home

日付:2011年6月18日
場所: ムーズ渓谷: (アルデーヌ県:08)
訪問地: Charleville Métières, Nouzonville, MontherméLaifour, Revin, Vivier-au-Court Donchery, Sedan, Bazeilles



   車掌のやさしい取り計らいで助かる  

 実は、TGV(高速鉄道)に自転車を持ち込むには、解体して袋に入れるか特別な予約をしなければいけないという ルールを知らなかった。夜行電車には、そのようなルールがあることは知っていたが。
 それで、ノコノコと、自転車を引きずりながらTGVに乗ろうと車両横を歩いていたら、車掌に声を掛けられ止められた。
 「切符を見せろ」というので、言われる通り切符を見せると、「お前の切符では、自転車は持ち込めない」と言われた。 事前に予約するなら10ユーロ、電車の中なら20ユーロ払う必要があるとのことだった。 車掌の横でちょっと待てろと言われた。 言われたとおり待っていると、「この電車の車両に自転車を載せて、中でしっかり縛れ」と言われた。
 そうこうしていると、定刻通り電車は出発した。
 しばらくして、その車掌が検札にやってきた。 そして、「今回は、許してやるけど、次回は、しっかり袋にいれてこい。」と言って、去っていった。 定年に近い歳がらのちょっと小太りのおっさん検札は、とっつきにくそうだが、結構、優しいのである。
 朝から、ちょっとしたトラブルを優しい検札おじさんに助けられた。  

   ムーズ渓谷は晴れたり雨が降ったり  

 ここのところ、天気が芳しくない。  空が真っ黒な雲で覆われ雨が落ちてきたと思うと、しばらくすると雲が消え失せ太陽が顔を出す。
 ムーズ渓谷は、渓谷と言ってもアルプスのような派手さはない。 しかし、周りを取り囲む森の深さは尋常ではない。おまけに天気のせいか、人通りも少ない。何か、 森の奥からオオカミでも出てきそうな雰囲気だ。
 雨が降ってきたら木陰で雨宿りをし、晴れたら走る。そんな、晴耕雨読のようなサイクリングをして走り続けた。

 時々の晴れ間に現れる不思議な瞬間

 聞くところによると、日本ではこのようなお天気雨は珍しいが、ヨーロッパでは頻繁にあるとのこと。 衛星写真で地球の外から見ると、等間隔に浮かんだ玉状の雲が動いていくとこのような天気になるという。
雨は数十分続く、そして雨脚が弱くなると太陽が辺りを照らし出す。そのたったの数秒間の映り変わりが、なんとも美しい 瞬間なのである。「限りがある故に美しい」、人間の若さと同じだ。

 なんとホテルにバスタブが付いているではないか  

 午後1時過ぎに、ムーズ渓谷で最も美しい所と言われる「ムーズのダム」を越えた。ちょっと、足を延ばして レバン(Revin)の街まで行ってみることにした。
 午後2時半、今日の宿に向かって走り始めた。距離にして50kmはある。これは結構長い。 辛いのは、自転車に泥除けが付いていないので、高速で走ると水を跳ね上げてしまうことだ。だから、時速10 km程度でしか走れない。ゆっくり走りだ。
それに、時折の雨で、走りは中断する。 今の季節、暗くなるのが遅いから、ホテル着がある程度遅くなってもよいが、早く着きたい気持ちも強い。  朝の10時から、ずっと走りつめである。
そして苦労して、午後7時半、なんとかホテルに着いた。天の助けか、ホテルには、なんとバスタブが付いていた。
なんと、ラッキーなことだろう。熱い風呂に入り終え、途中で買ってきたワインを飲む。これは最高だ。
 外は、長い黄昏が続いている。ゆっくり、でもしだいに暗くなっていく景色を眺めつつ、時間を過ごした。