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日付: 2016年5月2日
場所: ビトブ砦(Hrad Bitov)
地域: チェコ共和国(Czech Republic) モラヴィア地方  
訪問地: Cizov, (car), Lancov, Cornstejn, Bitov, Hrad Bitov, Zblovice, Svoboduv, Vysocany, Oslnovice, Lancov, (car), Wien


 


ホテルで出会った可愛い子供

 ホテルに2泊しチェックアウトの日を迎えた。午前8時の朝食の時間に合わせて食堂に行く。今朝は、私と共に幼い子供を連れた2組の夫婦だけの朝食だった。幼い子供は、ちょうどハイハイからつかまり立ちが可能となった男の子と一人で歩き始めることができ始めたばかりの女の子だった。この女の子がとても可愛いのである。

 金髪で目のクリッとした子で、「パー」と言う言葉をおぼえたばかりだった。お父さん見て「パー」、お母さんを見て「パー」である。果ては私をみても笑顔で「パー」と言う。この仕草が何とも言えない愛らしいのである。またこの子がお父さんの人差し指をグッと握りしめて食堂の中を、ヨチヨチしながら引っ張るその姿がとても可愛いのである。わが娘の小さな頃の記憶が蘇る。

 チェックアウトの清算をお願いする。すると、ホテルの女将は「あなたはプロのカメラマンか、それともアマチュアか」と聞く。「とてもとても、プロではないですよ」と答える。女将曰く、この村に写真のギャラリーがあり、そこに私の主人が撮った写真が飾られているという。時間があれば、見に行ってくれと言う。どうもご主人が写真に凝っているらしい。  

 

 


まずは駐車場探し  

   今日は、昨日訪問したブラノブ(Vranov nad Dyji)の町の北にダムで堰き止められたブラノブ湖の周りを訪れてみるつもりだ。お城もいくつかあるようだ。

 まずはどこに自動車を駐車させるか迷う。ダムに隣接した駐車場がないか探すが、駐車場はあるのはあるが、あまりに木々が茂り、ちょっと危険な気配だ。やっぱりもう少し、人がいるところの方が良い感じだ。

 ブラノブ(Vranov nad Dyji)の町から数キロ北西に行ったところにランコブ(Lancov)という村がある。そこのバス停の前に10台程度が駐車できるスペースがあった。人目もありそうで、なかなか安全そうな気配だ。ここに駐車することに決める。近くに生協があり、ここで昼食用にパンとツナの缶詰を買う。そして北に走りだす。



 


用便を済ませて出発  

   走り出すとすぐに便意を感じ出す。普段なら便意は、だいたい朝食後にくる。ところが、旅をしたりして食事量が変わったりするとこのリズムが変わる。昨日は、ついに一度も便意が訪れなかった。

 今日は、早速の訪れだ。幸い、畑のど真ん中だが、ちょっとした茂みが道沿いにある。そこにしゃがみ込んで用を足す。チェコはダニ脳炎のホットスポットだ。ダニ脳炎を感染させるのが所謂「ゼッケン」というダニだ。草むらや森の中に潜み、チャンスを待っているという。草むらでの用足し、これはちょっと危険だったかも。

 今日は月曜日。オーストリアは祭日ではない。5月、田舎の平日の観光地はとても寂しい。お城見物などのツアーは土・日・祭ぐらいしかやっていない。案の定、コルンスタイン(Cornstein)城は休みだった。中庭にさえも入ることはできない。残念だ。崩れかかった廃城だ。誰も悪戯する人はいないから、入れて欲しいものだ。  

 

 


ここにも宗教勧誘者が現れる  

 ビトブ(Bitov)の町に着く。市庁舎らしき建物の前に綺麗な公園があり、そこで並木道の写真を撮っていた。すると一人の男が私の傍に寄ってきた。チェコ語らしき言葉で私に話しかけてくるが、さっぱりわからない。服装と眼つきからして、この男からは宗教勧誘らしさが漂う。私は自分の顔の前で手を振って、興味ないよという仕草をする。するとその男はすぐに諦めて立ち去っていった。

