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日付:2014年12月27日
場所: イタリア アプルッツォ州 シタ・サン・アンジェロ  Italy, Abruzzi, Citta San Angelo(標高317m)
訪問地: Montesilvano Marina, Citta San Angelo, Cipressi. Picciano, Montesilvano Marina


前輪の空気が抜けている。

 昨夜の天気予報はすごかった。猛烈な寒波が北イタリアを襲うという。当然、 その影響を中部イタリアも影響を受ける。昨夜は、半部は諦めて床に入った。 雨か雪が降っていたら、走りは中止だ。残念ながらしょうがない。

 夜中に雨が降っていたのは気づいていた。起床は、午前5時半だった。 窓の外を眺める。幸いにも雪も雨も降っていない。今日の天気予報で本日の天気をうかがう。 イタリア中部地方は天気が今一つだが、昨夜の予想よりはマイルドな天気らしい。 まづは一安心だ。

 走り始めようと自転車を車から降ろす。ところが、前輪の空気が一晩で抜けてしまっている。 悪い予感だ。今日一日、走れればよいのだがと心配しながらシタ・サン・アンジェロを目指す。 出発点からの距離は6Kmだ。

遠くの山々は雪景色だ。  

   走り始めて気づく。上から降りて来る車の屋根に雪が載っているではないか。標高300mくらいの高さからおりて くる車がこの状態である。一昨日の雪線が1000mくらいであったことを思うと昨夜の雪は、標高300mくらいまで 降りてきたらしい。かなり冷えた。

 宿は海の近くにある。これは幸いだった。 目覚めたときには、道は濡れていたが雪の兆候はなかった。

 しかし思えば、今回のイタリア遠征は海の近くでよかった。もし山の近くだったら、 雪で宿に閉じ込められて1週間を過ごしたであろう。イタリアはオーストリアと 比べれば南の国だろうが、冬の寒さは結構厳しいらしい。

   

結構、大きな街ではないか。  

   シタ・サン・アンジェロ(Citta San Angelo)は、結構、大きな街だ。 街の中心街は、よくまとまっている。

 なんでも看板によると、イタリアで美しい宗教施設を持つ街としてノミネート されているとのことだ。

 街の中で葬式の場面に出くわした。警察が出て、車の整理を行うほどの儀式だ。 この瞬間にイタリアにおいて一生を終えた人がいる。偶然にもその瞬間に出くわした。 どんな人生だっただろう。考えてしまう。私との接点は、この瞬間だけだ。 人間、いずれは死を迎える。成人であれば、60年か80年かの違いで、そんな差はない。 要はどれだけ楽しむかだ。特に若いうちにだ。


天気は良くなってきた。だが、とても寒い。  

   これはラッキーだ。雲間から太陽が顔を出すようになった。 しかし風がとても冷たい。スキー用の分厚い手袋をしているのに、指は凍える。  

 通りがかりのオジサンが、私に何か声をかけてくる。何を言っているのか わからないが、どうも「こんな寒いのに、よくやるな。」と声援してくれているようだ。 しかし、私は、なぜ走るのだろう。こんな耐寒訓練のようなことをしてまでも。


オリーブ御殿  

   道沿いにオリーブ畑が目につく。どうもこのあたりは、産地らしい。 オリーブの木が育つ気候ゆえに、結構、温暖な気候なのだろう。 雪なんて、ほんとにまれだろう。でなければ、オリーブの木の枝が 雪で折れてしまうだろうから。

 玄関までは、約500mはあろう。きれいに舗装されて、両面に照明が 等間隔に置かれている。中まで入ってみたい気持ちだ。ワイン御殿ではないが、 オリーブ御殿があるとは驚いた。


 今日のお昼も、場所に恵まれる。  

   自転車で走っていると、お昼休みがとても楽しみだ。したがって、できるだけ 良い場所で食べたい。ゆっくりしたい。

 今日は、偶然にもシプレシ(Cipressi)という小さな村で昼食だ。 屋根と北側を西側が仕切られた場所を発見した。 何に使うのかわからない。目的はわからない。場所が場所だから公共施設だろう。 この場所を使わせてもらうことにした。

 ここでパンとリンゴを齧る。すると女性が二人、目の前を通り過ぎた。どうも 見る限り親子のようだ。思い切って「ボンジョルノ」と言ってみる。返事は すぐにオウム返しに帰ってきた。ここでイタリア語を初めて喋った。


おばさんは、タバコが欲しいのかな  

     ピシアニ(Picciano)の村に入る。戦争の被害を受けなかったのか、古くて 趣のある家々が立ち並ぶ。何といっても、車が写真のアングルに入らないのが良い。

 村の教会近くで一休み。地図を開いて、これから行く道を検討する。 すると一人のおばさんが話かけてきた。「シガレッタ・・・」と言っているようだった。 そうか、タバコを持っていないのか聞いているようだった。  私はタバコを吸う振りをして、持っていないよというジェスチャーをした。 おばさんはすぐに諦めて、立ち去った。


これでもかと続く坂道にうんざり  

   ピシアニ(Picciano)を過ぎると周りはオリーブ畑からブドウ畑に 変わった。恐らく地質が変わったのだろう。まだまだ幼木らしき ブドウの木が延々と生えている。

 時間は午後2時を回った。冬の夕暮れは早い。出発点に早く帰りたい思いで自転車 を漕ぐ。  ところが、これが最後だろうと思って登り坂を上りきると下り坂になる。この 繰り返しなのである。何度も何度も登り坂が攻めてくる感じだ。これには さすがにうんざりだ。太ももの筋肉がパンパンだ。