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昨夜は11時頃に布団に入った。ところが布団に入ってすぐに跳び起きた。財布に千円札が1枚しかないのである。これではどこにも行けない!女房を叩き起すわけにもいかず、かと言ってこの時間に開いている銀行などない。これは困った。それではと机の中や鞄の中を探し回り小銭をかき集める。硬貨ばかりだが、なんとか全部で3千円ほどを見つける。今日一日はこれで何とかなりそうだ。 朝飯は、6時頃に電車の中で食べた。少し走るが、なぜか腹が減って減ってしょうがない。ちょっと早いと思ったが、満開の梅が咲き乱れる畑を見つけたので、午前9時半ながら、お湯を沸かしてラーメンを食べる。今日は、予算が限られていることから、ひもじいラーメンおじさんだ。とホホ。 |
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埼玉県西部にある奥武蔵グリーンロードを走るのが今日の目的だ。全部を走りきるには、体力的に無理があるので、ゆっくりと、登り坂は歩き押しを覚悟して、まずは標高600メートル程度の顔振峠を目指す。10時を過ぎると晴天のせいか、とたんに暑くなりだした。3月、4月頃は、天気さえ良ければもう初夏の様相だ。 峠にはまだ遠いが、阿寺という集落で一休みする。途中の登り坂で格闘したことから、汗ダクダクになり、着ていたウインドブレーカとセーターを脱ぐ。ここからがとっておきの私の楽しみで、恐らく、日本では私だけしかやらないことだろう。それは、アスファルトの上に直に寝ることである。これが気持ちがよい。ほんとうに気持ちがよいのである。地面の冷たさが、なんとも言えない。そして、なぜか落ち着くのである。 |
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顔振峠は、ハイカーとドライブ客であふれていた。天気がよいこと、そして近くにある梅林で満開の梅の花を楽しめることからだろう。顔振峠からは、絶好の景色が眺められる。ただ、大気の具合は冬のそれではなく明らかに春のものになっており、遠くが見えない。これが、山水画の様相を醸し出していることから、それなりに面白い。しばらく、眺めさせてもらう。 峠には2軒の茶屋があり、熾烈な客引き合戦をしている。道路の隅っこで地図を眺めていたら、見るからにずうずうしそうなおばさんが寄ってきて「ゆっくりしていってください」と言う。これは興醒めだ。どうして、この峠はこんなに観光地化してしまっているのだろう |
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顔振峠をあとにして、次は高山不動尊を訪ねる。由緒ある古刹らしく、それなりに本堂は立派だが、なんと言ってもここの売りは、境内にそびえ立つ樹齢800年の大イチョウだろう。見上げた時に迫りくる迫力は、それはそれはすごい。境内は静まりかえり、午後の昼下がりの日差しが気持ち良く、まるで時間が止まっているのではと錯覚を覚える。800年の間に、いったい何人の人が、私と同じような感覚を味わったのであろうか。 財布の中身を心配しての、ひもじいサイクリングであったが、天気は最高のサイクリング日和だった。家に帰って財布の中を見たら、数百円程度の硬貨が、ちょこんと小銭入れに入っていた。これが今の全財産だ。 |
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