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日付: 2015年8月30日
場所: ドブラティッシェ山(Dobratisch:標高2,166m)
地域: ケルンテン州(Kärnten) オーストリア(Austria)
訪問地: Feistnitz parking area, (car), Möltschach(599m), (bike,Villacher alpenstraße), Alpengarten, Rosstratte(1733m), (Trekking), Dobratisch(2166m), Rosstratte, Möltschach, (car), Wien


 


美味しい缶詰

 昨日と同じ高速A10沿いのフェイストニッツ(Feistnitz)パーキングエリアに車中泊する。 かなりハードな走りに疲れ果てたために、午後8時過ぎには、寝入り始めた。  

 密封した社内が蒸し暑く、うまく寝付けない。何度も寝返りを打つ。午前1時頃、ちょっとした寒さで目覚める。 すぐにシラフに入る。暑かったり寒かったりと車中泊は大変だ。  

 昨日の朝食と夕食、そして今朝も、缶詰をメインに食べた。 この缶詰はイタリア製で、スーパーが安売りをしていたので、まとめ買いをした。 マグロと野菜料理で、味はまあまあ、今後、いろいろとお世話になりそうである。  

 

 


二日続きの高低差1,000m以上の坂登り  

   実は、今回の遠征で持参を忘れてしまったものがある。当該地域の地図だ。 したがって、本日の行先は、昨夜、パーキングエリア内の地図を観ながら決めた。  

 何でもフィラハ(Villach)市の西数キロに、 フィラハ・アルペン道路(Villacher Alpenstraße)という有料道路があるとのこと。 この道路は、標高約600mで登り始めて終点の標高1,733mまで、舗装道路が伸びている。要は、 自転車も走ることができる道路があるとのことだ。  

 有料道路の登り口を探すのに、若干の苦労をした。ただ自動車のナビのおかげで、すぐに辿りつけた。 しかし自動車のナビは、すごい技術だなあとつくづく実感する。

 登り口の隣は、ジャンプ台だ。1990年代に日本の原田選手が、優勝したとの記録が残っている。  



 


昨日の疲れを考慮してゆっくりと登る  

   体の一部部分に、昨日の走りの疲れが残っている気配だ。 パワーを一遍にハイにあげるのでなくて、ゆっくりと登り始める。  

 この有料道路は適度な間隔で、途中にパーキングエリアがある。そのパーキングエリア内に、 山の地質や動物、そして植物等を説明する看板が立っている。これらをゆっくりと読む。  

 フィラハの町を見下ろす。そんなに大きな町ではない。何でも、人口は6万人弱とのこと。これでオーストリア で7番目に大きな町というから驚きだ。  

 

 


 恐怖の展望台  

   体が、うまく動かない。年齢のせいにはしたくないが、 昨日の疲れが抜けない。

 標高1500mまで登る。するとアルペン公園というガーデンが道路沿いにある。ここの展望台が面白い。 一週間前のダムの展望台ではないが、この展望台も崖に迫り出していて、崖の迫力を身近に感じることができる。

 圧巻は、この展望台から見える石灰岩の崖だ。何でも14世紀に大地震があり、その時に崩れた崖が説明されている。 何百年に1回の地震だが、もし、この一瞬にそれが起こったら、自分はどうなってしまうだろうかと、変な心配をする。



 


3時間弱の格闘後に終点駐車場に到着

   ペダルを漕ぐのを止めて、自転車から降り深呼吸をしてまた走りだす。昨日と同じ作法をして、 何んとか、終点にたどり着く。やはり、標高1700mは楽だ。距離にして17km走ったとのことだから、 昨日の半分だ。

 頂上の駐車場には、自動車やバイクが溢れていた。どうも、ここまで来る人の目的は、ここに自動車を止めて 、ハイキングをすることのようだ。ここから、1時間半歩けば、標高2,166mのドブラティッシェ山(Dobratisch) に着く。  



 


デブッチョ夫婦に着いていけない哀れな私  

   前の夫婦二人と、時間的に一緒に登り始めた。夫婦の体型を見て、すぐに追い抜くと確信した。 ところが、私の脚が、とても重いのである。昨日の疲れが脚に、しっかり残っているようだ。 何んと、追い抜くはずの夫婦二人が、どんどんと前に行ってしまう。追い抜くどころか、他の登山客に 追い抜かれてしまうのである。

 実は、後悔したことが二つある。一つは帽子を自動車に忘れてしまったこと、もう一つは、水を十分に 持って来なかったことだ。午前中の自転車漕ぎで、かなり汗をかいた。十分に水分補給したつもりだが、 体の脱水傾向が収まらない。とにかく水が飲みたいのである。しかし、手持ちは500ccのボトル一本だけだ。 これは心細い。



 


気持ち良さそうにイビキをかく馬  

   歩き始めてすぐに、馬の一群に出会った。草原に生えた草を一所懸命に食べていた。

 仔牛の一頭が地面に横たわっていた。  死んでいるかと思い、近づいて、しっかり馬の顔を観察してみる。 瞼が動くところを見ると、生きているようだ。よくよく観察してみると、イビキをかいているのがわかる。

 なんだ、この馬は、ずいぶんと大胆だなあと感心する。末は、大物になるぞ、この馬は。



 


頂上に辿りつく  

   道は、登山客が多いせいか、かなり踏み込まれている。それはそれで良い。ただ、 石灰岩からできた小石は、よく滑る。すれ違う登山客が、よく滑っている。こけることはないが、 ズリーという音が響く。

 何本かの角を曲がると終点の頂上が見え始める。ただ隣に立つ人工物が目障りだ。 テレビの送信塔だろうが、風景を台無しにしている。  

 それはそれとして、終点は遠い。まだまだ、歩かなければいかないのかと自問する。



 


人懐っこいキバシガラス  

   頂上に教会がある。標高が2000mを越えるこの地に、教会を建てるとは、驚きだ。まあ、 テレビ塔が近くにあることから、石材は、運ぶことができるだろうが、それにしてもそれにしてである。

 この教会が作る日陰部分に座って、持って来たパンを食べる。 すると口ばしが黄色い黒鳥が近づいてきた。かなり愛嬌がある。 近づいてきて、私が食べているパンを狙っているようだ。

 ひとかけらを目の前に投げる。かなり警戒して、そのパンを片足で押さえて、小さくするために突っつく。 そのうちに、何か閃いたようで、口ばしにパンの断片をくわえてどこかへ飛んでいった。  



 


なるほど、すごい絶景だ  

   好天に恵まれた。360度、アルプスの山々を眺めることができる。風も、爽やかに感じる程度の強さだ。 涼しさも心地良い。

 思うに、こんな日に山登りした人は、この感覚が忘れられずに、また、どこかの山に登るのだろうと思う。 山登りは麻薬だ。