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日付: 2016年6月25日
場所: ホッフベクセル山(Hochwechsel :標高1,743m) 
地域: オーストリア(Austria Republic) 下オーストリア州(Niederöstrreich)
訪問地: Wien, (car), Mariensee(815m), (Schindlsteig route), Hochwechsel(1,743m), (Almweg route), Mariensee(815m), (car) Wien


 


暑い日々

 ウィーンから高速道路A2を90km南下する。そこから山道を西方に10km程走って、登山口に到着する。目指すは標高1,743mのホッフベクセル山だ。マリアンジー(Mariensee)の登山口標高が815mとのことだから、標高差が約900mのハイキングとなる。

 ここ数日、欧州は猛暑だ。日中は34度まで気温が上昇するとのことだ。幸い、登山口の気温は、自動車付属の温度計では25度。登山口にはすでに一台の自動車が駐車していた。もう先客が登り始めているらしい。鬱蒼と緑に囲まれた森を歩き始める。  

 

 


牛糞に注意  

   登山標識は、頂上までの時間を3時間と書いている。ただし、日本の登山標識は恐ろしいくらい正確だが、オーストリアのそれはとてもいいかげんだ。3時間とあれば、プラスマイナス3割くらいの余裕を考えたおおざっぱさだろう。歩き始めると、すぐに汗が額から流れ始める。結構、湿度も高そうだ。登山道の整備状態はまずまずだ。  

 オーストリアの低山の登山道は、だいたいが放牧地と共存している。したがって、気をつけないと牛の巨大なフンが目の前に現れることが多い。気をつけないと、悲惨な目にあう。



 


森の中の農家  

   1時間程、森の中を歩く。すると農家らしき一軒の家が目の前に現れる。夏の間は、登山客の休憩所として開放しているようで、家の前にベンチと椅子が並んでいる。一組の登山客が腰を落として休んでいる。暇そうで、私と目が合う。登山客と話をしていた農家の主人らしき太ったオジサンが、私に手をあげる。「おはよう」と遠くから声をかけてくれる。私も応答する。  

 しかし、気をつけないといけない。足元は牛の糞だらけである。幸い、雨上がりではないので、ナマ物はないが、注意である。  

 

 


寂しがり屋の迷い牛  

 この農家を過ぎると、そこからは平原が広がる。なだらかな登りである。はるか遠方の岡の上に一軒の山小屋が立っている。地図を見る限り、標高1,743mの頂上のようだ。  

 あまりに遠方からゴールとなる頂上が見えるので、これはこれで辛い。登っても登っても、一向に目的地の山小屋に着かない。一歩一歩、着実に登っていけば、やがてゴールには到着するのであるが、気分的にこれは良くない。  

 なぜか、野原に一頭の牛が歩いている。仲間からはぐれてしまったのだろうか。寂しそうに、私の方向に寄ってくる。愛嬌のある牛である。この牛も、いずれは解体されて、そしてシュニッツェルになって食卓に並ぶかと思うと変な気分だ。



 


眼の前に山小屋

   やっとのこと山小屋の下までたどり着いた。今の時刻は午前10時半。登り始めの時刻が午前8時だったので、なんと2時間で登り切ってしまったことになる。   

 下界は、蒸し暑く眩しい太陽光線に満ち溢れていた。ところが、標高1700mの世界は、半そででは寒さを感じるくらいな別世界だ。時折、霧のような雲が通りすぎる。風も、少し吹いている。



 



自転車でも登れるとは知らなんだ  

   頂上の山小屋は、ベターコグラーハウス(Wetterkoglerhaus)という看板を掲げていた。その看板に、1,743mと標高が書かれている。   

 何と驚いたことに、頂上の山小屋脇の駐車場には乗用車が停まり、マウンテンバイクも数台駐輪していた。何と、自転車で頂上まで登ってこられるのである。これは知らなかった。何か、損をした感じだ。自転車で登られるのであれば、ぜひ、自転車で登ってきたかったのである。   

 扉を開けて山小屋の中に入る。数人の先客がいる。服装から見て、自動車で上がってきたのだろうか。  ウェイターは元気な若者だ。お客からてきぱきと注文を取る。山小屋は、何度も増築を繰り返しているようだ。変な場所に部屋があり、安っぽい机と椅子が置かれていた。私は、一番奥の、ちょっと暗い部屋に入る。そこの中央に置かれたテーブルの前に座る。ビールを注文する。目の前に太ったサイクリストがいた。ずいぶんと大きなお腹だ。あの図体で、山頂まで登ってきたと思うと、さざ苦労しただろうと思う。



 


欧州アルプスの最東端  

   頂上からは、はるかかなたのアルプスの山々が見える。岩肌が露出した山々ではなくて森林に覆われた山々だ。   

 このあたりヨーロッパアルプスの最東端で、地形も雰囲気も牧歌的だ。ウィーンからも比較的近場なので、次は自転車で登ってこようと考えた。



 


 沢水浴び  

  午後0時半には、登山口に降りてきた。相変わらず暑い。駐車場の横に、小川が流れていた。タオルを沢水に浸して、頭、顔、体を拭く。何んとも気持ちが良い。6月下旬。ちょっと前までは春だったのに、もう夏の真っ盛りである。