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日付: 2016年9月10日
場所: バクセネック小屋 (Waxeneckhaus: 標高785m)
地域: オーストリア(Austria)下オーストリア州(Niederöstrreich)
訪問地: Wien, (car), Weissenbach an der Triesting(362m), Furth, Pottenstein, Grabenweg, Waxeneckhaus(785m) Pottenstein, Weissenbach an der Triesting(362m)


 


自動車駐車におおらかな町

 先週のマリアツェル(Mariazell)を訪問した際には、駐車場探しに難儀した。巡礼地としての名所ゆえに、仕方ないことは理解できるが、7月や8月の繁忙期以外は、無料にすればと思うのであるが。   

 バイセンバッハ(Weissenbach an der triesting)のオーストリア鉄道の駅は、おおらかだ。駅前に何十台かが駐車できるスペースが容易されているが、「鉄道駅利用者のみ」などというセコイ掲示は見られない。これは大変良い。大いに結構である。   

 そこに駐車して、自転車を自動車から取り出して走りだす。朝の風か、少し、肌寒さを感じる。  

 

 


 オーストリアという国  

    目指すは、600mのヒルクライムが楽しめるホッフネック山(hochneck:1037m)だ。麓の村は、フース村(Furth an der Triesting:422m)で、そこから有料道路で山頂まで登ることになる。  

 話は変わって、オーストリアは住みやすい国だ。1年以上、住んでいるが、日本と比べれば、格段に生活を楽しめる国だ。例えば、至るところで観光案内板を見かける。どこの観光案内板も、趣向が凝らされており、それだけを写真に撮って、公表しても面白いものができそうな感じである。自転車で旅していて、これらの案内板を観るだけでも楽しめる。ガツガツしておらず、「もうけ」を前面に出さない方法は、どことなく安らぎを覚える。



 


 情けない話  

  最近は、文章を書くと、とかく老いた、疲れた、どこそこが痛いという話になる。今日も、実は、その話だ。

左手手首の付け根に、違和感を感じたのは月曜日。火曜日には、腱鞘炎発症の様相で、無理な力が、左手手首の一か所にかかるとズッキリと痛みだした。水曜日、症状は悪化する。筋肉関係のトラブルは動かさないのが一番と思い、タオルを左手の手首周りにグルリグルリと巻き付けて過ごす。すべての作業は、左手は使わず、右手で行うようにする。その効ありしか木曜日には痛みが和らぎ、金曜日には、完璧にではないが、鋭い痛みは消えた。

 腰の痛みに続いて、今度は手首の痛みである。それとは別に、体の芯には、どっぷりと疲れの塊が居座っている。最近の自分の身に起こるヨロズのことには、ああ、またかという諦め気分である。  

 還暦を過ぎてから、めっきりと体調に異変を感じるようになった。一つには、若い頃と同じように、調子に乗ってしまうと体を酷使してしまうことだろう。無理なスピードでペダルを漕がなければ、体に過剰な負担はかからない。結果、疲れからの回復も早いはず。ところが気持ちの底では、そのことは重々とわかってはいるのであるが、高揚した気持ちは、それを抑えることができない。   

 改めて、若いということは、何と素晴らしいことかと思う。かく言う自分にも若い頃はあった。今、それを羨んでも、それは欲張りというものだ。還暦過ぎたオヤジには、年相応の走り方があるはずだ。  

 

 


悪い予感が的中  

 バイセンバッハ(Weissenbach)から、山麓のフース(Furth)村までの距離は約7qだ。途中、何十台ものスポーツバイクに出会う。皆、いでたちもしっかりしており、自転車のフロントに、何かの競技会のためであろうナンバーを掲示している。

 これは、もしかして、どこかの競技会が近くで行われるのではないかと推測する。でも、今、自分自身が走っている道路は、行き止まりだ。考えられる競技会は、ヒルクライム大会しか考えられないのである。

 予感は、的中した。山頂に向かい始める場所にある料金徴収ゲートあたりに、すごい人だかりが見える。ここが、ヒルクライムの始点であり、登録所のようである。

 ゲートあたりでウロウロしていた係員の一人に尋ねた。
 「この道路で山頂まで行きたいのであるが?」
 「申し訳ない。今日は、大会のため閉鎖しています。大変ご迷惑をおかけします。」
 とドイツ語で尋ねたら、英語で、しかも平身低頭な様相で、回答がかえってきた。

 自分としては、出足払いを喰った格好にはなったが、係員があまりに親切だったので、素直に、諦めた。明日、出直そう。



 


 隣の沢をブラブラ

   さて、今日の土曜日、どうしたもんかと迷う。このまま、ウィーンに帰ってしまうのは、欲求不満だ。午前中の今の時間であれば、体力も気力もみなぎっている。

 周辺に、どこか面白いところはないものかと、地図を観る。ウィーンから数十キロ圏内は、ほぼ走り尽くしているので、未走行道路を探すのは、結構、むつかしい。だが、隣の沢には、名無しであるが、ちょっとした峠があるらしいことがわかる。まあ、そこまで行ってみるかと決める。



 


立派な道路  

   峠の標高は、恐らく600m〜700mだろう。下の町が320mだから、標高差で300m程度の登りである。これなら楽々である。

 道路は、しっかりと舗装された片道1車線である。自動車もあまり通過せず、時折、オートバイに追い越される程度である。道路周りの景色の変化に注意しつつ、ゆっくりとペダルを漕いで、登っていく。



 


峠に到着  

   この峠に、残念ながら名前は無い。ただ、閉鎖中ではあるが、峠の茶屋はある。また、峠のジャストポイントは、平地になっておらず、鞍部が目視可能である。この種の峠も珍しい。せっかくだから、名前でもつければと思うのであるが。

 この峠には、砂利道だが、道路が一本、左側に延びている。地図上の印を観る限り、どうも、終点には、山小屋があるらしい。行ってみることにしよう。



 



ゆったりと流れる時間  

   砂利道しか通じていない山奥に山小屋がある。誰が何のために訪れるのであろうかと思うが、山小屋のテラスは、結構な人込みである。  

 時刻は、ちょうどお昼。皆が、ゆっくりと食事を摂っている。時間がゆっくりと流れていく感じだ。  

 小屋には、数匹の飼い犬がいるようである。私が、ソーセージを肴にビールを飲んでいたら、2匹の飼い犬が寄ってきて、席の横にチョコリと座る。何か恵んでくださいなというような顔をして、私の顔を下から見上げる。こういう姿を見ると犬って、かわいいなあと思う。



 


見知らぬ町  

   昼下がり。ポッテンシュタイン(Pottenstein)の町を散歩する。人々は、昼寝でもしているのであろうか、街を歩く人通りもまばらである。

 絵になる町である。このような地味な地方の特色を持った町がそこらじゅうにあるオーストリアという国が羨ましい。