいる。自転車乗りは、一般的に痩せていて脚が綺麗だ。そして背が高い。自動車で訪れる人は、大概は、年寄りだ。
峠の南側には、細い舗装道路が伸びていた。そこから見下ろすアルプスの山々は、結構、迫力がある。上天気の御蔭で遠くまで見渡すことができる。誰がその道を登っていくのだろうかと観察してみる。すると何人かのサイクリストが坂を、エッサエッサと登っていく。それではと私も、好奇心を持って登ってみることにする。 舗装道路は、すぐに下りになる。両側を深い森に囲まれた谷道を降りていく。何人かのサイクリストとすれ違う。女性もいる。この先に何がるのだろうと考える。地図には何も載っていない。 |
![]() |
|
農家が一軒あり、そこで舗装道路は終わっていた。その農家は、どうも山小屋らしく食事の提供をしているらしかった。
農家の庭の日当たりの良いところで、何人かが、ビールを飲みながら談笑していた。あんな日当たりで、しかもビールを食らって大丈夫かいなと心配するほどである。あんた達、自動車でここに来たのではないのと問いかけたいものである。 砂利道をいく。細いタイヤは辛い。ただ、道が面白いように蛇行していた。これはとても絵になる風景だと感心する。 結局、今日は、砂利道を奥深くまで行くのは止めて、アイスクリームを食べた峠まで戻った。時刻は、正午を回ったところだった。 |
![]() |
|
ウイーンまでの帰りの距離は260km。私の運転はゆっくりだ。恐らく3時間はかかるだろう。
タオルに水を浸し、そのタオルで体を拭く。そして帰り支度をしていると一台のパトカーが近くに停車していることに気づいた。一人のアラブ系の若者に職務質問をしているようだった。その若者、ドイツ語はまったくダメなようで、大声で警察に、何かを説明をしていた。結局、理由はわからないが、警察官は、なんでもなかったようにパトカーに戻る。そしてパトロールを続けた。若者は、自然な足取りで道路の歩道を歩いて立ち去った。何なんだろうあれは一体。 ウィーンの自宅に帰り、体重計に乗る。デジタルの数値は57.7kgを示す。そしてトマトを肴に500mlの缶ビール2本を空ける。体重は、59.5kgに増えた。その後、体重は変わらなかった。不思議なものだ。缶ビール2本分の水は、どこに行ってしまったのだろう。 |
![]() |