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日付: 2015年12月28日
場所: パリヌロ海岸(Palinuro)
地域: カンパニア州(Campania Region) イタリア(Italia)
訪問地:  

Bosco, San giovanni a piro, Lentiscosa, Marina di Camerota, Palinuro, (ss562d), Poderia, Celle di Bulgheria, Bosco


 


オリーブは収穫ピーク

 今日は月曜日だ。自転車で走っていると、どことなく農作業に勤しむ人々が多い気がする。  

 狭い道路のためか、大きな車に乗る人は少ない。軽自動車級の自動車か、車幅が狭い運搬車、坂に強い耕運機 そして極め付きが、車幅が1メール程度しかないオート三輪だ。これは一人乗りだ。  

 農民は、今がオリーブの収穫期でとても忙しい。日本での軽トラ感覚で、これらの車に乗る。 村で耕運機で荷台を引っ張る車を運転するおばさんに出会う。狭い道を、この耕運機で降りてくる。 荷台には、収穫を済ませたばかりのオリーブの実がギッシリと詰まった箱が積まれている。このおばさん、 なんと席の後ろの幅10pもないスペースに愛犬を載せて、運転している。その犬が、どことなく不安定なために 不安を隠せないのがわかる。面白い光景だ。  

 

 


ブルゲリア山の登山口はどこ?  

   ホテルの西側にブルゲリア山(Bulgheria:標高1,229m)が聳える。かなりの威圧感がある。ホテルのベランダから見える この山にいつか登ってやろうと考えていた。

 まずは偵察だ。サンジオバニ村(San Giovanni a piro)が、地図で見る限り、ブルゲリア山に近い麓の村のように思える。 実際、村には「ブルゲリア山」方面という看板もある。

 ところが、この看板が、とても不親切で、どちらに行けば登山口かを示していない。村の人に聞けば、一番だろうが、 何せ、言葉が通じないのである。

 いろいろと探してみるが、登山口が見つからない。これには困った。  



 


峠を越えると風景が一変  

   ホテルからサンジオバニ村(San Giovanni a piro)まで走る。 そこから、西海岸に出るには、もう一つの峠を越えなければならない。  

 走りを止めて、少し、耳を澄ましてみる。この耳澄ましは、とても面白い。気づかなかったいろいろなことがわかる。 とにかく静かだ。犬の鳴き声が、どこからか遠くから響く。木を切っている人が山の中にいるらしい。ブオーン という機械も時折聞こえる。  

 耳鳴りに悩む人は、ストレスが多い人だと言う。思うに、このような静かなところで、10分間でも耳澄ましを 行えば、すぐに治ってしまうような気がする。  

 峠の抜ける。風景が一変する。 なぜか、木々が一本も生えていない。遠く、青い地中海が視界に広がる。 地表を見下ろすと、刈り入れのためかオリーブの木の下に敷かれたビニールネットの緑が生える。  

 

 


突然タイムスリップした間隔  

 一本道を下っていく。何か、降りてしまうのが勿体ないので、ゆっくりと、時には、歩きながら降り進んでいく。

 一本道は、レンティスコーサ村(Lentiscosa)に入っていく。村の中を縦断する道では、時間を限った一方通行だ。 ちょうど、道路の工事中で、交互通行できないときに行われる、交通制限だ。この時間を限った一方通行道は、 長さにしたら100m程である。

 しかし、そのたったの100mに入り込むと、ナポリかローマのどこかの一つの裏通りに、迷い込んでしまった間隔に陥る。 そしてその100mを過ぎると、田園風景に戻る。これはとても面白い。



 


2ユーロの立ち食いピザ

   時刻は、正午前だ。ただ、ちょっとお腹空いた感じがする。昼食用にパンでも買うかなと思って、パン屋に入る。 店の中の陳列を見渡す。すると陳列棚の隅っこの方に、ハム乗せピザが4つ切りになって、並んでいた。

 思わず衝動買いだ。そのピザを指さして「これ一つ」と英語で言う。店員のおばさんは、私のジャスチャーで、私が何が欲しいかを 理解したようだ。機械的に紙にピザを包み、私に渡す。料金は2ユーロだった。これは安い。 しかし、この売り子のおばさん、ちっとも愛嬌というものがない。

 パン屋さんの売り子さんに一般的に言えることだが、パン屋の売り子さんは、世界を眺めても愛嬌がない。 まあ、一つ1ユーロから2ユーロのパンに、いちいち愛嬌を付けていたら、疲れてしまうから、これはしょうがないかも。  



 


 特徴のない街  

   海のカメロータ村(Marina di Camerota)は、世界遺産登録されているという。下調べなしで、この村に来たのだが、 何処がと思ってしまう。夏になると海水浴客が訪れる、極々普通の村なのだ。後で知ったが、この村のはずれに洞窟があり、 その洞窟に約4万年前に生きたネアンデルタール人の生活跡があるそうだ。



 


  優雅な海岸  

   カメロータ村(Marina di Camerota)からパリヌロ(Palinuro)の街までの海岸は、白い砂浜だ。 そこに一本の道路が走る。夏になれば、すごい車通りの道路だろうが、今は、季節外れだから 仕事で行きかう車が、時折、走るだけだ。

 この海岸には面白いトンネルが多い。支保の必要がない石灰岩なので、単純に岩肌をくり抜いてあるだけだ。 海風は、ほとんど吹いていない。砂浜を散歩する人や、釣りを楽しむ人々が、それぞれの世界で楽しんでいる。



 


綺麗な夏の避暑地  

   パリヌロ(Palinuro)の街に入る。ここは夏の間は、海水浴客で賑わうらしい。 一般的に、この種の夏だけ賑わう町は、季節外れは寂しい。海は静かで、水の透明度がすごい。何んと 泳ぐ小魚まで見える。

 この街を散歩する。アイスクリーム屋さんの看板を観たら、無性にアイスクリームが食べたくなる。 店に入る。70歳位の老人が店内で友人との会話に一所懸命だ。どうもこの老人は店主らしく、私の姿を 見るとすぐにカウンターの中に入り、どれを食べるかと聞いて来た。何がどうだかわからないので、 メロンぽい色のアイスクリームを指さして、「これください」とジャスチャする。コミュニケーションンはできた。

 2ユーロで買ったアイスクリームを左手に、右手で自転車を引っ張る。これ、60歳の還暦おじさんがすることだろうかと 自分で自分のことを考える。「旅の恥はかき捨て」というから、まあこれも良し。



 


絶景の山々を目の前にしての走り  

   ホテルへへの帰路は、往路とは違う道を走ってみることにした。気分的に、午後になって、700m近い峠を もう一回登る気力が失せていた。

 それではと、少し、遠回りになるが別ルートを走ることにする。

 大きな山塊を迂回するその道は、山々の地肌が、しっかりと確認できるすごいルートだった。  何んとも美しい景色の中をゆっくりと走ることができた。この選択は大正解だった。