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日付: 2016年4月24日
場所: ブフロブ城(Buchlov castle)
地域: チェコ共和国(Czech Republic) モラヴィア地方  
訪問地: Buchlovice, Buchlovice Zamex, (radweg 5151), Buchlov castle, (radweg 5159), Brestek, Buchlovice, (car), Wein


 


変なテレビ局

 どこの国も日曜日の朝のテレビ番組は退屈だ。チェコ共和国もそうだ。 どこのチャンネルも米国オリジンのドラマを垂れ流している。  

 そのテレビ局の放送で目を引くチャンネルがある。単に時計を映しているだけの映像を流し続けている。その画面が面白い。 コンピュータグラフィックスで作った画面が無機質で、人間の骨で時計が組み立てられている。例えば、時計の振り子は白骨の手首だ。  この時計は時々、異様な動きを見せる。それが面白い。例えば部品の一部から白い湯気が出る。また鉄管の中を何かが通る際にその鉄管が、大きな物を食べた蛇のお腹のように膨れるのである。  

 ホテルの食事は朝8時からだ。レストランには、ホテルのフロントにいた頭が綺麗に禿げ上がったオジサンが一人いた。給仕しているようだ。 食べ物は例によって、いつものパターンで目新しさはない。ただしレストランの装飾や調度品が、あたかも骨董品らしく部屋の古さとマッチしている。 感じの良いホテルだ。さすがに、Booking.com評価で9.3をマークするホテルらしい。この一泊40ユーロでこのゴージャスさは、オーストリアでは味わえない。  

 

 

 



ブフロビスの修道院  

   ブフロビス(Buchlovice Zamek)修道院の開門は午前9時からだ。庭園だけの入場ならば、30クローネ(150円)。これはお値打ちだ。 午前9時の開門を待つ。2台の観光バスが、すでに駐車場に待機して開門を待っていた。いずれも国内の観光バスのようだ。 観光バスの乗客は、60歳〜70歳のおじいさんばかりのように見える。その老人達の集団の塊について入場する。もちろん、入場料は個人1名として払う。

 修道院の中心は、立派な建物だった。十分に手入れが行き届いている。さすがに、有料施設だ。建物前の道路上には、きれいに潰されたレンガの小一片が散らばっている。きれいに整備されている。

 庭園の面積は大きくはない。コンパクトにまとめられている。どこまでもシンメトリック模様に拘ったフランス庭園を思わせる。ここまでこだわるかと思うほどだ。 ただ、静物の石や建物はシンメトリックに配置すれば、それで良い。ところが樹木は生き物だ。いずれ大きくなって対称性を壊してしまう。これは厄介なのだろう。 せっかくの対称性の中に、樹木だけが、異様な個性を放っている。

 庭園の植物もしっかりと手入れされている。どの樹木も樹齢数百年を超える立派なものだ。歴史を感じさせる。写真に撮った松などは、しっかり手入れさえすれば、こんなに大きく成長するものかと驚く。



 


 名残りのビールジョッキー  

     昨夜の遅くまで、結婚を祝う宴が地上階のレストランで開かれていたようだ。 3階に位置する私の部屋まで騒ぎ声が響いた。  

   今朝、まだ昨夜の宴の名残が残っている。ホテル前の駐車場には、結婚式用に飾った自動車が2台置かれていた。 それとともに、ホテル前の歩道に、飲みかけのビールの入った大ジョッキーが、一つ寂しく置かれていた。  

 私は旅人だ。訪れる街の風景の、ほんの一瞬しか見ることができない境遇だ。地球上のいろいろな町で、そこに住む人たちが、今のこの瞬間を様々に生活している。 私がこの世にいようがいまいが、それぞれの風景の中の時間は流れていく。  

 

 


滑る登坂道  

 今朝未明に雨が降った。屋根裏部屋の壁を打つ雨音をベッドの上で耳を澄ませて聞いていた。 また雨の中の走りかなと思う。これは、毎日が毎日天気の良い日ではないと自分に言い聞かせることで、諦めは着く。ただ、寒いのは困る。

 ブフロブ城(Buchlov castle)に向けて林道を走る。林道は、ダートだが自転車道仕様になっているようだ。 20%を超えるような急坂では、タイヤが地面をスリップしてしまい空回りしてしまう。地面が雨に濡れているせいもあるだろう。タイヤが細いせいもあるのかな。

 森は、新緑でむせ返るようだ。願わくば、太陽がこの新緑を照らし出してくれればと思うが、それは欲張りなお願いのようだ。    



 


