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日付: 2016年4月3日
場所: ラッポルテンシュタイン城(Burg Rapportenstein 標高701m)
地域: オーストリア(Austria) 上オーストリア州(Niederösterreich) 
訪問地: Rapportenstein, Burg Rapportenstein, Kirchbach, Etzen, (Bandlkramerweg), Schloß Rosenau, Schickenhof, Jarings, Merzenstein, Rapportenstein, (Car), Zwettl, (car), Wien


 


今晩のホテル

 ホテルは、農家の民宿だった。家の隣に牛舎があり、例の臭いが強い。部屋の床はフローリング張り、テレビもWI-FIのサービスもない。狭い部屋だがこぎれいだ。  

 午後10時には床に入る。すぐに寝入る。ところが、夜中に太もも内側の筋肉が痙攣して跳び起きる。 前に一度、夜中に両脚の同じ部分が痙攣したことがある。半年振りくらいだろうか。アキレスけんにしろ、太ももにしろ、寝ている深夜に痙攣するのはなぜだろう。  

 また変な夢を2つ観た。結構、リアルだった。 一つはプラスチックか何かを誤って飲み込み喉に詰まってしまう夢、もう一つは自分の体臭が非常に強くなり、周りの人々が私を避けてしまう夢だ。 どちらともネガティブな夢で冴えない。  

 

 


1人だけのお客  

   昨夜の宿泊客は、私だけだった。 民宿の前にWMWが停まっていた。だから他にお客がいるのかなあと思ったが、隣室からの物音は一つも聞こえなかった。WMWは、いったいなんだろう。民宿の持ち物なのだろうか。  

 朝、八時にリビングに降りて行く。食事がすでに準備されていた。ビュッヘ形式だ。たったの私一人のために、こんなにしてくれた。これは感謝だ。

   「卵は食べますか?」と尋ねられる。50歳くらいの背の低い小さな女性だ。お願いしますというと、数分経ってから、ゆで卵を持ってきてくれた。
 「ウィーンから来たのですか?今日はどこに行くの?」との問いに、「今日の午後には、ウィーンに帰るよ。この村近くにあるお城や田園風景を写真に撮りたい。」と答える。

 一人ビュッヘだから、あまり食べないのも何だし、思いっきり食べてしまうと、どこかカッコが悪い。ビュッヘの食事は、やはり大人数に向いている。



 


 この自転車文化には敬服  

   村から南に数キロ離れたところに、ラッポルテンシュタイン城(Burg Rapportenstein)がある。 城に向かう道路の両脇は鬱蒼とした森林だ。ただ、この辺り、林業が盛んなようで、森は綺麗に手入れされている。  

 城に向かう途中に一枚の立て看板を見つける。 その立て看板は、近隣の森の中に縦横無尽に作られているMTB用の道路が示されていた。 林業を営む人達にとって、実も知らずの人達に山の中に入ってもらいたくない思いはあるだろう。 しかし、このMTB用道路網はすごい。サイクリスト達のマナーが良いのか、あるいは林業経営者の心が大らかなのか、欧州の自転車に対する文化程度の高さには、 いつもながら脱帽だ。  

 

 


観光客がいない中世の城  

 ラッポルテンシュタイン城(Burg Rapportenstein)に到着。誰もいない。 城の入場門に掲げられた張り紙には、開門は、イースターと4月15日からの土・日・祝日と書かれている。どうも2週間程、早かったようだ。  

 城は、外から眺めるのが一番だ。そうなると季節外れに訪れた方が、観光客に邪魔されなくて良い。ある意味で今が一番の訪れ時なのかもしれない。

 城の南側には、柵に覆われた一角があり、そこに数頭のヤギが飼われていた。周りに人はいない。 一匹のヤギが、不思議そうな面付きで私を眺めている。はた、どんなことを考えているのだろうかと思案する。



 


村の案内所にある公共図書館

   ラッポルテンシュタイン城(Burg Rapportenstein)を後にして、北に走りだす。空は晴れている。風もない、サイクリング日和だ。

 数キロ走って、キルヒバッハ(Kirchbach)という村に入る。パッと見で数十戸程度の小さな村のようだ。 その村の中心のようなところに「I」の立て看板、つまり観光案内所がある。 観光案内所と言っても、2坪程度の粗末な倉庫用の建物があるだけだが、目を引いたのは、その建物中に、本棚があり、そこに様々な本が並んでいるのである。

