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金谷でフェリーから降りて、国道127号を南下する。しかし、すごい道だ。道路脇に歩道がない! 片道1車線の細道を、ダンプがバンバン通る。そこを、自転車で、恐る恐る走ることになる。このあたり、山が海岸線に迫っているせいか、サイクリスト泣かせの国道だ。 夏休みの日曜日、朝、8時前というのに、海水浴場では、もう泳でいる人がいる。良く晴れた日だ。三浦半島の向こうに富士山が見える。さあ、国道127号を離れ、山側に入ろう。 |
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「保田見」と書いて「ぼてみ」と読むことを、農作業をしていたおばさんが教えてくれた。今日の目的地は、その保田見である。山奥の、もしかしたら廃村になっているかもしれない人里離れた集落を5万分の1の地形図で探し出して決めた。地元の方々に、いろいろと道順を聞くが、どうもはっきりしない。 結局、地図を頼りに、県道182号から、山道に入る。すごい登り坂に出くわす。押しては乗り、また、押しては乗りの繰り返し。やっと、峠らしき場所に辿りついて、木陰で一休み。空が青い。目が痛くなるような青空とは、このようなことを言うのではないかと考えた。 |
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保田見には、数軒の家があった。若者がいない。いずれ、廃村になる運命か。その中の一軒の家に、水をもらいに挨拶に伺う。日照りで水が少ないという。阿武隈を走っていた頃は、地元の方と話をすると、方言で、何を言っているのか分からないことが多くあった。が、ここでは、それがない。よく分かる。 途中、軽トラに乗った老夫婦に道を聞く。「かわいい自転車だ。上総湊に出る道は、細くて荒れているから注意して」と、励ましの言葉をいただいた。田舎には本当に、親切な人が多い。だからサイクリングをやめられない。 |
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保田見から上総湊につながる林道を走る。トンネルが3本あり、昔は、この道が村との重要な連絡道だったことがうかがえる。停車して、今まで、やったことがないことに挑戦してみた。それは、しばらく目を閉じて、いったい何が聞こえるのか耳をすましてみることだ。 風で、木の葉が擦れる音が、近くのみならず、遠くからも聞こえる。近くと、遠くでは、微妙に音が違う。川を流れる水の音。木から枝か何かが落ちてくる音。そんな一人ゲームをして楽しんだ。心が、妙に落ち着いた。帰るのが億劫だ。 |
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