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さあ、走り始めだ。これから、ずっと続く長い旅の始まりだ。 実は、ずっと夢心地だ。もうヨーロッパを走ることは二度とないと思った。2年前が最後と思った。ところが、
ここでこうして自転車に乗って走っている。日本の土地ではない。ここは広い欧州だ。
人生、明日がどうなるかわからない。人生は浮き沈みだ、まだら模様などと表現される。まさにそれを実感する。 「来年の話をすると鬼が笑う」とはよく言ったものだ。来年のことなどわからない。 明日の命があるかさえも、計算できない。。時は、止まることなく過ぎる。人は死に、新しい命が芽生える。 |
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しばらく欧州を走っていないので、この感覚を忘れていた。道を歩く時と、自転車で歩く時は、要注意だ。
それをすっかり忘れていた。右足先、自転車のペダル、そしてなぜかズボンの右裾に犬の糞がついた。
折からの雨で、糞はベトベトに濡れている。これはやっかいだ。しだいに、臭いだす。持ち合わせのティッシュは ない。これは困った。街に落ちている紙で、何とか糞を取り去るがきれいに取れない。ほんとうにこれは「糞たれ」だ。 |
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上り道を、ゆっくりと漕いでいたら、日本語の看板を見つけた。なんでも、東京の世田谷との姉妹公園とかいてある。
なるほどねえ。こんなところにねえ。
そんな看板を見ていたら、横にパトカーが止まった。どこかの人が、車上狙いでやられたようだ。車の右のガラスが こなごなになっている。まあ運が悪いと言えば、悪いのだろうが、かわいそうなものだ。 |
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地図で確かめながら、街並みを進んでいく。すろと突然、ぶどう畑が現れた。
フランスの田舎ならよく見る風景だが、この街の中にあるとはねえ。
ウィーンの街から北方に見える山々がブドウ畑とは知っていたが、ここで栽培できるのだなあ。それも南ダレのみ ならず北ダレの斜面にもぶどう畑が広がる。 |
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どうも張り出されていた看板情報によると、一株毎に、パトロンがいるらしい。
なんと誰の名前かと思ったら、ロシアの大統領のプーチンさんではないか。
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ずっと雨続きだった。ところが今朝、起きたら雨は止み、星が見えていた。
よし、自転車に乗ろうと決断した。
時折、雲間から太陽が見える。雨に濡れたブドウ畑が光る。美しい風景だ。
こんな風景が見られるとは、もしかしたら、俺は、どこかで事故に遭い、天国を旅しているのかもしれない。
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坂を上りきると、頂上近くになったようだ。平坦で走りやすい道になった。
ウィーン市街から見上げることができるということは、山の上からは見下ろすこともできる。
しかしウィーン市内は、なんとまとまりがないのだろう。変なタワーがそびえ立ったり、巨大な建物 が無造作に並んでいたりと、これは東京並だ。 |
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12月。ぶどう畑にも作業場にも誰もいない。まあ、祭日だからそんなものだろうか。
閑散期に繁忙期を思うと、「国破れて山河在り」を感じる。この世に永遠はないようだ。
栄えれば、必ず廃れる。人の一生もそんなものだろう。
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ヌスドルフへの下り道で、ちょっとしたブドウ畑を見つける。そこからは、ウィーン市内を見下ろす良い場所で
ある予感がした。
ところが、北側をフェンスで囲い、その向こうに大型のブルドックが現れた。敷地内に放し飼いにしてあるようだ。 その犬が、怖い声で唸るのである。これは怖いと感じて、一目さんに逃げた。どうも今日は、犬の糞といい、犬の 吠え声といい。良くない日だ。 |
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壁はペンキを何度も塗り直してあるようだが、とても古そうな街並みだ。
道幅も狭く、車は方々通行だ。これはいい街並みだ。
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今どこにいるかわからず、取りあえず、地形的に低いドナウ川方面を目指す。
するとヌスドルフ駅の前に出た。大きな立派な駅だ。古そうでもある。
ウィーン市内から数キロの距離だ。でも、すごい田舎の雰囲気が漂う。
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ここからウィーンの中心街を流れるドナウ運河が始まる。微妙な水量を調整しているのが、このダムだ。
名前はわからない。しかし思うに、ドナウ川は、ずいぶん人工的にいろいろと改変してあるようだ。これでは
洪水も、まあ起こらないだろう。
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