 想うに、誰かが読み終えた本を置いたのが始まりだろう。それを誰かが真似をして、いつの間にか100冊を超える書庫が出来上がったようだ。 こういう、微笑ましい物を見つけると心が和む。  



 


自転車道(Bandlkramerweg)  

     私がサイクリングの際に持ち歩いている地図は、オーストリアの州別地図で、縮尺は20万分の一程度だ。 その地図は良くできていて、地図上に主要なサイクリング道やハイキング道、また歴史的な観光スポットも描かれている。

 地図に描かれているのが存在する全ての自転車道ではなくて、地元の村や地域が自主的に作った自転車道も至る所にある。 今回見つけた自転車道(Bandlkramerweg)、案内坂に、ちょっとした挿絵が描かれている。旅行者風のおじさんだ。

 この「Bandlkramer」とはなんぞえと思い、Wikipediaで調べてみる。 昔、この辺りに村々を回る行商人がいたとのことで、この人たちは紐やリボンを売りまわっていたという。そういわれてみれば、挿絵のおじさんも腰辺りに何かをぶら下げている。

 昔々のお話しで、何んとも優雅な話である。 それだけで生計を立てられていたのかはわからないが、ある意味、行商人が歩きながら情報流布・収集をしていたとのことで、これは商社員の原型のようだ。  



 


どうして一軒のレストランだけ混み合うのだろう。  

   本日2つ目の訪問はロゼナウ城(Rosenau Schloß)だ。この城は、中世のものではない。くバロック様式の最近のお城のようだ。 ロゼナウ城は、博物館になっているとともに、ホテルでもある。建物入口に、しっかりとホテルと書かれている。

 一泊、幾ら位で宿泊できるものだろう。そう思って、インタネットで調べてみる。今年、5月の土日一泊で、150ユーロ(約2万円)とのことである。 都会的な感覚で考えれば、この外見の豪華さで150ユーロは安い。

 このロゼナウ城ホテルの近くに一軒のホイリゲ(居酒屋兼レストラン)がある。なぜか、そのホイリゲの周りには、多数の自動車が停まっている。 結婚式の披露宴でもやっているのかなと思ったが、ホイリゲ前に停まっている車のナンバーは様々な地域のものが混ざっている。 それに、ホイリゲに入っていく人たちの服装も普段着だ。どうもイベントで集まったようではない。不思議だ。ホイリゲが出血大サービスで食事でも提供しているのだろうか。



 


イヌの嗅覚  

   時刻は正午を過ぎた。昼食の時間だ。どこか良い場所はないものかと探しながらペダルを回す。 私のサイクリング途中の昼食は、まあ、酷い物だ。道沿いのレストランには、あまり入らない。 食事に時間がかかること、それに欧州ではテーブルで一人で座って食事することは寂しい。

 したがって、サイクリング途中の食事は、パンと缶詰、そしてオレンジやリンゴなどの果物で済ませている。

 今日のお昼も、そのパターンで、パンと缶詰とパプリカ一つである。缶詰はツナ缶である。そのツナ缶を開けて、缶詰内にあるオリーブ油は地面に捨ててしまう。

 私が、食事を終えて立ち上がると、どこからともなく一匹の大型犬が、鼻をクンクンさせてオリーブ油を捨てた地面の周りに寄ってきた。すごい嗅覚である。



 


分かれ道  

   自転車でポタリングしながら、どこかに美しい分かれ道がないものかと思っている。 人生の分枝点のような、そんなシーンを想い浮かべさせるような分かれ道がないものかと探している。

 最高とは言わないが、1つ見つけた。右と左、どちらの道にも行先が示されている。 人生は様々な分かれ道に遭遇する。両方には進めない。どちらかを選んで進んでいかなければならない。  



 


還暦オジサンの道楽  

   時刻は、午後を3時を回る。今日の走りはこれまでだ。気温は摂氏20度近くまで上がているようだ。暑い。何か、冷たいものでも食べたくなる。

 自動車でウィーンへの帰路、ツベッテル(Zwettl)という町に寄ることにする。 地図で見る限り、大きそうな町だ。日曜日でも開店しているアイスクリーム屋があることを期待して町の駐車場に車を停める。町を歩く。 一軒のアイスクリーム屋を見つける。日曜の昼下がり、暑さのせいだろうか店前に人だかりができている。

 1.1ユーロ(150円)の一玉コーンのアイスクリーム。これがたまらなくおいしい。