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(八王子市小津)
八王子駅では小雨がぱらついていた。山梨との県境側の山々は雨雲に覆われている。あれれ、これで大丈夫かなあと心配になる。今日は天気予報を信じて雨具は一切、持っていない。 地形の起伏が豊かになる小津川辺りは、まだまだ都会の開発から逃れているのを感じる。木製の橋、生い茂る紅葉の緑、川面から立ち上がる霧、突然の幻想的な風景に、つい自転車を停めて見入ってしまった。しかし、この風景はすごい。 |
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(八王子市恩方)
野菜の「現地即売」をよく見かける。大概は、道路に面した場所に簡素な台を置いて、現地で取れた新鮮な野菜を売るものである。午前9時前に、童謡「赤とんぼ」を作詞した中村雨紅の生誕地という恩方に付く。ここで大根、インゲンなど朝採りした野菜を売るスタンドを見つける。 店番をしているのが小さな女の子で、母親に命じられたらしく嫌々やっているのがミエミエなのである。最近、見かけなくなったほのぼのしい光景だ。「お駄賃いくら?」って聞いたら、怖いおじさんを警戒したらしく無言であった。 |
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(和田峠の手前1km)
新東京バスの終点を過ぎると道が極端に細くなる。と同時に10%前後の登りが始まる。おじさんの脚力では、とても耐えられない。すぐにギブアップである。また根性を出して立ち乗りをする気もしない。ゆっくりゆっくり歩いての押しである。何人ものサイクリストに追い抜かれる。 峠を登り終えて、初めて知ったことだが、どうもこの和田峠は、絶好の「山の登り」の練習場になっているらしい。サイクリストの会話は、16分40秒、20分を切ったぞ、23分もかかったなど、それだけで、見知らぬ同士の会話が通じているのに驚く。しかし、あの坂を20分位で登りきってしまうとは、若さというものは、すごいものだ。 |
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(山梨県藤野町)
11時には、和田峠から山梨県の藤野方面に下った。朝から空を覆っていた黒い雲が消え、薄日がさし始めた。6月末、アジサイがちょうど見頃で、通りすぎる村々のいたるところに植えられているのがわかる。 下りを猛スピードで通りすぎてしまうのがもったいない気分になり、ゆっくり歩いて村の家々を眺めていくことにした。陣場街道の山梨側は、めっきり車の通りが少ない。道路に座って、耳をすましてみると、遠くウグイスが鳴くのが聞こえる。 |
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