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日付: 2016年10月22日
場所: 昔ながらの結婚式かな ネゴバ城(Negova castle: 標高293m)
地域:  スロベニア 北東部
訪問地: Wien, (car), Bad Radkersburg(austria), Gornja Radona(Slovenia), Ptujska lesta, Ivanjsevici ob Scavnici, Negova, Radvenci, Gornja Radona(Slovenia), Bad Radkersburg(austria), Tieschen(austria)


 


ウィーンから南に200km下ってスロベニアとの国境へ

 ウィーンのアパートは午前6時半には出発した。10月も下旬、最近は、日が短くなっており、午前7時を過ぎないと明るくならない。  

天気予報によれば、週末の天気は良いそうだ。ただし、湿った冷たい空気が入ってくるせいか、霧が出るという。案の定、高速道路を走ったが、場所にもよるが、びっしりと霧が立ち込めている。   

 グラーツ(Graz)の手前数十キロのところで、高速道路を下りて地方道を走る。面白いことに、朝霧の特徴だろう。標高が低い場所を走る際には霧の中を走る。そして標高が高い丘の上に道路が差し掛かると途端に霧が晴れる。そして、目の前に、みずみずしい朝の風景が眼前に広がる。これは見ものである。  

 

 


 国境の町、温泉の町  

   バド・ラドケルスブルグ(Bad Radkersburg)の町には、午前10時前に着いた。町の名前にBadがついているように、この町は温泉保養所だ。ちょうど、日本で言えば「熱海」と言ったところだろうか。町の西側には、ホテルのビル群が並ぶ。午前中なのに、そこには多くの観光客でにぎわっていた。

 旧市街は、スロベニアとの国境橋のすぐ近くにある。

 霧が立ち込めている。ちょっと、自転車で走るには気がひける天気だ。旧市街を散策することにする。旧市街の入り口で、まず目についたのは、第二次世界大戦時のソ連軍侵攻記念碑だ。オーストリアからすれば、当時は敵だったのに、その記念碑がどうどうと町の入り口に建てられている光景は、不思議だ。イタズラする人はいないものだろうか。戦争は、Naziが起こしたもので、オーストリアもスロベニアも関係なかったのだろうか。



 


立派な国境橋  

   今日は土曜日である。時間的に午前中ということもあり、橋を渡る車も人も多い。この橋、案内本によれば、スロベニアがユーゴスラビアから独立したのが1991年。シュンゲン協定に加入したのが2007年という。今からちょうど10年前のことだ。



 


風景が様変わり  

   国境の橋を渡ってスロベニア側へ入る。お昼近くになっても、霧は晴れない。遠くの景色がボーと輪郭が見えるだけである。

 川幅20m程度のムール川(Mur)を越えただけなのに風景が一変する。立ち並ぶ家々がどことなくみすぼらしい。廃屋もちらほらと見かけることが多い。やはり、長年の社会主義の名残なのだろうかと思う。

 オーストリア側ではあまり見かけなかったブドウ畑をみかける。ワインの産地のようだ。季節が秋で、ちょうどツタの葉の色が変わりかけている。



 


 見事な秋晴れ  

 山間地を抜けて平野に出る。国境を越えて10kmぐらい走っただろうか。途端に、霧が晴れる。とともに、視界がぐっと良くなる。霧が晴れれば、周りは秋晴れの田舎の風景だった。

 畑で農作業をする二人を見つける。一人は、荷台の付いた車の座席に座っていた。もう一人は、何と、草刈機をつかわずに、柄の長い大型の鎌を使って草刈りをしていた。その姿が非常に絵になるのである。この二人、親子であろうか。どうも息子が刈った草を、父が荷台の付いた車に乗せているようだった。恐らく、冬のための干し草作りと思うが、オーストリアを含めて、昔は、こうして干し草を作っていたのかと思うと感慨深い。



 


 中世の城ではなくて近世の城だった  

 スロバキア側では、至る所に観光案内板が建てられており、よく見かける。この案内板には周辺地図が掲げられている。地図は衛星写真を3D風に引き延ばしたものではない。しっかりと手描きの地図である。

 その地図に、ネゴバ(Negova)城という名の名所が描かれていた。スロバキア国内を走る初めての城訪問で、ちょっと寄ってみたい気がした。

 お城に至る道路は森の中を走る。この森は、落葉樹が主で、ちょうど今が旬の紅葉が美しい。この森を登り切ってネゴバ(Negova)という名の村に着く。ネゴバ(Negova)城は、この村の北にある。中世の城をイメージしていたが、なんのことはない、近世の城だった。何でも、城の入り口の案内看板によれば、15世紀には、もう存在したというから、当時は中世の城だったと思う。その後、オーナーの変化とともに、城も様相を変えていったのだろう。城壁の美しい建物だが、どことなくピシッとしすぎている感じだ。

 村に一軒の茶屋が開店していた。茶屋のテラスに座ると、中から20歳台の女性が出てきて注文は何にするかと尋ねてきた。何か、食べるものはないかと聞くと、はっきりとないよとのことである。それではと、ハイネケンビールを1本頼む。1.9ユーロである。テーブルチャージを考えてもずいぶんと安い。

 この茶屋から教会が見える。その教会前の広場で、結婚式を済ませたばかりの夫婦が正装して立っていた。近くにアコーディオンなどの楽器を抱えて演奏している。ダンス音楽が流れる中、新郎新婦の周りを親族らしい老若男女が音楽に合わせて踊っている。秋の昼下がり、20m程離れた教会境内の結婚式風景だった。



 


 のどかなスロバキアの風景  

 風はない。スロバキアの田舎道だ。どこからか、畑に糞をまき散らしているのだろうか、田舎の臭いが漂ってくる。冬用のサイクル手袋をバックに入れて、その変わりに夏用の手袋を出す。

 とても気持ちが良い。まさにサイクリング日和である。こんな素晴らしい風景の中をサイクリングする自分は、とても幸せものだなあと感じる。ほんとうに時間が止まってくれないものかと思った。



 


 ホテルからの夕日  

 ホテルには、午後5時に到着した。何と、団体さんがいるらしく駐車場に大型の観光バスが止まっていた。

 ホテルの廊下側の窓から、とてもきれいな夕焼けが見える。思わず写真を撮る。10月下旬、日没もドンドン早くなっていく。まだ午後6時なのに、日没である。