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日付: 2016年4月30日
場所: ジェビソビス城(Jevisovice castle)
地域: チェコ共和国(Czech Republic) モラヴィア地方  
訪問地: Wien, (car), Jevisovice, Jevisovice castle, Strelice, Rybnik, Rozkos, Trebic, (car), Cizov


 


すがすがしい朝

 ウィーンを午前7時に自動車で出発する。北に向かう。数十キロは高速道路だが、途中から一般道となる。1時間程度でオーストリアとチェコの国境を越える。  

 国境を越えると、看板に書かれた文字がドイツ語からチェコ語に変わる。 ガソリンスタンドの価格表示もユーロ表示ではなくクローネ表示になる。 オーストリア側に乱立しる風力発電所用の風車が、チェコ側ではまったく見当たらなくなる。 道路を走る車が、どことなく旧型が目立つ。 サイクリングではない生活用自転車を多く見かけるようになる。 道路沿いに屋根が崩れた家が多くなる。家の外壁が、どことなく汚れた家が増える。明らかに貧しさが風景に現れているようだ。  

 実は、チェコには何回も来ている。知らなかったが、自動車のライトは常灯していなければならない交通ルールがあるらしい。 そういえば、対向車線の車は、夏の昼間でも点灯している。  

 国境から20km程、チェコ側に入ったジョビソビス(Jevisovice)村に自動車を駐車させる。ここから今日の走りを始める。 体調良し。天気も上々だ。今日は、気持ち良い走りが期待できそうだ。  

 

 

 


干し草の山  

   ジョビソビス(Jevisovice)村を出て自転車で南に下る。すぐに田園地帯に入る。すると、路肩にうず高く積まれた干し草の山を見つける。

 普通、畑でみかける干し草は、直径約1m、高さ1mくらいにロール状に巻かれている。 しかし、ここの干し草は、四角形だ。まあ、収穫した機械が違うのだろうが、この干し草の山はすごい。高さが10mに達する山だ。 子供がここで遊んで、何かの拍子に、上から干し草の塊が崩れてくるのではないかと心配する。それに上の方の干し草の塊は、もう傾いている。 これは危ない。写真を撮るために、干し草の山に自転車を近づけるが、今にも崩れてくるのではないかと、恐る恐るだ。  



 


ジョビソビス城  

     走り始めてしばらくして、はっと思い出したことがある。それは教会横に駐車した自動車のライトだ。消した記憶がないのである。 これはいけない、このままではバッテリーが上がってしまうと思い、急いて駐車場まで帰る。  

 自動車のライトをチェックする。消灯していた。よかった。 どうも、私の車のライトは、エンジンを切ったとたにライトは消えてしまうようだ。これは便利な機能だ。  

 再度走りだす。少し、ルートを変えて、今度は北に向かう。すぐにジョビソビス城に着く。 ジョビソビス城は、ジョビソビス村の北端にある。ちょうどそこは、崖になっており、城としての立地は良い。  

 城はリノベーションしたばかりのようで、どこも綺麗に整備されている。掃除も行き届いている様相だ。ちょっと綺麗すぎる感じがしないでもない。 残念ながら、今の季節は閉館しているようだ。閉館しているにもかかわらず、入り口扉の前で、一組の若いカップルがイチャイチャしている。 若いということはよいことだ。  

 

 


宗教勧誘  

 リブニック(Rybnik)という村で、ちょっと休憩。どこかにベンチのような座るところがないかと探す。うまく見つからない。 しょうがないので、地面座りでも良いから日陰で良い場所はないものかと物色する。 すると倉庫らしき建物の日陰側に、きれいに芝刈りを終えた場所を見つける。ダニも少なそうに見える。そこに座って、ポットに入れてきたコヒーを飲み始める。

 すると古ぼけた1台の自動車が、私の目の前に止まった。なんでわざわざ、私の真ん前に止まるのだろうと不思議に思う。 小さな車なのに、5人程度が乗車しているように見える。助手席には若者が座り、この男はネクタイをしている。彼らは何がしないのだろうかと推測する。

 1分経ち、2分が経つ。でも彼らは一向に行動を起こさない。変な人達だと思い、私は、さっさとマグカップをリュックにしまい自転車で走り始めようとする。 すると、運転席にいた60歳がらみの男が、ちょっとまってくれというジェスチャーで私を引き留めた。どこから来たかと尋ねられる。日本からと答える。  

