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日付: 2015年12月13日
場所: アラブルグの荒城(Araburg 標高 799m) 
地域: 下オーストリア州(Niederöstrreich) オーストリア(Austria)
訪問地:  

Kaumberg(494), (Gölsonal radweg), Araburg(799), Ramsau, Hainfeld(489), Gerichtsberg(591), Kaumberg(494)


 


本格的な冬

 師走になった。身の回りはバタバタとして落ち着かない。 おまけに欧州特有の憂鬱な冬は気が滅入る。 日本列島の太平洋側で典型的な冬晴れが懐かしい。  ということで、しばらく自転車から遠ざかていた。  

 コームベルグ(Kaumberg)という村がある。 ウィーンから南東方向に、自動車で一時間程走るとこの村に着く。 何の変哲もない、ただの寒村だ。  

 夏に近くを走る自転車道で、この村に来たことがある。今日は、その続きでこの村から西方に走る。 時刻は午前9時で気温は摂氏0度だ。寒い冬の走りが始まる。  

 

 


晴れ間  

   冬至に近い今の季節、昼間の時間はとても短い。 午前7時前に明るくなり、午後4時を過ぎると暗くなり始める。  快適なサイクリングが可能な時間は、ほんの数時間である。

 中部Bヨーロッパ。一週間を通して、太陽が顔を出すのは稀だ。 たまに雲間から射す太陽光線は、余りに弱弱しい。

 ただし、なぜか畑の緑は冴えている。特に陽射しを受けた草原の緑は目に痛いほどだ。

 陽射しが雲間から射す間に、陽だまりを見つけて熱いコヒーをポットからコップに注いで飲む。 ウィーンから持ってきた落花生を食べながら、まわりの景色を眺める。 こんな風景に出会うとサイクリングは止められないと思う。  



 


自転車の整備終了  

   先週まで、自転車の整備を行っていた。無事終了した。 壊れていたフロントディレイラーの修理、クランクをグレードアップしてシマノ105の50×34に変更、 そして擦り切れてパンク寸前だったタイヤをパナレーサーの24インチに変更を済ませる。  

 今回の修理で、前のクランク34Tにした。 後ろのスプローケトが30Tに、昨年すでに変更してあるので、かなり軽い走りが期待できる。  

 自分の年齢を考慮すると、スピードよりも脚に優しい自転車に、また一歩、近づいたことになる。  

 

 


風強く辛い走り  

 標高が700mほどに達する。草原を走る。 先ほどまで雲間から射していた太陽光線が消える。途端に、寒々とした冬景色がまわりを包む。

 強風を遮る木々が周りになく、風をモロに受ける。 とても寒い。特に、薄いパッチを一枚しかはいていない脚周りの防寒が不十分だ。 予備に持ってきた雨具のズボンを取り出して身に着ける。

 登山用の雨着で、若干、擦れるが強風だけは、しっかりと遮ってくれる。これで、 身体に感じる寒さをかなり抑えることができた。



 


 ダート道に突入

   標高799mのアラブルグの荒城(Araburg)までは舗装道路が通じていない。 MTB用の山道が通じているだけだ。20%近い坂が続く。タイヤをパナレーサーに交換したことから ある程度の悪路は走られるようになったが、車輪幅の細さで、たまらず押し歩きとなる。

 この季節、誰もサイクリングを楽しむ人はいない。すれ違うサイクリストはいない。 こんな真冬に走っている自分は、よっぽど変わり者だと思う。  



 


 無人の荒城  

   午前11時過ぎにアラブルグの荒城に到着する。幸い、晴れ間も見えだした。 季節外れのせいか、誰もいない。ただ、誰が開けたか門は開いている。  門が開いていることは入ってよいことだろうから、門をくぐって中に入る。

 荒城の良さは、寂寥感だろう。幸い、この荒城の中には、誰一人いない。

 アラブルグ城は12世紀に建てられて、それ以降、何度か拡張が行われたとのことだ。 トルコ軍の進撃や第二次大戦で荒廃し、今に至るとのことだ。建てられて900年間。いったい どんな人々がこのお城を訪れたものかと考える。そしてその人々は、皆、この世を去っている。 取り留めもないことを考えながら城内を巡る。



 


  素晴らし眺め  

   細く急傾斜の木製の梯子を登り見晴塔の上に着く。360度のパノラマで下オーストリア州を 眺めることができる。  

 遥か遠くにシューンベルグの山も眺めることができる。さすがに2000m超の山だ。雪で頂上は 真っ白だ。6カ月前にはあの山に登ったのだなあという考えに耽る。今頃、あの辺りは どうなっているのかなあと思う。  

 まわりには、私が未踏峰の山々が数々ある。まだまだ、行かねばならないところが多数あると思う。



 


陽だまりで食事  

   入り口近くに10個ほどのベンチが置かれている。もちろん、誰もいない。 そこに座って昼食にする。正午前だが城の陰で風もなく、おまけに太陽が燦々と降り注いでいる。 このチャンスを逃すべきではないと思い、ゆっくりと食事だ。

 ちかくにかなり大型の鐘が見える。この鐘を、こんな山頂で鳴らせば、かなりの域に響き渡る のではないかと想像する。誰が、何のために、わざわざお金を出して、こんな山奥に持ってきたものかと 不思議だ。



 


修理後の自転車は良好な走り  

   クランクを新しく変えたせいか、また新しいチェーンにしたせいか、さすがに良い走りを 楽しむことができた。

 34T×30Tで、かつ24インチのタイヤは、効果抜群だ。年々と脚力が衰えていく私にとって、 強い味方だ。

 ハインフェルト村(Hainfeld 489m)からコウムベルグ村(Kaumberg 494m)まで国道を10q程走る。 途中、標高600m程度の峠を越えたが、高齢者仕様に変更したMR4で快適に走ることができた。