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日付: 2015年8月29日
場所: パステルチェ氷河(Pasterze Glacier:標高2,370m)
地域: ケルンテン州(Kärnten) オーストリア(Austria)
訪問地: Feistnitz parking area, (car), Winkelern(950m), (bike), Heiligenblut(1291m) Franz-Josefs-Haus(2370m), Heiligenblut, Winkelern, (Car), Feistnitz parking area


 


パーキングエリアは貨物トラックで一杯

 ウィーンを午後6時過ぎに出発。 西に380km離れたフェイストニッツ(Feistnitz)パーキングエリアには午後11時前には着いた。 今夜の車中泊は、このパーキングエリアだ。   

 いつも思うのだが、高速道路沿いのパーキングエリア内、特に、 貨物トラック用のスペースは、どこに行っても一杯だ。貨物トラックの図体が大きな分、駐車も大変だ。 思うに、貨物トラックで夜をエリア内で過ごそうと思うと、かなり計画的に駐車しないと、場所取りが大変だろう。  

 明日のことを考えて、歯磨き、後部座席のベットの用意を手短に済ませる。そしてすぐに、眠りの体勢に入る。 締め切った車の中は暑い。寝苦しい。外は記録的な暑さが続いているという。  

 

 


 20kmほど平地を走って、山岳道路へ  

   峠や山登りを自転車でやろうと思うと出発地点をどこにするかで迷う。体力と時間との相談になる。 走る距離が短いと達成感も少ない。逆にあまり長く走ると疲れる。当たり前の話だ。

 今日は、山岳道路入口の22km手前にあるWinkelern(ヴィーンクラーン)から、走る始めることにする。22kmで約600m の高度差を登ることになる。その後に山岳道路に入る。 最終的な目的地まで、10kmほど走って、標高2,370mに到達する行程だ。

 少し、欲張り過ぎかなあ。今日の予定は。  



 


自転車専用道は、途中からダートに  

   出発する。時刻は午前7時半だ。道路の周りが、高い山々で囲まれているらしく日陰の中の走りで始まる。 農家が散々する自転車専用道を走る。時折、朝の散歩の人とすれ違う。挨拶言葉をかけてくれる。 ちょっとしたことだが、心が爽やかになる。  

 いい気持で、ずっと自転車道を走ることができればと言う期待感で走り続ける。ところが、 しばらく走ると専用道は砂利道になる。細いタイヤの私の自転車では、パンクが怖い。  残念ながら、自動車の往来が激しい国道上の走りに替える。  

 

 


美しい村  

 ハイリゲンブルート(Heiligenblut)は美しい村だ。 標高1300mにあり、天気が良ければ、オーストリア最高峰のグロースグロックナーを眺めることができる。 何んと言っても、この村のすごいところは、標高2600mのスキー場まで、ゴンドラで一気に登ることができることだろう。 このゴンドラ、夏も、稼働している。村は、登山客で賑わう。

 午前11時に、この村に到着した。ここから、本格的な登りが始まる。その前に腹ごしらえということで、 村のスーパで、アイスクリームとパンを買い込む。

 最近、なぜか、アイスクリームをよく食べる私だ。



 


暴利を貪る山岳道路

   道路のメンテナンスのことを考えれば、利用者負担に行きつくだろう。しかし、オーストリアの 山岳有料道路は、どこも高価だ。 このグロースグロックナー・アルペン道路(Großglockner Hochalpenstraße)の場合、乗用車は 34ユーロ(約4,500円)、二輪車は24.5ユーロ(約3,000円)だ。

 幸い、自転車は、なぜか無料だが、日本でも山岳道路は、こんなにも高価なものなのだろうか。



 


高度があがるにつれ、景色が冴える  

   高度が1500mを越えると、空気が爽やかになる。涼しい。汗をかいた額が、さっと風に冷やされる。 これが何とも言えないほど、心地が良い。

 しかし、今日は、よく晴れ上がった。8月最後の日曜日、まさに一点の曇りのない空の下を走る。 坂登りは辛い。しかし、その辛さ以上に、この気持ちの良さが心地良い。今日、走って良かったと 、つくづく思う。すごい充実感だ。



 


先は長い  

     標高、1900mの小屋に辿り着く。時刻は、13時近くになった。ここで食事を摂る。と言っても、 パンとネクター一つだ。

 ここから、これから登るルートが一望できる。まだまだ、先は長い。50m程くだって、延々と400m程 登ることになる。

 空気が薄い。恐らく気持ちのせいだろう。ちょっと走る。心臓が破れるくらい息が激しくなる。停まる。 深呼吸する。この繰り返しだ。

 このような走り方、若ければ潜在的な持久体力の向上になるだろう。しかし還暦過ぎた我が身。 このような高負担な走り方は、果たして、体に良いのだろうか。疑問だ。



 


走り始めて6時間半後に到着  

   時刻は午後2時。 やっとのことで、標高2,370mのフランツ・ヨセフ・ハウス(Franz-Josefs-Haus)に到着した。

 最後の登りである落石防止用の半トンネル(日本語で何んと言うか忘れた)は、もう、死ぬ寸前だった。 10m走っては休みの連続だった。心の中では、これを繰り返せば、何とか目的地に着けると思った。 やはり、最後のひと踏ん張りが辛い。

 時間的なものもあるのだろう。標高2,370mのパーキングエリアは、すごい数の車が停まっている。 特にバイクが多い。並のバイクの販売店など、比べものにならないくらいの種類のオートバイが停まっている。 素人目に見て、どのバイクも違っているところが面白い。



 


 寂しいオーストリア最大の氷河  

   このフランツ・ヨセフ・ハウス(Franz-Josefs-Haus)は、氷河を見下ろす絶好の地として、 世界的に有名だ。おまけに、目の前には、オーストリア最高峰のグロースグロックナーも聳える。

 ところが、最近の地球温暖化で、頼みの氷河舌が、小さくなってしまった。氷河を見下ろす広場には、 かってはこんなに迫力ある氷河が流れていたのだぞという説明のパネルが空しく飾られている。

 実際、西暦2,000年時点の氷河と現在2015年の時点を比べれば、一目瞭然に小さくなっている。哀れなことに 氷河を触って体験できるフランツ・ヨセフ・ハウス(Franz-Josefs-Haus)からのケーブルカーは、この繁忙期に 割引して営業している。ケーブルカーで、かっての氷河の場所まで降りていっても、今は氷河がなければ、 商売あがったりだ。



 


帰りは、景色の良い場所で道草  

   ハウス周辺を、1時間ほど散策した。そして登ってきた道を下る。サイクリングの醍醐味だ。 あんなに苦労して登ってきたのに、下りは、まさにあっと言う間に降りてしまう。

 途中、カール地形の谷に、数十頭の牛がのんびりしていた。自転車を降りて、少し、辺りを散歩する。 大きな滝が見える。その滝下の平な場所で、カップルが寝そべっている。ダニは、大丈夫かしらと、 他人事ながら、心配をする。