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日付: 2016年8月28日
場所: ジラタラー高原道路(Zillertaler Höhen straße :標高 1,800m)
地域: オーストリア(Austria)チロル州(Tirol)
訪問地: Kaltenbach(558m), Zimstadl(1,800m), Ascha, Kaltenbach(558m)


 


宿は良い

 昨夜はパーキングエリアで野宿した。今日は、ホテル泊である。 ホテルにチェックインするなり、まずはシャワーを浴びる。昼間の汗ダク坂登で、体がメチャクチャ汗臭い。シャワーですっきりする。そして、道沿いのスーパーで買ってきたビールを飲む。最高である。  

 午後7時過ぎにベッドに横になったとたんに、眠りに落ちる。そのまま、午前0時頃まで寝入る。そしてまた寝入る。朝の4時には起床して、ホテル周りの夜景写真を撮る。天気が良いゆえに、夜明けの朝空が綺麗だ。  

 ホテルの朝食は午前7時からだよとのホテルのマダムの話。午前7時きっかりに、レストランに降りて行く。誰もいない。一番乗りである。オーストリアの食事は、野菜が少ない。もうちょっと何とかならないものかと思うが、我慢。  

 

 


  スキー客用の駐車場に駐車  

   インスブルックから東に30q程走ると、南に延びる大きな沢口に入る。そこから10km程南下するとカルテンバッハ(Kaltenbach)という町に着く。ここが今日の出発点である。  

 今日は、この町からジラタラー高原道路(Zillertaler Höhen straße)を走りあがる予定。高原道路の最高標高地点が1,800mであり、カルテンバッハ(Kaltenbach)の標高が558m。標高差で約1,250mである。まあまあの負荷だと考える。

 だだっ広い駐車場に数台の自動車が停められている。先客の2組のサイクリストが自動車から自転車を降ろして出発準備をしている。私も出発の準備をする。

 昨日、標高2,830mまで登ったときに、栓を開けたペットボトルがペチャンコにひしゃがれていた。改めて大気圧のすごさに驚く。とともに、標高2,830mの空気の薄さを実感する。



 


延々と続く登り坂  

   道路の急坂度は、昨日と同じである。傾斜10%以上の道路が延々とつづく。我慢、我慢でペダルを漕ぐ。焦らず慌てず、根気よくペダルを回す。これで、少しづつ高度を稼ぐしか方法はないのである。   

 道幅は一車線しかない。時折、自動車に追い越されるが、道幅が狭く気を遣う。追い抜いていく車のナンバープレートを眺めていると、なぜかドイツのナンバーばかりである。半数以上は、ドイツナンバーだ。夏のチロル地方の観光客は、ドイツ人ばかりである。    

 

 


 森林限界を越えて  

 道路横には高い木々が立ち並ぶ。風通しも見晴らしもよくない。汗がとめどもなく落ちる。最近は、坂登の最中にはヘルメットはかぶらない。その代わりに綿の帽子をかぶる。日除けと汗かき対策である。その綿の帽子が、びっしょりと濡れる。すごい汗である。

 ときおり水が滝のように流れる沢に出くわす。そこでは、水しぶきとともに、涼風が吹く。自転車を停めてその涼風に吹かれる。何とも気持ちが良い。

 標高1,400mに料金所がある。自転車はもちろん無料である。そこを抜けると坂はさらに急になる。息も絶え絶えに、停まっては心拍数を下げ、少し落ち着いたらまた走り出す。その繰り返しである。

 標高が1,700mを過ぎると森林限界を超える。見晴らしがよくなる。遠くの山々、眼下の家並みを見下ろすことができるようになる。やっと高原道路の様相になる。



 


茶屋でビールを一杯

   ジラタラー高原道路(Zillertaler Höhen straße)は、南部と北部に分かれている。私が走っているのは北部の道路だ。北部の道路の最高標高地点は、標高で1,800m。そこに3軒の茶屋が並んでいる。うちの一軒は、バイカー歓迎の茶屋で、席が比較的すいていた。

 もう、ここまで来たらあとは下るだけである。午前9時に走り始めて午前11時半まで、3時間弱の苦難であった。それから開放されてビールを飲む。これが最高である。



 


夏の終わり  

   遠くの山に秋の雲が浮かぶ。8月の週末も今日が最後。もうすぐ9月になる。9月になれば、高い山々では雪が降る日もある。今シーズンも、そろそろ終焉である。  時間は容赦なく過ぎていく。歳月人を待たずとはよく言ったものだ。来年も、こうしてアルプスの山々の中を走りまわることができるだろうか。そもそも、生きて夏を迎えることができるだろうか。夏の入りは嬉しく、夏の出は寂しい。



 


一本の木  

   道路脇に一本の木が立っている。なぜか絵になる風景である。今の自分に、あったら何とも良いなあと思うのが絵心である。  



 


快適なはずの下り道  

   この高原道路は、ちょっと変わっている。数十メートルまたは数百メートル毎に、道路に溝が彫ってある。恐らく雨水の流れを調整するためのものだろう。深さ5cm、幅5cm程の溝である。この溝が自転車にとっては厄介である。スピードを上げた状態でこの溝を越えようとすると、すごい衝撃がハンドルから手に伝わる。そのため、あまりスピードが出ないように速度を調整しなければならない。結果、これは腕に負担がかかる。楽しいはずのダウンヒルが、あまり面白くないのである。