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夜行列車の出発は午後10時だ。午後9時にはオーストリッツ駅に着いた。
駅の写真を撮ろうとカメラを探す。見つからない。アパートに忘れてきた。
なんたる大失態。これでは戦場に行くのに銃を忘れていくのと同じだ。 今からアパートに取りに帰っても、もう間に合わない。 幸い、携帯電話は持ってきたので、記録用には使えるが、ほんとうに悔やむ。歳のせいかなあ。 |
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午前8時半には、ブリアンソン(Briançon)駅に着いた。駅内のブッヘで朝食を済ませる。
さっそく自転車を組み立てて走りだす。
途中、カルフールのスーパーを見つけたので、ビールと昼食を準備。準備万端。 イゾアール峠(Col d’Izoard)への道もすぐに見つける。何か、コロコロと物事がうまく運ぶ。 このレース用自転車で、ヨーロッパの峠に挑戦するのは、初めてである。 数日前に、実は数日前に、後輪の変速機の調子がおかしいので、アパート近くの自転車やに持っていって修理してもらった。自転車屋のおやじは、慣れた手付きで、「アイヨ」と言って、すぐに治してくれた。要した時間は1分。まさにプロの技を見せたもらった。無料かと思ったが、ちゃっかり5ユーロ(600円)の修理代を請求された。 |
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標高1200mの鉄道駅を出発して、標高2360mのイゾアール峠に着いたのは、午後1時を回っていた。
午前9時に走り始めたから、ざっと4時間の格闘だった。何人ものサイクリストに追い抜かれた。 残雪残る峠道を、ひたすら漕いだ。押した。そしてやっとたどりついた。 雪から反射する紫外線で日焼けしてしまいそうだ。 峠には、先に追い越していった2人のサイクリストがいた。「やあ、辛い。やっと着いた。」と声をかけた。 「一人が、本当に苦しいなあ。」とつぶやいた。「来た道を帰るのか?それとも、このままいくのか」と聞かれた。 やあ、疲れた。もう、このまま来た道を帰るよ。と返事した。 |
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峠登りは、達成感が大事だ。このために、エイコラエイコラと汗を流す。
山の上に立って、来た道を振り返る。
なぜか、降りるのが嫌になってしまうのである。
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下り道は、単調な舗装道路を外れて、ハイキング道を下った。
高山植物が咲き乱れ、何か、自転車で挽いてしまうのが、かわいそになってきそうな道だ。
ところが途中から、天気が急変し、雨がパラパラし始めた。先ほどまでの上天気が嘘のような、空模様となった。 今回は、カメラは忘れたが折り畳み傘はもってきた。これが本当に役立った。 自転車には乗れないが、雨は防げる。 幸い、風は弱いので、しっとり濡れた森の中の散策となった。これはこれで良い。 |
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