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日付: 2016年4月9日 日
場所: ポッドサラソム峠(Pod salasom 標高534m)
地域: スロヴァキア(Slovakia) カルパッチア山地
訪問地: Wien, (Car), Sväty Jur, Pod Salasom(534m), Sväty Jur, Pozinok


 


雨の週末

 この週末は雨との予報。実は、出かけるか出かけまいかと迷った。ホテルのキャンセルは、本日の17:59までに行えば違約金は発生しないと言う。 なまじっかもうキャンセルできなければ、仕方なく出かけるのであるが、ホテルの親切さが、逆にありがた迷惑という感じだ。  

 と言いつつも、「初志貫徹」が基本と言い聞かせて、自動車で出発する。目指すは隣国スロバキアだ。雨は強く自動車のフロントグラスを叩く。 ほんとうにこんな天気でサイクリングできるものだろうかと考える。  

 

 


小さな町  

   心配した国境越えも、あっけないほど簡単だった。国境検問所で車線が1つになり、速度制限が40km/hになるだけだった。検問所に人影はない。

 サベッティージュール(Sväty Jur)は小さな町だ。町の観光案内板によれば、この町が中世頃からのワイン生産で名を成していると書かれていた。 そういえば、町の家並みにワイン蔵らしき建物も目に付く。

 町の真ん中に一本のメインストリートがある。この通りの両側に生活必需品を売る店々が並ぶ。 非常にすっきりしている町並だ。 土曜日の午前中、買物客で町は人で賑わっている。



 


 不親切な店屋の店員  

  田舎は、土曜日の午後は店を閉めてしまう。したがって、午前中にある程度の物を買っておく必要がある。 サベッティージュール(Sväty Jur)の町に食料品を売る店らしきものがあったので入ってみる。 小さなスーパーだ。村の雑貨店のような感じだ。パンとチョコレートを籠に入れて、お願いしますと勘定カウンターに載せる。  

 対応してくれたのは、20歳過ぎの娘さん。でもまったく愛想がない。 一言もしゃべらずに、淡々とレジ作業を行う。こんにちはもさようならも言わない。 販売競争がないからか、あるいはよそ者で何を言っても通じないだろうと思っているのだろうか。 まあ、考えてみたら、何の変化もない仕事を、やっているだけだから仕事に飽きてしまっているのだろう。    

 

 


雨の田舎道  

 雨は降り続く。メインストリートを抜けて、ドンドンと北上する。次第に高度が高まる。 地図で見る限りは、ここらあたりはカルパチア山脈の西端部分で、小カルパチア山脈と呼ばれている。標高は400m〜500mのなだらかな丘だ。

 道路の手入れが悪い。継ぎ接ぎだらけで地面の細かな起伏を受けて自転車がガタガタ揺れる。パンクにならなければ良いがと思う。

 一台のパトカーが、私を追い抜いていく。こんな町外れで何を警備しているのだろうかと考える。



 


雨の林道

   サベッティージュール(Sväty Jur)の町の標高が180m、ポッドサラソム峠(Pod salasom)が534mだから、結局、標高差350mを登ったことになる。 麓は、木々の新芽が開いていたが、ここの峠は、ちょうど開き始めたばかりのようだ。

 雨は、小降りながら、以前、降り続いている。MTBに乗ったバイカーが一人、私を追い抜いていった。 こんな雨の中を、わざわざサイクリングしているのは、私だけかと思ったが、物好きはいるものだ。



 


小カルパチア山脈でのカップ麺  

     時刻は正午近くなった。峠の近くに、屋根のついた休憩所を見つける。ちょっと早いが、雨風を凌げる場所なので、ここで昼食を摂ることにする。 今日は、先日、中華食品店で買った日清のカップ麺を持参した。お湯は、ウィーンからポットに入れて持って来た。 最近のポットは、ほんとうに性能が良い。午前6時に350mlのポットに入れたお湯が、6時間たってもまだまだ十分温かい。

