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対テロ対策のためだろう、空港や駅で、武装した軍隊をよく見かける。多くの場合、彼は3人組みで、機関銃を所持して駅や空港を巡回する。見た感じとても怖い存在である。
出発駅(パリ・リヨン駅)には、1時間も前に着いた。早く着きすぎた。何もすることがない。午前7時50分発のTGVを待つ。輪行袋は結構、かさばる。体から3m程離れたところに立てかけて置いた。 待合のベンチにボケーっと座っていたら、この武装した軍人に声をかけてきた。これはびっくりだ。軍人は私の荷物(自転車)を見て「この荷物は、おまえのか?」「そうです。」「なら、問題ない。」 短い言葉であったが、接する態度は穏やかで、静かなものだった。そのまま、どこかに連れていかれそうな怖さを感じたが、見かけの割に優しいところがある。 10時過ぎにTGVは、バランス駅に着いた。実は、風邪を引いたときに、マスクをするのは日本だけと思っていた。ところが、同じ電車に風邪を引いたらしいフランス人風の青年が、ゴホゴホしていた。なんとその青年は日本人がよくするマスクをかけていた。なるほど日本の文化も、どんどん国際化が進む。 |
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実は、バランス市に着くまで知らなかったことがある。パリを出発したTGV(高速鉄道)のすべては、バランス市の中心街から10kmほど離れたところにあるTGVバランス駅に停車するものと思っていた。ところが、このTGVは、バランス市の中心街に停車した。なるほどである。軌道が一般鉄道と同じであるメリットをいかし、こんなこともできるのかと感心した。
駅前で、自転車の組み立てを始める。途端に、どこかのオバサンがに道を尋ねられた。 生まれた初めてこの地に降り立ったのに、それは分からない。「残念だが、私も、初めてこの地に来たばかりだ。他のひとに訪ねて欲しい」と答える。 駅前のメインストリートを5分程進むと「5月公園」だ。そこからの眺めがすごい。 ローヌ川(le Rhône)川はゆっくり流れ、その向こうに石灰岩でできた崖、その頂上に廃城のクルーソル城(château)が見える。天気は快晴。 |
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バランス市(Valence)からローヌ川(le Rhône)を渡ると、行政区がドローヌ県(Drône)
からアルデッシュ県(Ardéche)にに移る。ローヌ川の平原地帯から標高500m程度の山々が続く山岳地帯に入る。
ソイオン(Soyons)の村で、サンドイッチ、コーラを調達し、一路、トーロード村(Toulaud)を目指す。なだらかな丘が続く。途中、景色のよい道端に座り、買ったばかりの昼食を食べ始める。
のどかな田舎風景である。 もし、この地に生まれていたら、俺の人生、どうなっていたのかなあとトリトメもないことを考え始める。 |
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欧州には2,000m級の峠が至る所にある。天気がよければサイクリストだらけになる。それはそれでよい。アイウス峠(Col des Ayes)は、高々200m程度の峠である。というか、10万分の1の地図には表示されていない峠だ。
近隣の人々の生活の場のど真ん中にあるところが面白い。それに、この「風景の渋さ」が良い。 峠を抜けて、ダウンロードを下ると森に入る。その森には、椎の木、クリの木、杉が生える。どこかで見たような景色だ。ちょうど日本の房総半島の森の中を走っている錯覚を覚える。 今は秋。ちょうど、クリが実る季節だ。道端沿いにはイガグリがボトボトと落ちている。それを誰も拾わない。 文化の差を感じる。 |
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好天である。道の白さがまぶしい。ロティソン峠(Col de Rosisson :425m)に到着である。日陰に入って、水筒の水を飲む。時刻は午後2時30分を少し回ったところ。このまま、下界に降りてしまうのがもったいない気分になる。
ただ、久しぶりの走りだ。情けないことに足への負担も、結構、来ている。若者が一人、自転車で目の前を走りすぎた。なんと、私とまったく同じ自転車である。 秋の昼下がり、ゆっくりダンヒルを楽しもう。 |
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