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日付: 2016年8月20日
場所: スルク峠(Sölkpaß :標高1,790m) 
地域: オーストリア(Austria) シュタイアーマルク州(Steiermark)
訪問地: Wien, (car), Stein ad Enns(694m), Großsölk, Flaiss, Mössna, St Nikolas, Sölkpaß(1,790m);


 


体調、今一つ

 10日程前、軽いぎっくり腰に襲われた。以来、ずっと腰に違和感が続いている。 気持ちは、短い夏を逃すことなかれと騒ぐ。  

 最近は、朝になると、気が弱くなる。サイクリングするよりも、家でゴロゴロしていた方が良いと思い始める。 これはいけない。と、自分自身を予定で縛る。方法は、事前にホテルを予約してしまうことだ。   

 午前5時半に目覚め、午前7時前にはウィーンを出発する。 目指すは、アルプス山中の町リーゼン(Liesen)。高速道路で260q先だ。   

 午前11時前に、リーゼン(Liesen)から西に20km程離れたところにあるスタイン(Stein ad Enns)という名の村に着く。 今日の出発ポイントだ。      

 

 

 


  なかなかの天気  

   スタイン(Stein ad Enns)村の駅舎近くに車を停める。2週間、走らなかったせいだろう。タイヤの空気圧が甘くなっている。 入れなおして出発する。目指すは、スルク峠(Sölkpaß)。スタイン村の標高が694mで、スルク峠のそれは1,790m。 ざっと、標高差1,100mの登りだ。

腰に違和感がある身で、標高差1,100mの峠攻めは、若干、無理気味だ。なまっている腰に刺激を与えるためにも、まあ良いだろうと思う。 もし、何かあれば、そこで引き返してこれば良いのである。

 天気は良い。眼前にスルクテラー(Sölktäler)自然公園の山々が広がる。目指すはあの山々の中にある峠だ。 若干、オーバーペース気味だが、一漕ぎ一漕ぎと登っていく。  



 

 


英国からの夫婦サイクリスト  

   面白いことに、走り始めから、人組の夫婦サイクリストと追いつ抜かれつの峠登りとなった。  

 峠を登り終えた後に、この夫婦と話をする機会があった。英国から海峡を渡って大陸に渡ってきたという。 自動車と自転車を使って、バカンスをヨーロッパで過ごしているという。  

 話は戻るが、この夫婦は、大きな荷物を荷台に括り付けている。私はと言えば、一応はスポーツタイプの自転車で タイヤも細い。荷物は、軽いリュック一つだ。この夫婦の方がかなりハンディを背負っての峠登りだが、 パワーもりもりで漕ぎつづけていた。  

 思うに、こんなに有利な条件下で、峠登りしているのに、彼らと抜きつ抜かれつしているのは寂しい。 若い頃の私ならば、難なく、抜き去ってゴールしているのであろうがと思う。老いは、確実に私の身を蝕んでいる。  

 

 


素晴らしき眺め

   標高が1,500mを越える。すると今まで眺め上げていた山々が、目の高さにまで下がってくる。 周りに木々が見えなくなるとどことなく明るい気配となる。太陽光線も強く感じる。まさに夏の走りである。

 こんな景色の中に、入道雲でも一つ浮いていたら、長野県の車山や八ヶ岳あたりの様相だ。

 追いかけてくる英国人夫婦は、遥かにしたの方であえいでいるようだ。さすがに、これだけ坂が続くと、バテ始めたようだ。

 ここらあたりの山々は、緑の草に覆われている。岩肌はほどんと見えない。登ってみたくなる山々だ。



 


 峠に到着  

   峠には、午後2時過ぎに着いた。標高1,780mの鞍部には、小さなチャペルが建っていた。残念ながら峠の茶屋はない。

 バイカーの姿が多い。サイクリストは、ほとんどいない。この峠、高さといい、場所といい、中途半端なのだろう。 峠近くに停まっている車のナンバーを観ても、オーストリアナンバーばかりで、外国ナンバーは少ない。

 峠に着いて、10分ほどすると、例の英国夫婦サイクリストが登ってきた。少し、会話をする。そして、峠の標識を背に、 写真を撮ってあげようと提案された。写真に写るのは、あまり好まないが、せっかくの申し出なので承諾した。

 思うに、夫婦で、しかも自転車旅行とは、大したものである。喧嘩などしないのだろうか、お互いの絆には感服である。 ご夫婦、頑張ってください。



 


峠を下る寂しさ  

   不思議なものだ。苦労して苦労して登ってきた峠ゆえだろうか。いつも思うに、峠から下ることが寂しいのである。

 そんな気持ちを持つつ、ダラダラと峠あたりを散歩する。ここらあたりは、スキー場のために造った山岳道路ではなく、 オーストリアを南北に貫く道路だ。よくよく峠あたりを眺めると、今は、登山道となっている道が、2メートル程度の幅で 石が敷いてある。かっての峠道だろう。

 こういう歴史ある小路を眺めると考えることがある。それは、昔の人々が、この道を、何の用で、何を考えて歩いたのだろうかと思うことだ。



 


脚がパンパンに固くなる  

   下り始める。下りは、楽だ。これは自転車ならではの特権である。 思うに、オーストリアの田舎の家々は、どこも花がキレイに飾ってある。バルコニーは、色さえる花々で一杯である。何とも、これは美しい風景だ。

 2週間振りの走りで、大腿四頭筋がコチコチである。無意識に腰をかばって、そのしわ寄せが脚にきたのだろうか。 最近では、あまり感じたことのない感覚である。