 思うに、こういう悪条件下で食べるラーメンは、普通は、とてもおいしいはずなのだが、オーストリアで手に入るカップヌードルの味は、今一つだ。 恐らくは、舌が慣れていないせいもあるだろう。ああ、日本のカップヌードルを食べてみたいものだ。



 


古い絵になるワイン蔵  

   雨は昼過ぎになって止んだ。サベッティージュール(Sväty Jur)の町に帰ってくる。 たかだか人口1000人ほどの小さな町だが、大したもので、町に案内所があり、案内所の掲示板に町の10大名所が書かれている。その一つが、ワイン蔵だった。

 そのワイン蔵は、町の案内所から歩いて1分程度のところにある。見るからに古そうで、どことなく絵になる。自転車をワイン蔵前に停めて、写真を撮ろうとする。 すると中から一人の若者らしき人が、英語で話しかけてきた。
「中に入るか?中を見せてやるよとのことだった」
もちろん断ることはないと、見たいものだ、見せて欲しいとお願いする。その青年は、木製の古そうな扉をあけて中にいれてくれた。  



 



14世紀の建築  

   その青年は、このワイン蔵がかなり痛み始めたので、現在、リニューアルをしているという。どうも、この種の古い建物の修繕を行う人達のようだった。

 中をいろいろと案内してくれる。どれもこれも古い。彼曰く、この家は14世紀のものだという。君の後ろの梁は、13世紀に山から運び出してきたものだという。

 ほんとうかどうかは疑わしいが、どれもこれも年代物であることは確かだ。

 青年曰く、今は修繕中だから、このワイン蔵ではワインは飲めないが、あと一カ月くらいしたらリニューアルオープンをする。 その時には、ぜひとも、ここまで来て欲しい。そしてこの町のワインを飲んで欲しいと言った。良い経験をした。 14世紀と言えば、鎌倉時代である。その時の家を観られるとは、これはツイテいる。



 


ブラチスラバ  

   午後2時には、サベッティージュール(Sväty Jur)の町とその周りの大方を回り終えた。 ホテルのチェックインは、午後5時以降だから、ちょっと中途半端である。  ということで、15km程離れたブラチスラバの町をブラブラと散歩してみることにした。土曜日の午後だから、車の駐車場探しも楽そうだ。

 ブラチスラバは、人口40万人程度。スロバキアの首都だ。隣国のウィーンとは60km程度しか離れていない。町は、とてもコンパクトにできている。 土曜日、飲食店以外の店は全部閉まっている。ただ、観光客は、まばらながら、ちらほらといる。

 言葉とは、不思議なものだと思う。ドイツ語とフランス語もそうだが、たった川一つ離れただけで、まったく異次元の言葉を話す。 ここのブラチスラバもそうだ。 ちょっとした国境を超えるとドイツ語圏からスロバキア語圏に移る。 店看板に並ぶスロバキア語のメニューを見る。まったく見当がつかない。 何だこれはと思っていると、レストランの中からお兄さんが出てきて、「どうぞお入りなされ」と声かけられる。



 


いまどき有線ラン  

   ホテルは、サベッティージュール(Sväty Jur)の隣町であるPezinokだ。 ブラチスラバから30分程度で着いた。

 ホテルは、乗馬クラブのゲストハウスだった。 ちょうど、日本でゴルフ場の受付のような場所がホテルの受付だった。

 カウンターに置かれたベルを鳴らす。しばらくすると若いお姉さんが出てきた。名前を言うとすぐにわかってくれた。 案内されたのは、馬の室内調教場の隣だった。ホテルがまだ建てたばかりであるうえに、とても清潔だった。馬の臭いはしてこない。

 ただ、インタネットが有線ランだったことには驚いた。私のパソコンではつながらない。残念だが、今晩は、パソコン利用は無しだ。