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日付: 2015年11月1日
場所: ホッヘの森国立公園(Naturpark Hohe wand 標高1,092m)
地域: 下オーストリア州(Niederöstrreich) オーストリア(Austria)
訪問地: Wiener Neustadt-west P/D of A2, Winzendorf(307m), Stollhof, Naturpark Hohe wand, kleine Kanzel(1,092m), Große Kanzel(1,052m), Skywalk(892m), Maisersdorf, Winzendorf(307m), Wiener Neustadt-west P/D of A2,


 


便利な駐車場

 オーストリアには、便利な物がいくつもある。たまに感心させられる。 その一つが、高速道路や鉄道駅に備えられた通勤用駐車場だ。P+R又はP/Dと呼ばれれる。 これは、特にウィーンの通勤県内の酵素道路や鉄道沿いに見かける。  私が、今回、車を停めたP/Dは、ウィーンから南下するA2号高速道路のノイシュタット(Nr Neustadt)西出口に設置されていた。日曜日のせいだろう 数台の車が停車していた。  

 先週から冬時間が始まった。感覚的に夜明けが早くなり、日没も早くなった。ウィーンを若干遅出となったが午前8時半には、 自転車で走り始めることができた。  

 

 


この晴天は特別だ  

   昨日も今日も、空は真っ青である。素晴らしい天気だ。これ以上、青くはならないだろうと思うほど、空は晴れ渡っている。

 今日の走りはアルプス山脈の最西端。石灰岩が造る崖地形。そこに広がる国立公園だ。 この一帯は、ホッヘの森(Naturpark Hohe wand)と呼ばれている。

走り出す。石灰岩の岩肌を呈する丘が視界に入り始める。石灰岩の山は、土壌が貧栄養状態ゆえに、松林程度した 生えない。したがって、いまの季節に紅葉は楽しめない。しかし、遠方から見ても立派な崖だ。今日の走りは面白そうだ。  



 


世はまさに、秋の真っ只中  

   風が強い。寒さはそれほど感じない。  ポプラの葉が風に揺れる。チラチラと速く揺れる。バックの青が冴えているので黄金色の葉が太陽光の下で輝いているように見える。  

 近隣に住む方々だろうか、散歩する人々とすれ違う。この人達は、こんな素晴らしい景色の中で、 暮らしているのかなあと思う。それを羨ましく思う。  

 

 


 次第に迫りくる崖  

 ウィンツエンドルフ(Winzendorf)の村を抜ける。そして松林が鬱蒼と茂る渓谷に入る。そこを抜けると視界がパッと広がる。 それとともに、ホッヘの森の崖が、だんだんと大きくなって見えるようになる。

 ほんとうにあの崖を自転車で登れるのかなあと疑問に感じる。地図で見る限り、崖沿いに道路が一本だが登っているように 描かれている。こんなところに道を造る人間もすごいと思う。

 ホッヘの森への、道路は有料だった。ただし、ここでも自転車は無料だ。 オーストリアは、どこに行っても自転車からは料金を徴収しない。何んとも、おおらかな気づかいで、自転車には優しい国だろうか。



 


急坂に悪戦苦闘

   登り始め標高は500m程度だろう。そこから標高1,000mまで登ることになる。

 時刻は午前10時半。アタック開始。途端に10%を超える坂が現れる。延々と終わりがないかのような、直線の登りだ。 今日の走りのクライマックスだと思い必死に漕ぐ。

 自動車が、私の横をひっきりなしに追い抜いていく。人間がこれだけ苦労して登るということは、自動車のエンジンも かなりの負担がかかっているように思える。自動車という文明の利器を、誰が発明したかは知らないが、すごいものを考え出したものだと思う。



 


 オーストリアの壮大な平野  

   道路沿いに石碑が一つ。セメントの中にはめられていた。 この道路が1931年から1932年に作られたと石碑に書かれている。よくぞ作ったりと感心する。しかも、80年も前だ。 ところで、当時、なんの目的で作ったのであろう。観光用だろうか。その時代から、もう、観光のための投資という考えが あったのだろうか。あったのであれば、それは驚嘆ものだ。

 途中、展望の良好な場所にベンチが設置されていた。そこで一休み。視界を遮るものはない。遠く、スロバキアの山々まで見渡せる。 最高のサイクリング日和だ。

 



 


   一つ80円の柿が昼食のおかず  

   崖の登り道を登りきると丘の上に出る。平坦地かと思ったが、結構な、坂道が多い。 石灰岩が長い間に水で削られたのであろう。本によればこのホッヘの森には、200以上の洞窟が見つけられているという。  

 時刻は正午。標高が1,092mの小さな説教壇(Kleine Kanzel)という見晴らし台に着く。 見晴らし台は、名の如く、ちょうど教会の説教壇のように、突き出ていて、そこから風景を眺めることになる。  

 ちょうど正午を過ぎたので、ここで昼食を取ることに。今朝、通りすがりのパン屋さんで買ったパンと前日にスーパーで買った柿。 柿、日本の秋の味がするなあ。



 


なんとも素晴らしい景色を前にして  

   目の前には、標高が2,000mを超えるクロスターワッペンの山々が並んでいる。頂上には、白い雪が積もっている。

 恐らくこの森と同じように多くの登山者があの山に登っているだろうなあと思う。

 「遠くから見る富士山は綺麗だけど、近くで見る富士山は岩だらけだ」と言う。この名文句、世の中のすべてに言える。 人間は遠くから眺めることに尽きる。変な気心で、プライベートな内容に立ち入ると、これは、もう興ざめだ。 「手に取るな、やはり野に置け、レンゲソウ」とは、良く行ったものだ。ちょっと意味が違うかな。「触らぬ神に祟りなし」の方が良いけど、 ちょっとフィット感がない。



 


 崖を登ってくる奴  

   自分は齢を取ったことを感じる一つに、高い所が苦手になったことだ。 どうも、高所恐怖症気味なのである。昔はそんなことはなかった。ところが、今は、完璧な恐怖症だ。

 昔、同僚と会社の屋上に登ったことがある。そいつが、地上が見える屋上の隅の方に行こうとしない。 よくよく聞いてみると、高いところがまったくだめだと言っていた。20代の若さでだ。 その頃、まったくその男の気持ちがわからなかったが、今は、理解できるようになった。 なるほど、脚がすくみ、一歩も前にでなくなることを言うのだということが最近わかった。  

 大きな説教台(Große Kanzel)に到着する。崖を登ってくる登山客が見える。 安全綱は付いているが、ロープだけで登るその若さに脱帽である。



 


評判の悪いスカイフォーク  

   崖の上に展望台がある。名は、「スカイウォーク」という。 どのような方法で、この展望台を作ったかは、謎である。しかし、よくもまあ、こんなものを作ったものだと思う。

 オーストリアの観光地には、この種の展望台が多く設置されている。地震が少ない国だからだろうが、 この「スカイウォーク」は、すこぶる評判が悪い。

 「その評判の悪い原因は、人寄せ用の観光地化の悪ふざけだ」と言う人がいるらしい。Wikipediaで知った。 なるほど、さすがに民度の高い国だ。そういう批判をする人が、少なからずいるのだなあと感心する。

 それは別にして、この展望台は、ほんとうに恐怖心満点だ。