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日付: 2015年12月30日
場所: チェントラ村(Centola 標高336m) 
地域: カンパニア州(Campania Region) イタリア(Italia)
訪問地:  

Posco, Marina di Camerota, Palimuro, Centola, Foria, San Nicola, Santa Caterina, Caprioli, Camerota, Licusati, Sanseverino


 


世界遺産の街

 海のカメロータ(Marina di Camerota)には、一昨日前に訪れた。ただ、この街が、なぜ世界遺産に登録されているのか 意味が分からなかった。街並みは、イタリアのどこにでもあるようなものだし、見落としかもしれないが、世界的な建造物も 見当たらない。  

 ということで、ホテルに帰ってから、インタネットで少し調べてみた。 どうも海のカメロータ(Marina di Camerota)あたりには、石灰岩が作るカルスト地形が広がり、多くの洞窟群があるようだ。 その洞窟には、今から4万年前頃にネアンデルタール人が住んでいたとのことである。それがどうも世界遺産登録の理由らしい。  

 朝一番で、海のカメロータ(Marina di Camerota)を訪れた。一昨日は、市街地域のみの訪問だったが、 今回は、浜辺が広がる東部に来てみた。早速、洞窟が車道の左側にあったが、残念ながら、冬の間は閉鎖中とのことだ。 これは残念だ。   

 さらに奥に向かって海岸沿いを歩くと、海に直接面した場所に洞窟がある。 入口に柵が設けてあり、その柵に「Grotta della Serratura」という洞窟名とそれを説明する看板が掲げられていた。 何でも4万年前に、ネアンデルタール人がここで生活していたとのことだ。  

 彼らは火を使い、共食いをしていたとの説もある。それ故に、安全な洞窟で生活していたのだろうか。 こうして洞窟を眺めてみると、雨風をしのぐのに最適な場所だとわかる。また海の近くであれば、海の幸の 恩恵を被むることもできるだろう。考古学は、いろいろと想像ができて面白い。  

 

 


海岸にポツリと1台だけの車  

   どこから走りだすか迷う。海のカメロータ(Marina di Camerota)の海岸沿い駐車場に停めると言う手もあるが、 なにせ、そこは有料駐車場の看板がある。冬の今の時期、駐車違反で挙げられることはないだろうが、少し、抵抗感がある。

 海のカメロータ(Marina di Camerota)から10km程北上してパリヌロ(Palinuro)の街を抜ける。 すると延々と海岸が続く場所がある。この海岸沿いのところどころに駐車場が造られている。 幸い、駐車場横の道路には、たまにだが車が通過する。これは良い場所だと直感して、ここに車を止める。 広い駐車場に私の車が一台だけで、少し寂しいが、まあ我慢だ。

 さっさと自転車を自動車から降ろして、走りだす。時刻は午前9時50分だ。  



 


緩い登り坂、次第に眺める景色が冴えてくる  

   パリヌロ(Palinuro)の街を自転車で抜ける。 このパリヌロ(Palinuro)の街は外れで少し気になる光景を見た。  

 移民か難民かわからないが、見かけ上イタリア人とは思えない人達がウロウロと道路沿いを歩いているのである。 それも決まって、若い男の二人組で黒人である。 年末とは言え、昼間から若者が、目的もなさそうにウロウロとしている姿は、どことなく気味悪い。 警察は何かしないのだろうか。  

 今日は、国立公園(チレント・バロ・ディティアーノ:Cilento, Vallo di Diano)内にある村巡りをしてみるつもりだ。 天候は寒くもなく、晴れが続いている。  

 チェントラ村(Centola)を目指す。地図で見る限り国立公園内にある小さな村の様相だ。期待できそうだ。 緩いカーブの多い道を、一漕ぎづつメダルを踏む。高度を稼ぐにつれて、だんだんと見晴らしがよくなる。パリヌロ(Palinuro)周辺の海岸線も しっかりと見られるようになる。ちなみにチェントラ村(Centola)の標高は336mだ。  

 

 


感じの良いカフェで一服  

 時刻は午前11時。チェントラ(Centola)村に到着する。海岸からの登りで要した時間は、約1時間だ。 通り沿いに一軒のBARを見つける。雰囲気が良さそうなので、一服していくことにする。

 ここのBARの店内は、中高年の男達で賑やかだった。皆、普段は何をしているのだろう。まあ、 年恰好からして、すでに年金生活者もチラホラいるようには思えるが。しかし、この時間、いったい女は何をしえいるのだろうと疑問に思う。

 店内のカウンター内に女将がおり、カプチーノとパンを一個を注文する。通じた。どうも この女将、どこで食べるかと私に聞いているようなので、外で食べたいとジェスチャ−する。これも通じた。 待つこと数分で、店外のテーブルに赤いカップにカプチーノを山盛りにして持って来てくれた。ありがとう。