城の下の駐車場で、頭を強打。眼から火。

   午前11時前にはブフロブ城(Buchlov castle) に到達した。林道を8kmほどしか走っていないが、達成感は大きい。

 城に付属した駐車場には、50才過ぎの太ったおっさんが、駐車整理を行ったいた。このおっさん、自動車で登ってきた人達から駐車料金をも集めている。それが主たる仕事かな。 今日は日曜日。5分に1台くらいは、自動車がやってくる。駐車料金をいくら請求しているのかはわからないが、一日あたりで考えれば、駐車場整理のおっさんの給料くらいだろうか。 であれば、居てもいなくても良いような気がするが。まあ、これは旧社会主義の名残なのだろうか。

 自転車の駐輪料金はもちろん無料。チェーンでしっかり自転車を駐輪場の鉄骨に縛って、城の方向に歩いていく。するとすぐに城の入場口に着いた。入場は有料との張り紙が、カウンター窓のガラスに張り付けられている。チェコ語はわからないので、1枚お願いしますと頼む。すると受付で座っていたお兄さんは、見よう身振りで説明を始める。このお兄さんは若いのにまったく英語を理解しない様子。いろいろとコースがあるようで、指で一番安いツアーを指さしてこれを1枚とお願いと頼む。すると1枚のチケットを渡してくれた。 30クローネ(150円)である。これは安い。

 ところが、このチケットでは城の中に入れないことは後でわかった。お土産屋さんがあるエリアしか入れないのである。これには参った。あまりにセコイではないか。入り口から、たたの20mくらいのエリアだけで、金を取るとは。安いからと言っても、これではぼったくりだ。城からの眺めも楽しめない。少し、腹が立つ。

 何と言うケチな城だと、捨てセリフを独り言で言って、早々に城を後にする。そして駐輪場に帰ってくる。あまりに寒い。凍えそうにブルブルと体が震える。ポットに入れてきた湯でコヒーを入れることを思いつく。 幸い目の前に手頃なベンチがある。ところが、災難は突然やってきた。

 ベンチには親切にも屋根がついているが、その屋根の高さがずいぶんと低いのである。その屋根に頭を思いっきりぶつける。不幸にも、ヘルメットはかぶっていなかった。 目から火が出るほどの痛みを感じる。この痛みは数年振りだと思うほど強く打ちつける。しばらく、痛みで立ちつくした。頭に穴が開いてしまったのではないかと思うほどだ。

 しかし、付いていない時は付いていない。



 


セーターを持っていないことを悔やむ  

  町へ下る道を走りだす。昨夜の雨のせいか、とにかく寒いのである。気温は、恐らく摂氏10度以下だろう。風が冷たい。鼻水が出始める。寒さで風邪をひいてしまうのではないかと危惧する。

 先週の走りは、幸いにも、とても暖かい中での快適な走りを楽しめた。それが、仇になり、気を緩めてしまったようだ。防寒用品を持ってくるのを忘れてしまった。 下半身は、パッチを履いているから、それで何とかなる。ところが、上半身は半そでシャツに薄い長袖シャツ、それに防風用のヤッケだけだ。あまりに装備が貧弱である。

 薄日さえ射してくれれば、ヤッケが黒色のおかげで暖かくなると期待する。しかし、日陰道に入ってしまうと、震えが出てしまうほど寒い。サイクリングを楽しんでいるという状況ではなくなってしまう。

 道端の牧草地で、数頭の馬が、のんびりと草を食べていた。あいつら、服も着ずに、寒くはないのだろうかと変なことを考える。



 


菜の花畑が見頃  

   ブレステケ(Brestek)からブフロビス(Buchlovice)の町間距離は、たかだか2kmだ。ただ、ちょっとした丘を越えることになる。

 この丘は、見渡す限りの菜の花畑だ。モラヴィア地方の丘陵が、菜の花がつくる黄色の絨毯に程よい緑のアクセントをつけている。 こんな気持ちの良い場所を自転車で走ることができる今の身の上に感謝だ。



 


おっと、見事な車の塗装絵  

   ブフロビス(Buchlovice)の町に帰ってくる。町をブラブラとポタリングする。すると、面白い塗装をした一台の車を見つける。 カーレース用の自動車とその前に立つミニスカート姿の女性をモチーフにした絵がボディーに描かれている。 色っぽいと言えばその通りだが、これ、結構、芸術性がある絵だ。