![]() |
正直、ルルド(Lourdes)と言う町が、キリスト教の巡礼地であることを知らなかった。
街のあちらこちらに立っている看板に書かれていることを総合すると、19世紀の半ば、それまで、ピレネー山麓の小さな寒村が、 聖母マリアを見たという少女の出現により、今では、年間500万人の巡礼者が、この街を訪れるという。 街じゅうの至る所にホテルが林立し、見た感じ熱海か箱根の様相である。ただし、当然のことながら歓楽街というものがこの街にはない。 私の泊ったホテル(Les Graces de Marie:一泊20?:2300円)は、バスもトイレも共同の質素な巡礼者用のものだった。 |
![]() |
![]() |
昨夜、ホテルに着いた後、街の下見をした。そして、今日は、トルマレ峠(Col du Tourmalet)まで行くことに決めた。
そこに行くには、ルルド(Lourdes)を朝8時15分に出発し、ルズソーベール(Luz-St-Sauveur)のバス停で下車し、そこから自転車で、一気に
峠まで登ることになる。
かなりハードである。標高差は1500メートルだ。昨日の足の痛みが再発しないことを願うのみである。水、食料はしっかり持った。 |
![]() |
![]() |
ルズソーベール(Luz-St-Sauveur)行きのバスには、数人が乗車していた。
10月、もう季節外れなのだろう。バスの運転手は親切で、荷物の出し入れを手伝ってくれる。人が少ないから手持ち無沙汰なのだろう。
ところが、ピエールフィットネスタラ(Pierrefite-Nestalas)の村を過ぎると、あたりは急に山がちになり、うっそうと暗くなった。
運転手は、この急峻な地形をぬうように進む道路は、慣れたものらしく、すごいスピードでぶっとばした。 いやはや、寿命が縮む思いである。 バスは、9時過ぎに、ルズソーベール(Luz-St-Sauveur)の街に着いた。 長い苦行の始まりである。 |
![]() |
![]() |
バレージュ(Barèges)の村に着いたのは11時頃に着いた。この街は温泉で有名とのことである。ここから本格的なのぼりになる。
朝食は、宿泊したホテルでしっかり取ったが、どうにも腹がすいたので、パン屋に寄ってパンとコーラを買う。 街のベンチで、パンを食べながら 地図を観ていたら、雑誌屋(写真左の店)のおやじがやってきて、「この自転車で、峠に登るのか?これはすごいぞ。お前は、チャンピョンだ」と持ちあげてくれた。 それどころではなく、店の奥に入って奥さんを呼んできて、あれこれ私を見ながら話を始めた。 そして最後には、店の売り物の絵ハガキ1枚持ってきて、「記念にこれをプレゼントする」と言って、渡してくれた。 なんと親切なおじさんなことか。 |
![]() |
![]() |
標高1500メートルを超えると一帯は放牧地となる。そしておかまいなしに、牛が我が土地のごとく、のんびりと歩いている。
変速器のない自転車で勾配5%以上の坂を登るのはとても辛い。 だから、押し登りである。 幸いなことに、自転車の自重が軽いことが助けになる。 |
![]() |
![]() |
さすがに標高2000メートルを超えると風が冷たい。最後は、勾配10%の登りで、押し登りは終わった。
ついに、到着である。峠を超えると、別世界の風景が目の前に広がった。この感覚がなんとも言えない。
1400メートルの押し上げで、脚は悲鳴をあげている。特に、左足がひどい。こんなに、痛みを感じるのは久し振りである。 でも、後は、下りだけだから、なんとかなると楽観視。 |
![]() |
![]() |
念願のピレネーである。やっとの思いで到達したこの地。
下りはあっという間である。バレージュ(Barèges)の村には、午後4時には着いた。 天気が下り坂で、途中、ぱらぱらと雨が降り出した。帰りのバスの運転手が、明日の天気は悪いとブツブツ言っていた。 |
![]() |