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日付:2012年4月1日
場所:    ラスコー洞窟 (Grotte de Lascaux)   

訪問地: Limoges, Périgueux, Les Eyzies, Tursac, Montignac, Lascaux 2, Roque Saint-Christophe, Périgueux, Limoges

   

夜明け前にホテル発

 今日は、ラスコー洞窟に行く。 ラスコー洞窟への交通の便は悪い。こんな感じだ。 リモージュ発でペリグー(Périgueux)行の電車に1時間乗る。 そこで電車に乗り換えて30分だ。 そこからさらに24kmの距離を自転車で走らないといけない。

 夏時間になったばかりで、7時過ぎにならないと、外は明るくならない。

。 ホテルとリモージュ駅は距離にして10kmほどある。 安全をみて、午前6時前にホテルを出発した。 幸い街路はしっかりと照明されている。 午前6時半にリモージュ駅に着く。まだ夜明け前で外は暗い。 リモージュ駅の中に1軒のバーが開いていたので、そこで朝食を食べる。 日曜日、一番電車の出発まで1時もあるのに、もう駅の中には人がちらほらといる。

 ペリグー(Périgueux)での乗り継ぎが悪く、そこで1時間半を過ごす。 街をブラブラと歩く。 古い良い街だ。
 思うにフランスの地方都市は、それぞれ歴史に支えられた特色を持っており興味深い。 一つとして同じ街はない。    

 

列車の中の警告文  

     フランスの列車には、日本のような厳密な改札はない。 自分で機械で改札印を押すことになる。 検札もたまに来るだけで係りの人が来ないこともある。
 実は、初めてこの列車の警告文を観た。改札印の付け忘れが10?(約1100円)、 切符を持っていないと35?(約4000円)、意図的不正は125?(約13000円)の罰金 を払うことになる。結構、厳しい。  

   

   エイジー(Les Eyzies)の村に到着

 午前10時半に、 エイジー(Les Eyzies)の村に到着だ。この村は 石器時代の遺跡で有名で、先史時代博物館も村の中にある。ゆっくりと 観たいが、まずはここから24km離れたモンティナック(Montignac)の村に 向けて出発する。


     カモの群れとフォアグラの宣伝

 この地域はォアグラの産地らしい。  道路沿いにカモの養殖用の畑があり、カモが放し飼いにされていた。
 その前に立てられた看板が面白い。 「フォアグラのカンズメを道路対面の場所で売っているよ」 と書かれた大きな字で書かれた看板が、まだフォアグラにされる前のカモの目の前に 立てられている。 なぜか、春の日差しの中でくつろいでいるカモのクチバシの上についた瞳がかわいく見える。


     岩場を削って建てられたお城

 ラスコー洞窟に向かう途中、ツラック(Tursac)という場所で岩場を削った お城が建てられていた。寄って行きたい。迷う。
 まあ、入口まで行ってみるかと思い階段を登る。700年以上も前から、この地に あるというお城という。まあ何を好んで、こんなところにお城を建てるのだろう。 そもそも、水や食べ物を平地から運んでくるだけでも大変と思うのであるが。


     ラスコーの街に到着

 午後1時前に、ラスコー洞窟があるモンティナックの町に着いた。 太陽が高くなり、フィンドブレーカーを脱いでの走りだった。我ながら、 結構、脚力がしっかりしているなあと感心する。

 実は、モンティナックからの道のりが大変だった。モンティナック(Montignac)の町を抜けて、 洞窟のある森に向かう道を走る。あと2kmの道しるべを見つける。 これくらいならもう一走りと思うが、緩い登り坂で、この登りが辛い。
 最後は、歩き押しで、なんとかたどり着く。      


     写真左が本物のラスコー洞窟(立入禁止)

   午後1時半に到着した。 受付に表示紙が貼られている。悪い予感。幸いにも閉館中ではなくて、見学は午後2時から始まるという。  残念ながら、本物のラスコー洞窟は、1960年代を最後に、一般立ち入りは禁止されているという。 今、入ることができるのは本物のラスコー洞窟のすぐ隣に造られたラスコー2という、イミテーションの洞窟である。

 午後2時の開園まで少し時間があったので、本物の洞窟のある場所を 観に行く。フェンスで厳重に閉められた敷地内に、洞窟への入り口がチラリと観ることができた。  


     4人の少年が、1940年に洞窟を発見

   洞窟の発見者は、10代の若者4人だと言う。その記念碑がラスコー2 の周りに建てられていた。

 見学は午後2時20分からのグループに入れらた。全部で20人くらいだ。 説明はフランス語でガイドと一緒にまわるシステムだ。
 ガイドは親切に壁画の一つ一つまで細かく説明してくれた。 イミテーションとはいえ、 1万8000年前の人が、よくぞ描いたものだと感心だ。 そしてそれが、時空を超えてここにあることに驚く。 今から、1万8000年後に、今の地球はどうなっているのだろう。    


   真っ暗な洞窟から現代の森の中へ

   説明は小一時間で終わった。真っ暗な模擬洞窟の中をガイドの懐中電灯 を頼りに説明を聞いた。

 そして説明が終わる。階段を登って外に出た。
 春の昼下がり、1万8000年という時の長さと、たかだか70年〜80年くらい で終わってしまう一人の人生の短さを考え込む。
 例えば、平均して人間が25歳で子供を生むとして、なんと680代も祖先を 遡ることになる。  ラスコー壁画は、680世代を超えて眠っていたことになる。  


   5万5千年前からの歴史

     サンクリストフ岩(Roque Saint-Christophe)は、エイジー(Les Eyzies)とモンティナック の町の途中にある。岩場をくり貫いたたいそうな遺跡だ。
 エイジー(Les Eyzies)の村に向かう帰り道、少し寄って行くことにした。

 この岩場は、5万5千年前の先史時代から使われ始め、中世の頃はいろいろと建物が 建てられて使われていたという。岩をくり貫いた洞窟や、岩をえぐった穴がいたるところ にある。

 ここに住んでいた人たちは、今はもうあの世だ。その痕跡だけが、くっきりと残っている。 なぜか不思議な気分になってくる。    


   エイジー駅での帰り電車

   午後5時半に、エイジー(Les Eyzies)の町に着いた。一日で回ってしまうのがもったいない場所だ。 ゆっくりと1週間ぐらいかけてまわりたい地域だ。
 ホテルには午後9時前に着いた。ちょうど暗くなる黄昏時だった。疲れがどっと出る。 それと1万8000年間という時間の長さに、むなしさを感じる。  疲れているのに寝付けない夜を迎えた。