home

日付: 2016年6月4日
場所: シュネーアルペン小屋(Schneealpen-Haus:標高1,762m)
地域: オーストリア(Austria Republic) 上オーストリア州(Oberöstrreich)
訪問地: kapellen(703m), (Bicycle), Kohlebnerstand(1,450m), (foot), Schneealpen-Haus(1,762m), (foot), Kohlebnerstand(1,450m), (Bicycle), kapellen(703m)


 


 目指せシェーネアルプス

 シェネーアルプスは、ウィーンの南西60km〜100kmにあり。標高2000程度の山々が連なっる上に、頂上あたりが、ちょうど高原になっており、独特の山容を呈する。

 今日は、標高702mのカペレン(Kapellen)の村から、シェネーアルプス標高1700mの高原まで行ってみるつもりである。

 心配なのは天気の不安定さだ。連日、一日の夕方には、雷を伴った夕立がくる。  

 

 


農家兼料金所を通過  

   自転車でどこまで登って行けるからない。深い森の中を登っていくと、突然、視界が明るくなり牧草地帯に入る。そして一軒の農家が見えだす。

 すると道路上に通行止めの標識にぶつかる。通行止めの標識横の立札をよくよく見ると、ここより上は、有料だと書いてある。「7ユーロを徴収」と書かれている。これは車の場合であって自転車は無料だ。

 ずいぶんと横柄な農家で、立札には、お釣りのないように払えとも書かれている。ここより上は私道なのだろうか、それとも公的機関から代金徴収を肩代わりしているのだろうか。道路の整備状況は非常に良い。



 


舗装道路から砂利道に  

   目分量ではあるが、標高が1000mを超えると、道路は砂利道になった。10%程度の勾配の道路が続く。息があがり時々、休憩して呼吸を整える。林道として使っているようで、道路脇の所々に切り出した木材が山積みされている。時折、谷川の視界が開けて遠方が見る。だんだんと高度を稼いでいるのを実感する。

 山々の景色は夏の装いだ。空に浮かぶ雲は、ニョキニョキっと積乱雲か積雲だ。時折停止して、水を飲む。息を整えた後、また走りだす。その繰り返しだ。

 この林道に限らず、オーストリアの山道にはカーブごとに名前が付けられている。カーブ毎に、曲がり角の名前を示す立札が立っている。考えてみたらこの方法は、例えば、事故を起こしたときに、電話で場所を伝えるのに良い方法である。距離表示も良いが、一つ一つのカーブに名前がある方と味がでる。  

 

 


駐車場に自転車を置いて徒歩でスタート  

 午前11時10分に標高1,450mのコーレブナースタンド(Kolebnerstand)に到着する。標高702mの登り始めの時刻が9時30分だったから、1時間40分をかけて標高差750mを登ってきたことになる。ずいぶんとゆっくりしているなあと我ながら思う。

 コーレブナースタンド(Kolebnerstand)は、駐車場で、一般車両はここに自動車を置かなければならない。これより上に登るには徒歩か自転車だ。自転車で登ろうかどうしようかと迷う。砂利道が、結構、荒れているので、Giant MR4で無理するのはよそうと思う。駐車場の目立つところに、チェーンで自転車をしばりつけて、歩き始める。



 


牛フン転がる登山道

   標高1,500mを超えると針葉樹林地帯に入る。そして周りは、牧草地が広がるなだらかな高原地帯だ。牛の放牧が行われているようで、道路上のあちこちに牛フンが落ちている。天気が悪いせいか、すれ違うハイカーは少ない。どことなく寂しい道だ。空のところどこに黒色をした雨雲らしきものが、浮かぶようになった。そろそろ雨でもふるのだろうか。



 



空腹の犬と酒飲みのサイクリスト集団  

   標高1,762mのシュネーアルペン小屋に到着したのは、正午過ぎだった。小屋は営業しいた。コヒーでも飲もうかと思ったが、小屋の中に、多数の人がいるようで、やかましい話声が外まで響いてきた。ちょっと、落ち着けないなあと思い、外のベンチで昼食を始める。

 食事を始めると一匹の大型犬が近づいてきた。ご主人達は、小屋の中で食事でもしているようで、かわいそうに、外に一匹置き去りされてしまっているようだった。

 その犬は、かなり空腹な様相で、私のツナ缶に強い興味を示した。何度も追い払うが、寂しい顔をして「何かくれ」と言いたそうな顔をして寄ってくる。空缶をテーブルの上に置いていたら、犬は顔を伸ばして、空き缶を地面に落とす。そしてクンクンと何かないかと探っている。生まれてから私は犬というものを飼ったことがないが、この犬のご主人は、なんと無責任な方なのだろうと思う。

 シュネーアルペン小屋前には、10人程度のサイクリストのグループがいた。この人たちは、マウンテンバイクで登ってきた人達で、徒歩の私を追い越していった人たちだ。この人たちは、そういえば、私が自転車を置いた駐車場で見かけた。午前9時を過ぎたばかりなのに、丸くなってビール瓶をラッパ飲みしていた人達で、何を語っているのか、大きな笑い声をあげて、ビールで登り始めの気勢付けをしていた。こんな高度で、しかも酔っぱらって激しい運動をしたら、心臓が停まってしまうぞと思うのだが、若いと言うことは何でもできて羨ましい。



 



雷鳴が轟く高原  

   午後1時前に、パラパラと雨粒が空から落ち始めた。だんだんと空を黒い雲が覆っていく。近くにあるウィンドベルグ山(Windberg:1903m)に登ろうと思って、登山道を歩き始めると雷音が轟いた。こりゃ危ないと思い、すぐに引き返してきた。雨も降り始めた。

 たまたまリンフォッファー小屋(Rinnfofer Hutte)が近くにあり、中に入った。小屋の中は、雨宿りの人々でごった返していた。ビールを注文して、雨が小降りになるのを待つ。しかし雨脚は、一向に弱まらない。ずっと強く降り続くのが小屋の窓から見える。小屋の中では、犬が3匹いた。雨が小降りになるのを待ち続ける小屋の中野人達は、どうも犬の話をしているようだった。私の貧者なドイツ語で、時折、それらしき単語が並んでいた。しかし、オーストリアという国は、どこにいっても犬ばかりだ。特に、山は多い。



 


 雨の中を徒歩で下山  

   午後2時過ぎまで、山小屋で雨の止むのを待っていたが、雨は止まなかった。小屋で雨宿りをしていた他の登山客は、皆、帰りの身支度を始めた。私もそうすることにした。

 雨着を着て、小屋の外に出る。雨に濡れ始める。1時間程歩いて、徒歩出発点の駐車場に帰ってきた。自転車は、雨にずぶ濡れ状態だった。スピードを出さないように砂利道を下り始める。強い前傾姿勢は、かなり腰に負担をかけているようで、辛いが我慢する。山小屋でしばらくの時間を一緒に過ごした人たちが、自動車から手を振って私に挨拶してくれる。親切な人たちだ。

 40分かけて、出発点の標高702mに降りてきた。時刻は午後3時10分。下界は明るかった。雨はほとんど降っていない。