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日付: 2016年3月12日
場所: 野菜と丘陵地の自転車道(Naturpark Obst-Hügel Land Radweg)
地域: オーストリア(Austria) 上オーストリア州(Uberösterreich)
訪問地: Wien, (car A1 250km), Eferding, Wachkersbach, Untergallsbach, Mittergallsbach, Pernau, Unterfreunddorf, St. Marienkirchen, Kalköfen Eferding, (car), Wels, (car), Gallspach


 


小雨降る高速道路のパーキングエリア

 エフェルディンク(Eferding)という町はリンツ(Linz)市の東側にある。 距離にしてウィーンから250q、移動時間は高速道路を走って3時間弱だろうか。  

 午前6時半にアパートを出発する。高速A23からA1に入り延々と走る。 残念ながら天気は雨模様だ。週末の天気予報も悲観的である。 毎日が晴れることはないし、毎日が雨になることない。 まあ、これは仕方がない。   

 1時間程走ってサービスエリアで休憩。昨夜はお酒を飲み過ぎた。その後遺症が残る。 自動販売機に1.2ユーロ(150円)を入れて、砂糖抜きのブラックコヒーを飲む。 ホテル予約しちゃっているから、とりあえず現地まで行ってみようと自分の身を引きづっていく感覚だ。  

 

 


天文学者ケプラーが再婚を祝った宿  

   午前9時過ぎにはエフェルディンク(Eferding)の町に着いた。 雨粒がパラパラと落ちてくる。ちょっと自転車で走り始める気分にならない。 町を散歩して天気回復を待とうと決める。

 町のメインストリートは広場になっている。 この通りはかなり傾斜しており、その一番高いところにちょっとした館がある。 その館の隣に、古びれた宿がある。その宿の壁に、何やらを説明する石碑が入れられている。

 17世紀の初め、惑星の公転が楕円であることを法則として打ち立てた天文学者ケプラーが再婚を祝った宿とやらが石碑に書かれている。 ドイツ生まれのケプラーは、1912年から1927年、40歳から55歳の頃リンツに生活していた。 再婚相手が、この街に生まれたスザンヌ・リヒティンガーという。ケプラーは59歳で没したとのことだ。 この街にそんな歴史があることを知らなんだ。



 


雨粒が落ちてこなくなる  

   人口2000人程度の小さな町だ。1時間程歩けば目ぼしいところは大体訪問することができた。 天気は回復傾向だ。ぽつりぽつりと雨粒が落ちていたが、気が付いてみたらそれもなくなっている。  

 これなら走れると思い自動車を駐車した鉄道駅まで戻り、自動車から自転車を取り出して走り始める。 主要道路を暫く走る。ほどなく幹線道路から田舎道に入る。 適度なアップダウンのある面白い田園風景だ。 良い写真が撮れるかなと思ったが、この天気では期待できない。  

   

 

 


可愛い子供と40歳を祝う儀式  

 田舎をポタリングしていると時々微笑ましい物を観かけることがある。 実は、これが楽しくて田舎ポタがやめられないのである。

 1台のトラクターが大型タンクを牽引し、畑で消毒薬を散布している。 家でタンクに補水し、それを畑まで運んでいって散布しているように見える。  一軒の農家の前を自転車で通り過ぎる。 すると一台のトラクターが家で補水をしている真っ最中だった。 運転手はトラクターから降りて何やら補水にかかわる仕事に精をだしている。 微笑ましいのは、トラクターの助手席に2歳が3歳かわからないが、まだまだ小さな 子供が座っているのである。不安そうにお父さんが運転席まで帰ってくるのをまっている。 助手席に座る子供の小ささが何とも言えない可愛らしいのである。

 道路沿いに変な案山子がたっていた。よくみると、顔のところに写真が貼ってある。 かなり精巧に作られている。その隣に布の上にスプレーで何やら書かれたものが見える。 何と、ある人の40歳を祝うことが書かれている。 ドイツやオーストリアでは、10歳ごとの年齢区切りで、誕生日を大々的に祝うようだ。 この40歳祝いののぼり、一日で2つ観ることができた。



 


自然公園

   持参した地図を眺める。現在いる場所の説明に「果物と丘陵の自然公園」と注意書がなされている。 道を走っていて、やっとのこと自然公園の看板を見つける。

 オーストリアでは、普通、この種の国立公園や自然公園には立て看板が立てられている。 その看板に公園の由来についての説明がなされている場合が多い。 ところが、この公園ではその看板に出くわさない。そのうちに見つけ出すことができると思っていたが、一向に現れない。

 ずいぶんと淡白な自然公園である。ところで、丘陵はサイクリングにぴったりの起伏でいたるところに見出すことができるが、果物畑はどこにあるのだろうかと不思議に思う。 いくら自転車で走っても、それらしきものを見かけないのである。



 


自転車道  

   「果物と丘陵の自然公園」という名前とともに、その公園の中を走る自転車道がある。 これもかなり地味で、私が持つ地図には載っていない。

 夏になれば、人も増えるのだろうか。しかし、もう少し観光客のことを考えた村作りを行えば、この地の知名度も上がるのではないかと推測する。



 


丘陵の頂きからの見晴し  

   適度のアップダウンが続く良いサイクリング道路だ。低地を走っているときは、緑の牧草が波打つ丘を下から眺めることになる。 そして丘陵の上からは、遠くまで見通すことができる解放感が広がる。  

 雨粒は落ちてこない。時折、薄い雲を通して太陽の姿をみることができる。 遠方は霞むがそれも風情があってよい。今日、来てみて良かったと思う。



 


夕方は近くの町で散歩  

   時刻は午後2時を回った。太陽が姿を見せない分だけ体が冷える。ちょっと早いが、今日はこれで上がることにする。

 地図で面白そうな街が近くにあるらしいことがわかる。行ってみることにする。

 ウェルズ(Wels)という地方都市だ。 いつも思うに、オーストリアの地方都市は元気がある。活気がある。そして美しい。 シャッターで入り口を閉ざした店をあまり見かけない。 地方都市が寂れない秘訣はなんなのだろうかと思う。  親が子供をトラクターの助手席に載せて、農業の楽しさを小さな頃から教育しているためだろうか。 これなら農民の数も減らないだろう。不思議だ。私には解が見いだせない。