 チェコという国には、どうしてこんなに宗教の勧誘をする人々が街をうろついているのだろうか。チェコに来て、もう3回も宗教勧誘を受けた。彼らは私が旅人だと理解できないのだろうか。それとも数打てば当たる敷に、誰かれの関係なく、機関銃のごとく話しかけているのだろうか。たまたまか、或はこれが普通かはわからないが、この国は不思議な国だ。  



 


ワイルドな走り

   ビトブ(Bitov)の町からビトブ城までは、ほんの数キロだ。立派な舗装道路があり、そこを走ればすぐに到着だ。しかし、それでは脳がないと思う。少し、ワイルドな走りを求めて、自転車道を走ることにする。  



 


今日は閉館日  

   森を抜ける。すると眼の前に、ぽっかりと口を開けた砦が現れる。幸い、門戸は空いているようだ。城内に入られなくても中庭ぐらいには入れるかもしれないと思う。最低限、城から景色が眺められる場所に行かれればと思う。

 砦の門戸をくぐって中に入る。案内所があるが、今日は閉館のようで人影は見えない。勝手に入っていいのかなと自分で判断する。

 すると一人の40才過ぎの男が私の方向に歩いて来るのが見える。どうも城の関係者のようである。彼の身振りは、今日は中に入れないぞという風だ。英語で、今日は見たところ休みのようだがと尋ねる。「そうだ」とつれない返事だ。そして門戸を閉めるから、外に出ろとの仕草である。これは残念だった。

 しぶしぶと自転車を引いて外にでる。外の看板には、6月から9月過ぎまで城内に入れるが、今は週末か祭日のみと書かれている。



 


いつまでも鳴り続ける教会の鐘  

   ズブロビス(Zblovice)という名の村に着く。時刻は、ちょうど正午らしい。村の中心部に小さな教会がある。神父さんか、あるいは村の責任者か、60歳近いと思われる背が高い痩せ形の男が、教会の入口近くで、天井からぶら下がった紐を引いて一所懸命に鐘を鳴らしている。10秒ぐらいで良いと思うのだが、この男、軽く2分〜3分間は、鐘を鳴らしつづけていた。ストレスでも溜まって、教会の鐘を相手に鬱憤晴らしでもしているのだろうか。

 村はずれで面白い物を見つけた。畑に木彫り人形が飾られており、その人形モデルがギターを背負い立派なヒゲを生やしたオジサンなのである。親近感のある容貌といで立ちで、道路を通る人を眺めているように置かれていた。その人形の奥に小さな平屋が建っている。恐らくこの人形の持ち主あるいは造り主であろうが、粋なことをする人が住んでいると見る。



 


スーパーの隣で食事  

   ビソカニー(Vysocany)の町に到着する。時刻は午後1時を回っていた。そろそろ昼食の時間であり、どこか心地よい場所がないものかと物色する。すると小さなスーパーがあり、その横にベンチと机が置かれている。木陰で涼しそうである。

 今朝、生協で買った缶詰をリュックから出す。なんと、この缶詰は缶切りが必要な旧式の缶だった。缶切りなど持ってきていない。食べられない運命かなと思ったが、ベンチの隣にスーパーがあったので、そのスーパーの中に入って何か食べ物がないかと探す。幸い、プル式の缶詰を売っていた。すぐに買う。チェコ製のツナ缶詰で、価格は35クローネ(140円)だった。今日の昼食は、パンと缶詰とリンゴ一個だ。



 


今日の走りは終わり  

   午後2時過ぎに、今朝の出発点であるランコブ(Lancov)村に帰ってきた。自転車の走りは3日目。ちょっとした脱力感だ。自転車を車の中に押し込む。これで今日の走りは終わりである。