 ゆっくりと、ただ若干、メインストリート沿いで騒々しいのが癪に障るが、椅子に深く腰を降ろして休む。 風がなく穏やかな一日だ。カフェのテーブルは絶好の陽だまりになっている。冬の午前11時から午後2時頃までは、 私のゴールデンタイムだ。  



 


Sony・α7rのカメラが壊れる

   南部イタリアの街には、必ず古い街並みが、街のどこかにある。 急ぐ旅ではないので、チェントラ(Centola)村の古い家並みを観てみることにする。

 教会前の広場から、混みあった家並み方面に向かって小道を進む。小道の路面の手入れで工事中だ。 よく考えてみれば、狭い小道とはいえ人が歩く道路なので、当然メンテナンスは必要だろう。 それを行っている現場を観たのは初めてだった。重機の使用も制限される効率の悪い仕事だが、 しっかりと手入れしているところには感心だ。

 カメラの調子が更に悪くなった。スイッチを入れるとガーという音が響き渡る。結構、大きな雑音だ。 しだいにピントが甘くなっていくようだ。特に、光量が足りない暗い場所では、ピントが自動で ほとんど合わなくなった。かと言って、マニュアルではピント合わせはできないようで、これは大きな問題だ。 とても残念だ。古い町並みでの生活感を写真に撮るのが趣味で、それができないのは悔やまれる。 たったの一年しか使っていないのに、壊れてしまう日本製のカメラ(Sony α7r)なんて聞いたことがない。  



 


オリーブの古木に想う  

  チェントラ村(Centola)からフォリア( Foria)村に向かう。下り傾向の走り易い道が延々と続く。

 途中、道路の左側にオリーブの木の古木が立ち並ぶ農園を通過する。恐らく数百年は経過している 古木だろう。幹は、微妙にくぼみができており、古人がしっかりと枝の手入れをしているのだろう。枝ぶりもよい。

 この古木、一体、何世代の人達と共存してきたのだろうかと思う。人の生命は、長くて百年。 数百年の長さと比べたら短いものだ。思うに人生は四十才までが花だ。この年齢以降は先が見えだす。 何かに向かって努力をしても、その結果は大概、知れている。 目の前にある残り少ない月日を、将来のために費やす気力もない。歳を重ねることは情けないことだ。 古木を観てなぜか悲観的になる。これも年齢のせいだろうか。



 


  日向ぼっこしながら昼食  

   サンニコラ村(San Nicola)には、12時半過ぎに到着した。 チェントラ村(Centola)のBARで食べたパン一個が、少し腹に残っており、あまり空腹感は強くない。でも、そろそろ 飯の時間かなあと思う。

 村の入口に午後の日差しを受ける快適な場所を見つける。風の流れを若干感じるが、何んといっても、寂れた感じの 通りの雰囲気が気に入った。

 今日の昼食は、ウィーンの中華食品店で買ったカップ麺とイタリア製のレゾット風缶詰だ。 ホテルでポットに熱湯を入れて持って来た。普段は山でコーヒーを飲むための熱湯だが、今日はカップ麺用として使う。 南イタリアの田舎町の街並みを観ながらカップ麺をすする感覚が面白い。



 


車で村巡り  

   急坂を下って海岸まで降りる。海岸沿いの道路を走って出発点に戻る。時刻は午後1時半だ。 ちょっと中途半端な時間だ。

 ホテルの帰りがてら、残念ながら自転車では訪問できなかった他の村に寄っていくことにする。 まずはカメロタ(Camerota)の村だ。小山の上の平坦の場所に、何を好んでか、家が立ち並ぶ。 遠方からの眺めはまずまずだ。

 村の入口にカメロタ村(Camerota)を説明する看板が立っている。親切にも英語が標記されている。 何でも陶器づくりで有名な村とのことだ。街のメインストリートには、観光用の売店があり、季節柄閉店しているが、 入口ドアのガラス越しに棚に並ぶ陶器が見える。上品な陶器ではなくて、どうも植木鉢が多いようだ。 ところで、こんな山の上で、陶土はどこから持ってくるのだろうと疑問に思う。



 


高級オリーブ油の産地  

   次はリクザチ村(Licusati)だ。この村の入口にも村を説明する看板が掲げられていた。村の産業はオリーブ生産で 看板にはオリーブ生産方法の歴史にまで触れていた。 過去にはオリーブ実からの油絞りの方法に動物を使ったり、水力を使ってきととのことだ。現在は、機械的に絞る方法 ではなくて、凍結して身を砕いて油を抽出する方法が主流とのことだ。少し賢くなった。

 高台に教会がある。その教会から村を見下ろす。村はオリーブ畑に囲まれていることがわかる。遠く、国立公園の 山々もみごとだ。このような壮大な景色を前にして、何んともカメラの故障は悔やまれる。