日付: | 2016年5月8日 |
場所: | アルム湖(Alm:標高589m) | 地域: | オーストリア(Austria Republic) 上オーストリア州(Oberöstrreich) |
訪問地: | Lindachparkingstation(Wienside), (car), Sharnstein(486m), Grünau, Almsee(589m), Der Röll(808m), Almsee, Grünau, Sharnstein(486m), (Car), Wien |
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2泊目の車中泊は、1泊目と同じパーキングエリア内だが逆方向だった。土曜日の夜なのに、長距離トラックを除けば、閑散としていた。私の自動車は、大型貨物の間に隠れるようにして駐車した。できるだけ目立たないようにするのが鉄則だ。
隣の貨物トラックは、ブルガリアナンバー。このトラックの面白いところは運転席横にパラボラアンテナが設置してあることだ。旅慣れているようで、運転席の窓は光を入れないように厳重に遮光され、安眠のためのノウハウは万全のように見える。 高速道路のパーキングエリアは、いつでも大型貨物トラックで溢れている。トラックのナンバープレートを観ると、これぞよく揃ったりとヨーロッパ各地のナンバーが並んでいる。そして、運転手は、だれもかれも一様に若い。聞いた話だが、ドライバーは体力を要する重労働だと言う。給料はオーストリアやドイツと比べて、東欧諸国では半分。それ故に、長距離トラックの運転手の出身地が東欧諸国であることにはうなづける。 |
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例によって朝食は町のカフェだ。自動車の中でも簡単な朝食は摂った。だが、これは、パンとジュースの味気ないものだった。しっかりとした店で、熱いコヒーを飲みながらゆっくりとしたいものである。町の名前はシャルンスタイン(Sharnstein)、店の名前はミターマイヤー(Mittermaier)。町の真ん中に営業するパン屋兼お菓子屋で、店の奥にカフェがある。
「コヒーを飲みたいが、飲めるだろうか」とカウンターの中にいた40才過ぎのおばさんに尋ねる。どうぞどうぞと店の奥を指さしてくれる。カフェには、やせたオジサンと娘さんらしき女性がいた。そして一人の客もいる。このお客、タバコを吸っている。オーストリアはタバコには寛容な国だ。店の中でも結構、喫煙する人を見かける。 娘さんが、席の前に歩いてきて注文はというような顔を見せる。旅行ブックに載っている例文を、たどたどしいドイツ語で、そして相手の目を見て言ってみる。「普通のコヒーとクロワッサンを一つ」。これは通じた。 |
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走り始める。目指すは、シャルンスタイン(Sharnstein)の町から15km程南にあるアルム湖(Almsee)だ。高低差は、486mから589mへ。たったの100mだけである。これは楽に見える。ただし、期待していた自転車道は見当たらない。今日も快晴。空がとても高い。こうなるとサングラスやら日光対策を真剣に考え始めないといけないたと考えた。
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グルナウの町に着く。近くにスキーリゾートがある。それで町は賑わっているようだ。
町の中に一軒の家があり、その家の前に掲示版があった。そこに、戦死したであろう10名程度の遺影が張り出されていた。いくつかの死亡通知のようなものもある。どの写真も、正装した若者ばかりで戦地に行く前に撮ったようだ。当時、オーストリアはドイツに併合されていたから彼らはドイツ兵として戦ったはずだ。私は戦争映画でしか戦闘シーンを観たことはないが、目の前にある遺影写真を前にして、多くの若者が出征前に写真を撮っていたかと思うといろいろと考えさせられることが多い。もしこの遺影となってしまった若者達が、今のEUを観たらどう思うだろうか。 |
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周りには峻険な山々が聳えるが、道路はいたって平坦だ。ここ1カ月ばかりチェコ共和国の田舎を旅していた。久しぶりのオーストリア国内の走りだ。そして思うことが一つある。
オーストリアの道路沿いに並ぶ家々は、どこもとても綺麗だ。道路もしっかりと造られている。チェコとは大違いだ。オーストリアという国の、この豊かさはどこから来るのだろうか。国の豊かさは、結局のところは、その国の政治の良し悪しだろうが、どうも最近は、そんな簡単な理由ではなくて、もっともっといろいろな要素が絡んでいるような気がしてきた。 例えば、EU内という観点で見てみよう。人・物・金が自由に行き来できるようになってもう20年以上が経つ。これだけ時間があれば、富から貧にお金が流れて均等化されていると思えるのだが、そうはなっていない。富とは、その国の歴史から染み出てくる何かが影響しているようで、そう簡単ではないように思える。 |
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アルム湖(Almsee)に着く。澄んだ水をたたえる湖があり、その後方に雪を抱いた山々が並ぶ。どこか上高地を思わせる風景だ。
道路はここで終点だ。大きな駐車場があり、レストランが見える。快晴に誘われて湖畔の森歩きを楽しみにやってきた人々が多いように見える。少し異様なのは、駐車場に観光バスが一台も見えないことだ。美しき湖畔に、これだけの人が集まるのだから団体客がいても良いように思えるのだが。その答えは駐車場にあった。どの車もオーストアのナンバープレートばかりだ。要は、地元の人しか来ない場所だ。 |
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この湖畔から山奥への道は、自転車も通行止めだ。山の中へ入って行きたい人は、ここからは登山道を歩くことになる。自転車に鍵をかけて出発する。目指すは雪渓残る山の中だ。衝動的に2.5ユーロで買ったアイスクリームを舐め舐めしながら、還暦男が一人、山道を歩いていく。
登山道の新緑が、一部、こげ茶色に変色していることに気づく。新芽が霜にやられたように見える。この程度なら木は枯れないだろうが、新緑にむせ返る登山道ではなくて、枯れ葉残る登山道という雰囲気だ。 面白いもので、高度が700mを超えるとこげ茶色の枯れ葉が見られなくなる。どの木も芽吹いたばかりの新緑だ。推測するに、霜が降りた時点で高度700m超では、まだ新芽が芽吹いていなかったのであろう。新芽のタイミングが良かったようだ。 |
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登山道は、しだいに細くなる。そして最後は、がれきばかりの道になった。一つの標識を見つける。登山道の分かれ道のようだ。ここの標高は808m。見上げると滝があり、その滝の下に残雪が見える。
あの残雪のある場所まで行って、昼飯にしようと考える。雪はすごい勢いで溶けている。この残雪も、あと数週間の命であろう。 絶壁の下で日陰を見つけて腰を下ろす。すると、絶壁の中あたりで、数頭の カモシカ(?)らしきものが動いていることに気づく。まあ、何を好んであんな急斜面にいるのだろうかと思うが、その移動がすごいのである。急斜面を勢いよく動くのである。もし、足でも滑らせたら、死んでしまうのではないかと心配するほどの速度だ。進化の法則で、足を滑らせたら死んでしまう。それ故に、足を滑らせない親だけが子孫を残す。そのような淘汰の力が働けば、急斜面走りの名人だけが残るのであろう。自分で変な理屈を並べて、納得する。 |
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午前11時に湖畔を出発した。標高808mの残雪地点に達したのが12時半だった。1時間半を要したことになる。写真を撮るために何度も休憩したが、結構、歩いた。その道を帰りは一時間で歩いた。
駐車場は、すごい数の自動車だ。5月から10月まで、アルプスの観光シーズンは始まる。 |
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