おおっという驚いた声で、「ヤポンスキー」かと言う。私は、「ヤポンスキー」という声の響きに、思わず笑ってしまった。 何んとも、ロシア語みたいなユーモアある言葉だ。「ちょっと待ってくれ」と、その60歳がらみの男が私を引き留めて、一冊の本をめくり始める。日本語の説明文を探しているようだった。

 こりゃ、どうも宗教臭いなと感じ始める。しばらくして60歳がらみの男が、日本語で何か書かれたペ―ジを私の目の前に差し出して、読んでみて欲しいというような顔をする。 中身は、私も聞き覚えのある「〜の証人」の勧誘だった。  



 


ハマっている食べ物

   このチョコレートに、最近、ハマっている。ナッツが丸ごと入っている「Milka」の製品だ。大きさも手ごろで、極端に甘くないところが良い。 包装が紫色で統一しており、全面に可愛い仔牛が描かれている。店でも、すぐに、あああれだと見つけやすい。値段も150円程度だ。

 大体が、休憩時に少し食べるのだが、勢いあまって、全部食べてしまうことがある。甘いものは、習慣性が付くと言われるが、まさに、それだ。 今日も昼食後、と言っても、パンと缶詰、そしてリンゴ一つだが、それらを食べた後に、一袋食べてしまった。 カロリーは、100gで550Kcalと、さすがに本物のチョコレートだ。  



 


森の中の奇妙な建物  

   森の中は、鳥の鳴き声がそこらじゅうに響いてウルサイくらいだ。ピピーと、どこにこんなに鳥がいるのだと思うほどに、よく騒ぐ。 道端に、ベンチを見つける。少し、休憩しようと腰を下ろす。すると、ベンチから10m程離れたところに、そこはもう森の中だが、そこに可愛い高さ1mくらいの 建物が建てられている。ちょうど、犬の小屋といった感じだ。

 なんだろうと思い近づいてみる。すると、足元がググッと沈む。ぬかるんでいるようだ。何んとか、その建物の場所までたどり着いて、その家の扉をあけてみる。 なんと、これは井戸ではないか。建物は、どうも木の枝や木の葉が、井戸に入らないように覆ってあるようだ。 しかし、こんな死に水のようなものを飲んで大丈夫だろうかと思う。これは明らかに飲み水らしく、扉の横にマグカップが一つ置かれていた。 なるほど、と思う。



 


午後の昼下がり  

   なだらかな下り坂が続く。空は、一点の雲も浮かんでいない。なんとも、のどかな一日だ。 自転車を停めて、目をつぶって、一体、今、何が聞こえるものかと耳を澄ませてみる。

 遠くから、自動車らしきものが発している音、森から流れてくる鳥のさえずり、そして雲雀の鳴き声。体の周りで、ミツバチかハエかの飛び回る羽音も聞こえる。



 



世界遺産の墓地  

   トレビkック (Trebic)という街は、世界遺産に登録されている町だ。 町にユダヤ人墓地があり、その墓地がヨーロッパで一番よく保存されているとのことだ。あるのは墓石だけである。

 墓地は、町の北に位置する高台にある。自転車で登っていくには、結構、骨が折れる。 ハアハア言いながら、町の中心から墓地の前まで、標高にして100m程を登りきる。墓地の入口には、世界遺産登録のプレートも飾られている。

 人影は見当たらない。観光バスが、ところ狭しと駐車しているかと思えば、拍子抜けだ。恐る恐る入口の扉を開いて中に入る。中にも誰もいない。

 墓地の規模はそんなに大きくはない。奥に行くにしたがって、斜面になっている。 お墓の大きさも、平らなところは大きな立派なものが多いが、奥の斜面のところは、小さな石でできた粗末なものになる。いずこの場所も、金がものを言うようだ。

 墓地の近くにユダヤ人街がある。歴史を感じさせる古い家が並ぶ。そこに一枚の説明看板をみつける。英語で書かれていることから意味が理解できる。 何でも、ナチ時代には、この地区に200人以上のユダヤ人がいたが、生き残ったのは十数名だったとのことだ。 中世の時代から迫害を受けていたユダヤ人、迫害を逃れて小さなゲトーを作っていらのだろうが、歴史の波に流されてしまったようだ。