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日付: 2016年10月2日
場所: スツレック山(Stuhleck:1,782m) 
地域: オーストリア(Austria)
訪問地: Pfaffensattel(1,372m), Stuhleck(1,782m), Alos-Gürther-haus Pfaffensattel(1,372m)


 


峠から横道へ

 ファーレン峠(Pfallensattel)には、2か月程前に来たことがある。標高が1,372mの峠で、雨降りだった。 この峠から脇道に入る小路がある。小路は、標高1,782mまで続いている。砂利道で、結構な登り坂だ。  

 2か月前にここに来た時には、雷が鳴っていた。その時は、登ろうか登らまいかと迷ったが、結局、雷の一閃で、やめた。  

 今日は、そのリベンジマッチだ。天気は雨模様だが、雷は鳴っていない。砂利道であることから、自転車ではなくて徒歩で登ることにした。  

 

 


漱石の草枕  

   漱石の草枕は、「山路を登りながら、こう考えた。〜」で始まる。有名な冒頭の部分で、雨宿りのために茶屋に入るまでの文章は、なるほどと感心するばかりだ。

 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。金が増えれば、寝る間も心配になる。嬉しい恋が積もれば、恋せぬ昔が恋しい。少し食えば飽き足らぬ。存分食えば後が不愉快だ。

 うまい文章を書いたものだ。ただただ感心である。坂路を登りながら、漱石の草枕を考えた。いつか、彼のような名文で文章を書いてみたいと思っている。

 標高が1,600mを越える。ガスがでてきた。景色は何も見えなくなった。雨が、降り出し、しだいに雨脚が強くなった。



 



山小屋  

   山小屋は営業していた。小屋の中には、男連れの二人がビールを飲みながら、何かを話していた。 私は、その隣のテーブルにリュックを降ろして座る。

 ほどなく、50歳過ぎの頭が少し禿げた小男が目の前に現れた。何にしますかと尋ねられる。ビールを1杯お願いする。 何か食べるかと聞くので、黒板に書かれたいたラザーニャを頼む。あいきた。とその男は台所に入っていった。

 しばらくして、隣の男連れは小屋から出て行った。私一人が小屋の中に残された。窓の外は霧がびっしりと広がっている。

 

 


スキー場  

 食事を終えて外に出る。霧の中に十字架が一つ見える。スツレック山の頂上らしい。 まあ頂上と言っても、なだらかな平坦地のちょっとした丘である。

 霧が出ているので迷う危険がある。メインな道路から離れることなく、霧の中の景色を楽しんだ。



 


土砂降り  

 下り始める。雨は、どんどん強くなっていく。上半身は雨衣だが、下半身は普通の登山ズボンだ。濡れ始める。道路にも水が浮かびだした。