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日付: 2015年2月27日
場所: ドナウ川自転車道 (Donauradweg: Wien-Tulln) オーストリア(Austria) 下オーストリア州(Niederösterreich) 
訪問地: Wien, Nussdorf, Klosterneuburg, Kritzendorf, Höelein, Greifenstein, Mulkendorf, Tulin, (train) Wien



ほんの少しの春らしさ

 「歳月人を待たず」とはよく言ったものだ。加速するように 時は経つ。つい先ほどまで、秋であった気がする。もう春の息吹を感じる季節を迎えている。 通りがかりの柳の枝の黄色が鮮やかになってきた。木々の細枝の赤が強くなってきた。  

 アパートを飛び出して北に向かう。ドナウ川に沿ったドナウ自転車道(Donauradweg)をドンドンと上流に向かって 走ってみよう。天気予報は晴れだ。  


ひときわ目立つ修道院の建物  

   クロスターノイベルグ(Klosterneuburg)の街に着く。ウィーンから走り始めて1時間弱だ。遠方から綺麗に 黄色のペンキがしっかり塗られた修道院が目立つ。街の至る所に観光者向けの看板が見られる。  

 修道院前の広場は、市場が開いている。数件のみの出店だ。パン屋、肉屋、野菜と、一応一通りは揃っているが、どことなく寂しい。 活気が感じられない。午前10時を過ぎたから、時間的に少し遅いのかな。 パンでも買おうかと思ったが、腹もすいていないしやめた。絵になる建物はないかと 探すが見当たらない。ちょっと残念だ。


一回目の休憩  

     思うに私の走りは、老人のそれだ。とても元気とは言えない。腹が減ると休む。良い場所 を見つけると休憩する。非常に気ままだ。バリバリ走って、スピードや距離で勝負するような年齢でも ない。

 下キッツェンドルフ(Unterkitendorf)の駅前に、ベンチを見つける。陽射しも当たる。静かだ。 ここで、アパートから持ってきたコヒーを飲む。落花生がつまみだ。

 しばらくすると馬に乗った3人ずれが目の前を通った。ちょっと挨拶する。すると驚いたことに 手綱で結ばれていない馬が一頭、3人ずれの後を歩きながら道に生えた草を食べていた。行方不明になって しまわないかと心配だが、慣れているのか、3人の後をついていく。のどかな風景だ。


  1870年頃のドナウ川の流れ  

   ドナウ川沿いの自転車道は、ところどころに地図やらその土地の歴史を記した看板が立てられている。 これはとても便利だ。ちょっと一休みと言うときに眺める。残念ながらドイツ語はあまり理解できないが、 写真などは何となく理解できる。

 1870年頃というと、ちょうど明治維新の頃だろうか。その頃のドナウ川の流れを詳しく書いた地図が看板 に張られていた。ずいぶんと蛇行をしていたものだ。この川を19世紀末からの機械文明により、 今の流れに治水したかと思うと、昔の人は、よくやったものだと感心する。もちろん、その頃に生きて いた人たちは、みな、あの世に行っているが。


なまずの棲む池  

   ウィーンから15km程走るとグライフェンスタイン(Greifenstein)の村に着く。ここは、 ドナウ川の一部が入り江になっていてタンス魚の釣り場らしい。看板が掲げられていた。

 ちなみに、カワカマスは最大120cmで20kg、鯉は最大80cmで20kgと看板に書いてある。さらにホタルジャコは最大60cmで15kg、 ナマズはなんと最大で150cmで40kgもあるという。先週、1mを超えるナマズを釣ったオジサンの 写真を観たが、これはでかい。さすがに大陸だ。


延々と続く自転車道  

   ムッケンドルフ(Mukendorf)を過ぎると、川幅がぐっと広くなる。地図で見る限り、土手で区切られてはいるが、川の 水位の方がまわりの田畑より高い感じだ。所謂、天井川かな。

 地図によると、川向こうは、ブッシュが生える湿地帯が広がる。 ドナウ川の大きさを感じる風景だ。


 ツラン(Tulln)に到着  

   本日の走りの目的地に到着した。ウィーンから25qは、走っただろか。 4時間の自転車旅だ。休憩をとらず、本格的に走れば1時間超で走ってしまう距離だ。工程もほとんど平らだ。

 どことなく落ち着いた街だ。金曜日というのに、アクセク働いている雰囲気はとても感じられない。 みなさん、この街に住んで、何を生業にしているのだろう。不思議だ。


 散歩客に話しかけられた。  

   今日の走りは終わりだ。時間は午後1時を過ぎたろころだ。街で、ビールと缶詰を買う。そして 風景の良い川岸のベンチに座る。昼食だ。風はない。絶好のサイクリング日和だ。

 ベンチで川を眺めめながら食事をしていると散歩する老夫婦に英語で声をかけられた。「何をしているの」 とオジイサンから聞かれる。「サイクリングで、今、昼食休憩中です。」と答える。「なんだ、今から水上スキーをするのかと思った。」 とトンチンカンなことを言われた。どうも私のベンチは、水上スキーの学校の前に位置しているようだった。

 続いて、オバアサンが、「私の離婚した亭主は、日本人だったのよ。」と話を続ける。以後、雑談を続けるが 、なるほど世界は狭いものだ。


 頭がクラクラで電車に乗って帰る  

   春だ。午後の陽射しはとても強い。電車は40分程度の旅だ。でも、電車が動きだした途端に 寝入ってしまった。気づいたらウィーンのちょっと手前の駅だった。酔いがうまく回った。気持ちが良い。