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日付: 2016年8月27日
場所: ロシ・ミッタマイヤトンネル(Rosi-Mittermeier Tunnel:標高 2,830m) 
地域: オーストリア(Austria)チロル州(Tirol)
訪問地: Sölden(1,377m), Rosi-Mittermeier Tunnel(2,830m), Sölden(1,377m)


 


パーキングエリアで野宿

 午後11時には、疲れ果ててパーキングエリアに到着した。ウィーンから西に向かって500km。 目的地までは、さらに100q程西に走らねばならないが、今日は、ここでやめる。 明日の体力のことを考えねば、何のための遠征かわからなくなってしまう。  

 いつものように、自動車の後部座席を倒して、寝袋を敷いて休む。寝るだけなら、これで十分である。   

 翌朝、6時に目覚める。ずいぶんとぐっすり寝入ったものである。睡眠の満足度は、普段のアパートのベッドと変わらない感覚だ。 パーキングエリアは、駐車スペースがないほど、自動車でいっぱいである。皆、自動車の中で、夜を過ごした人たちだろうか。  

 

 


  自転車マラソン大会の会場  

   ゾルデン(Sölden)の町に来るまで知らなかったが、明日の8月28日には、自転車マラソンが開かれるとのことだった。 滑り込みセーフで助かった。もし、28日に来ていたら自転車マラソンとかち合ってしまい、走ることができなかっただろう。

 ゾルデン(Sölden)の町は、大会前日なのに、お祭り一色である。街道沿いには、自転車屋のブースが並んでいる。 この自転車マラソンは、この地域一帯の山々を走るらしく、何と、標高差5,500m、全長が238kmの自転車レースという。何ともすごい。 これはツールドフランスの1ステップよりも厳しいのではなかろうか。



 


延々と続く登り道  

   ゾルデン(Sölden)の町の標高が1,377mで、終点が2,830mだから、標高差約1,500mの登りである。この程度なら、登り切れそうな予感。 全長が12kmと言うから、単純に計算しても傾斜は平均10%を越えている。ほんとかいのと考える。  

 午前8時に登り始める。8月末とはいえ、太陽光線は強い。暑い一日になりそうである。    

 森の中の登り道を、延々と我慢する。何台かの自転車が追い抜いていく。皆、「こんにちは」と声掛けして追い抜いてゆく。 道は、機械で作ったような傾斜が続く。まさに、これは地獄での我慢である。ひたすら、「1234」と4拍子を刻んで、ペダルを漕ぐ。    

 

 


牛の襲撃にあう料金所  

 標高が2,000mを越えると風景がガラリと変わる。背の高い木々はなくなり、草原が広がる。料金所に到着する。 自転車はもちろん無料である。自転車がひっきりなしに料金所を通過する。自動車の数より、自転車の数の方が多いのではないかと感じられる。

 料金所は、とてものどかである。 牛の移動通路になっているらしく、牛が、よたりよたりと料金所のバーの隙間を通りすぎてゆく。



 


なんとも見事な風景

   料金所を越えてしばらく走る。すると、これから走り上がる全行程を見渡す場所にでくわす。 この自然、スキーリゾート開発で、人間の手が、かなり入っていることがわかる。 まあ、そのおかげで、2,830mまで自転車で登っていけるのであるが。



 


日向ぼっこをする野ヤギ  

   オーストリアの山岳道路は、なぜかカーブ毎に、そこの高度が記されている。 道脇で、野ヤギ(?)が、ゆっくりと日向ぼっこをしている。 このヤギ達、人間に慣れているのか、あるいは人間を敵と思っていないのか、私が近づいても何の反応もしない。不思議なヤギ達だ。

 私は、息も絶え絶えに、頻繁に停止して、呼吸を整えて心拍数を下げながら登っていく。当然、いろいろな人に追い抜かれる。

 一人の女性に追い抜かれた。後ろから脚を観る限り、結構な大根脚である。体幹も太い。体脂肪は、優に30%は越えているだろう。 そんな女性に涼しい顔して追い抜かれる自分は何なんだと思う。よくよくその女性の自転車を観察すると、何とそれは電動自転車だった。

 時代は、21世紀。いろいろなサイクリングがあるものだと考えされられる。 体力がないのならば、文明の利器を使えばいいではないかという考え方には納得である。



 


偽の標高最高地点  

   どんどん登る。汗もしっかりと流れる。標高が2,500mを越えると、もう数十m走って休憩し、また走り出す。その繰り返しである。

 EU道路の最高地点の看板が掲げられた駐車場に到着する。一応の終点である。標高は、2,798.16mとある。これはおかしいと思う。 前もって調べたところでは、今日、登ってきた氷河道路の最高標高点は、2,830mとなっていたはずだ。この標高では30m足りない。

 いろいろな人が、このポイントを訪れて、写真を撮ってかえっていく。私も記念に、どこかの人に写真を撮ってもらう。  



 


別の場所が最高地点だ  

   道路は、途中で二股に分かれていた。そのもう一方側がくさいぞと思う。遠くから眺めて、その道路はトンネルに連なっていた。 あのトンネルの奥が、2,830mポイントだなと推測する。

 時刻は正午をまわった。終点近くにスキー客用のレストランがあったので、そこで腹ごしらえをする。 ヌードルスープにソーセージを入れた料理だ。炭水化物だけの料理で、ひどい味である。まあ、この高地だから、これもしょうがない。



 


寒いトンネル  

   トンネルの名前は、ロッシ・ミットマイヤートンネルだという。長さが1.7qあり、このトンネルを越えると隣の沢に至る。 トンネルは、隣沢のスキーゲレンデとオツタル氷河道路終点のスキーゲレンデを結ぶ道路だ。

 トンネルの中は、冷たい風が吹く。夏服では寒さを感じるほどだ。トンネルの中は緩い登り坂になっている。 そしてこのトンネルの終点が、目指す標高2,830mポイントだった。

 トンネルの終点には、何の看板もない。したがって、ここが、欧州第3位の舗装道路高地であることには、ほとんどの人は気づかない。 ただ、知っている人は、知っているようで、私と同じように記念撮影をする人もいる。

 トンネルの終点だから、ここに看板でも建てたら、交通渋滞を起こしてしまうのだろう。道路管理者の気持ちもわかる。   



 


 変な交通標識  

   GiantのMR4は、車輪は24インチだ。したがって、普通車と比べたら、高速の安定性は悪い。 特に急坂の下りは、スピードが出すぎてしまうことに注意を払わなければならない。

 変な看板だ。スピードを出しすぎるとバスにはねられてしまうぞ。 という看板らしいが、画の中の自転車乗りの姿が、どうにもおかしい。