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日付: 2016年7月29日
場所: オッハ峠(Ochsattel:標高820m)
地域: オーストリア(Austria) 上オーストリア州(Niederöstrreich)
訪問地: Wien, (car), Traisen(356m), lilienfeld, Innerhahrafeld, Ochsattel(820m), Kalte kuchl(728m), Kleinzell, Rainfeld(391m), Sankt Veit, Traisen(356m),


 


快晴の日曜日

 ウィーン西方の約60qのところにサンコトプルタン(Sankt Pölten)という町がある。 そこから国道214号を南下して15q走るとトライセン(Traisen)という村に到着する。  

 村に自動車で到着したのは、午前8時過ぎだった。天気は良し。蒸し暑い一日になりそうな予感だが、雨降りの中での走りは良い。  

 今日一日の走りの予定を考える。 まず、トライセン村(Traisen:標高356m)が起点で、そこからトライセン川に沿って造られている自転車道を南下しながら川を上る。 25km程走ったところで東に折れて、国道21号に入り、今日の山場となるオッハ峠(Ochsattel:標高820m)を目指す。  

 オッハ峠を登り切ったらカルトクーヘル(Kalt kuchl:標高728m)まで走る。そこで北方向に曲がって、ハル川(Halbach)沿いを走る地方道を下る。  

 ハル川(Halbach)を下り切ったらゴルセン川(Gölsen)に出くわすので、その川を下って10q程で出発点のトライセン(Traisen)村に帰り着くことになる。 全行程の距離は、おおよそ70qぐらいだろうか。      

 

 

 


  鬱蒼とした森を走る自転車道  

   まわりは、まさに夏真っ盛りの様相だ。木々が茂り、そこを鉄道と鉄道に沿った自転車道が走る。

 時折、サイクリストとすれ違ったり、追い抜かれたりする。皆、自転車や服装は、本当に多種多様だ。 サイクリングで大切なことは、自分が走りを楽しむためであり、目立ちたがることではないということを、しかりわきまえている。



 

 


修道院  

   リリアンフェルト(Lilienfeld)という名の町に到着する。落ち着いた町だ。街の中央にドカーンと立派な建物が立つ。 修道院らしい。  

 不思議に思うことがある。ヨーロッパの村や町で、必ず教会を目にすることができる。その数を数えれば、膨大な数になるだろう。 その全ての教会の建物を維持・手入れしていく費用は、どうしているのだろう。 国家予算や地方予算は期待できないだろうから、ほとんどは寄付で成り立っているのだろう。  

 かってフランスで生活していた時に、教会の維持費に困っているという記事を読んだことがある。 膨大な数の教会があれば、中にはそういう教会もあるだろう。しかし、ほんとうに信者の寄付だけで成り立っていくのだろうか。  

 欧米では、貧乏人も多いが、大金持ちも多いという。その大金持ちが、この世を去る時に、全財産を教会に捧げるのだろうか。  

 

 


午前10時をまわり日差しが強くなる。  

 時刻は午前10時をまわる。走っていて強烈な日差しを感じるようになった。 今日は、ポットにお湯を入れて持ってきたので、少し、休憩でもするかと考え始める。

 場所を探しながら走る。日陰で風通しの良い場所は、どこかにないものかと考える。

 走りながら、ここはどうだろうかと思いつつ走るが、適当な場所がない。 すると、切ったばかりの木材が高く積まれた日陰を見つける 。風通しは今一つだが、何といっても、製材したばかりの木材が放つ香りが充満している。これは面白いと、地面に胡坐をかいて座る。

 チョコレートを齧りながら、コヒーを飲む。目の前を多くのサイクリストが通り過ぎる。 ほとんどのサイクリストは、サングラスはしているが、頭には帽子をかぶらずむき出しの人が多い。日射病を心配してしまうほどだ。

 あまりに日差しが強いので、リュックにヘルメットを括り付けて、布製の帽子をかぶって走ることにする。 また、ちょっと遅かったかもしれないが、ここでサングラスをかけて走ることにする。



 


 峠登りを始める。

   午前11時過ぎに、国道21号に入る。ここから、登り道が始まる。 驚いたことは、非常にたくさんのモーターバイクが走っているのである。

 集団走行ではなく、皆が、1台〜2台程度のまとまりでの走りだ。何か、イベンドでもあるのだろうか。



 



40分かけて峠に到着  

   5%程度の登りが延々と続く。時折、モータバイクに爆音とともに、追い抜かれる。 汗が流れ始める。息が切れ始める。それをこらえて、ひたすらペダルを漕ぐ。ギアは、もちろん34×30だ。

 国道21号線に入って40分ほど漕ぐと、峠の茶屋らしい建物が見え始めた。おおと思う。もしかして、店が開いているかなと期待する。

 残念ながら、店は閉まっていた。倒産してしまったのだろうか。人っ気がない。建物には、標高854mと書かれている。 しかし、地図上の標高は820mだ。ずいぶんと違うなあと思う。

 時刻も良い頃なので、また日陰のベンチもあったので、そこで昼食にする。弁当である。と言っても、缶詰とパンだけであるが。

一か月前頃から、新しいリュックを使っている。 古いリュックのチャックがバカになってしまい、また5年間の使用で、もともとの黒がくすんでしまっていた。それで新調した。

 Dauterのサイクリング用のリュックで、ヘルメットを収納可能である。この機能が面白いと思って買った。 値段は140ユーロ(17,000円)でとても高価だった。ネットで調べたら100ユーロ程度で買えるようだった。これは残念だ。



 


 すごい数のモータバイク  

   カルテキューヘル(Kalte kuchl:標高728m)に到着する。そこに茶屋があった。 その茶屋の前には、おびただしい数のモータバイクが駐車していた。どうだろうか、チョット見で100台ぐらいはあるのではないだろうか。

 しかしこの多さは何なのだろう。 峠を登ってくるまでに、数えきれないぐらいのモータバイクとすれ違い、そして追い抜かれた。理由は不明である。

 茶屋から離れること100mぐらいのところに、自然池を利用したプールがあった。20人くらいの人が、水と戯れている。 この風景は、まさに夏である。空には、雲が浮かぶ。この風景も、あと2〜3週間だろう。



 


 歴史遺産並みの橋  

   ハル川(Halbach)を下り切って、ゴルセン川(Gölsen)沿いの自転車道を走る。

 すぐに、如何にも19世紀終わりか20世紀初めに造られたと思われる橋に出くわす。 鉄骨入りのセメント橋だろう。何時頃造ったものだろうかと、橋のどこかに、建設年を入れたプレートを探す。

 ナチ時代に造られたのだろうか。その種の痕跡は、どこんも見当たらなかった。 橋の恰好といい、その渋さといい、これは歴史遺産級の建築物である気がする。



 


出発点に帰還  

     午後3時過ぎに、出発点であるトライセン(Traisen)の村に帰ってきた。 夕立でも来たのだろうか、道路のアスファルトのところどころに水で濡れた場所が見える。

 そういえば、ここに到着する30分前頃に、西の方角に、黒い雲が空を覆っている景色を観た。 その時間にここで雨でも降っていたのであろう。

 7月最後の日曜日、70qの走りを終えた。日差しの強い蒸し暑い日だった。