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日付: 2015年4月4日
場所: サンクト・オズワルド(St. Oswald in Freiland: 標高1,050m) オーストリア(Austria) シュタイヤーマルク州(Steiermark) 
訪問地: Deutschlandsberg, Wildbach, St. Oswald in Freiland, Hohenfeld, Bad Gams, Deutschlandsberg


 


季節が逆戻り

 ホテルの名は、「サンマルコ(San Marco)」だ。 2階建建物で、部屋は、全部で60程ある。大きなホテルだ。その大きなホテルで、宿泊客は私だけだと言う。 何か、泊まるのが悪い感じがする。ホテルのお姉さんは、今日は、フロントを閉める。 鍵をしっかり持って出て行って欲しいとのこと。今の季節、この地方に旅行に来る人は、稀なのだろうか。 それにしても一人は寂しい。  

 昨日と一転して曇り空だ。残念ながら太陽は見えない。 それに肌寒い。季節が逆戻りしてしまったようだ。  

 

 


 今日は、復活祭だ。  

   今日は土曜日、なぜか農家の人たちが働いている気配がない。昨日は、忙しく農 作業に励んでいる人たちを多く見かけたが、今日は、まったくみられない。通り過ぎ る農家、人の気配が感じられない。不思議だ。

 街で、籠を持った人を見かける。籠に、卵などの食物を入れて、教会にお参りでもするのだろう。 どうりで、畑仕事をする人をまったく見かけない訳だ。しかし、信仰深い人々が多い。

 

 


道を間違えるが満足  

   10%を越す登り坂が一段落する。森を抜けて、少し、視界が開ける。沢を越した向こう側に、農家が一つ一つ、距離をとって並んでいるのが見える。ベンチに座る。

 鳥の鳴き声が聞こえる。結構、うるさい。 フィイフィイ、チッチッチッチッ、ピチピチといろいろな鳴き声が聞こえる。どうも一種類の鳥ではなくて、いろいろな種類の鳥が鳴いているようだ。高曇り。無風だ。

 

 


   雪が降る村  

   サンクト・オズワルト村(St Oswald)に到着する。時刻は、ちょうど正午だ。先ほどから、小雪が舞いだした。 小さな雪片が空から落ち始めた。遠くの山々が、見えなくなった。  

 標高1050メートルのこの村には、一軒のレストランがある。そのレストランの前に何台かの車が停まっている。 地元の人たちのようだ。レストランから出てきた男の人が、私に挨拶をしてくれた。 たったの一言だが、残念ながら意味が分からなかった。方言だろうか。 村の人たちは、今日は祭日(復活祭)だから、静かにしているのかな。 こうして、昼間っからレストランで、みんなでガヤガヤやって、休んでいるのかな。 だから、畑仕事をする人が少ないのかもしれない。



 


 雪は激しさを増す  

  雪は激しくなった。下り道だ。自転車を漕ぐ。目に雪片があたり、それがとても痛い。 下を向いていれば少しは良いが、やはりそれでも痛い。寒い風を受けて耳が痛い。 春の訪れを見つけるために、この山奥まで来たのに、この降雪は、残念だ。

 

 


 犬に吠えられ、追いかけられる  

   馬が3頭、道端にいた。この馬を写真に撮ろうと自転車を停める。すると、すぐに一匹の犬が私を見つけた。 この犬は、ちょっと太っている。それに足が短い。老犬だろうか。犬が、私を目指して突進してきた。 老犬だろうか、走りがぎこちない。ただ、飼い主は、この犬を鎖につないでいない。話飼いだ。  

 すぐに自転車に乗って動き出す。幸いにも、あまり狂暴そうな犬ではないようだ。 体力がないためか、年齢なのか、この犬はすぐに追いかけてくるのをやめた。道路上で、私の方を向いて、吠え続けた。  



 


 高台からの眺め、復活祭の煙  

   私は知らなかった。復活祭の日は、人々は、焚き木をするらしい。高台から見下ろすと、いろいろなところで、 煙が上がっている。自転車で通り家の前を通ると、子供と一緒に、親が、庭先で枝を燃やしている。  

 思うに、日本でのお盆の篝火のようなものかな。宗教的な意味合いは違うのだろうが、旨い物を食べて、木を燃やす。 小さな子供達にとって、忘れられない光景になり、この子供達が大人になると、また同じ風習を繰り返す。  



 


 巨大卵が並ぶ街  

   午後3時には、出発点であるドイツランドベルグ(Deutschlandsberg)に帰ってきた。朝は、買い物客で、結構な人手だったが、 今は、誰もいない。一軒のカフェには、数人の人が、たむろしている。復活祭は、こうして終わった。

 ホテルに帰る。鍵を開けて、中に入る。この、大きなホテルで、いるのは私だけだ。