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今年一番の寒い朝だ。昨夜は、ベッドで寝ていると、シトシトと雨音が聞こえた。
起床し窓の外を眺めると星が輝いているのが見える。絶好のサイクリング日和の兆しだ。 天気予報で寒くなるとは知っていた。防寒対策だ。つま先の冷えを防ぐために、 ビニールの袋を靴下の上に履く。そして厚めの手袋を準備する。頭は毛糸の帽子だ。 シャンティー(Chantilly)で電車で降りる。西方に向かう。とても寒い。 サイクリングを楽しむというよりも、耐寒訓練をがまんして行っている感じだ。 途中、車が三台、スリップして側道にぶつかっていた。恐らく、路面凍結によるスリップ事故だろう。 自転車のタイヤを滑らせないようにして注意して走る。 |
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今の季節、フランスのどこの街もクリスマス一色だ。イルミネーション、サンタの人形などが
いろいろなところで飾られている。
クリスマス祭りは、田舎の街が一番だ。何といっても、手作りで、素朴である。市庁舎の前には、 巨大なサンタクロースの風船が、ドーンと飾られている。繊細さはないが、とても素直なところが良い。 |
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オワーズ川を離れ、周辺の高台に上がる。一面の畑にダートの道が続いている。
冬のこの季節、空は思いっきり晴れ渡っている。 冬の朝、まだ明けぬ空の下を、寒さに耐えながら、ここまでやってきた甲斐を、つくづく感じる。 来てよかった。 北緯49度、もうすぐ冬至を迎える太陽光線は、どことなくひ弱な気配だ。 |
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無風状態だ。凍える寒さだが、水たまりの水は凍っていない。
ハイカー用の道しるべの下に、 半分に割られた丸木の破片があったので、そこに腰を掛けて休憩。日向にいると、 体にあたる太陽光線で暖かさを感じる。 遠くに浮かぶ、ちぎれ雲の形が、時間が経つにつれ、変わっていくのがわかる。ずっと眺め続ける。 不思議に落ち着いた気分になる。 今の季節、太陽がしっかり輝いているのは、正午から午後2時までの短い時間である。 |
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この季節、夕暮れは早い。早帰りである。
午後3時、クレル(Creil)の街は、どことなく寂しい。 この街は、第二次大戦後、鉄鋼で栄えた町だ。急激な産業発達で、必要な労働者を海外から多く 集めた経緯がある。やがて鉄鋼業がすたれ、自動車工場や印刷工場も閉鎖を与儀なくされる。 残ったのは、大量の失業者の群れである。終戦近くにアメリカ軍の空襲を多く受けたせいか、 歴史的な建造物は少ない。せっかくのクリスマスというのに、気のせいか、街を行き交う人々に元気さが感じられない。 |
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