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日付:2011年5月29日
場所: ノートルダム・クローシス教会: (オートアルプ県:05)
訪問地: Molines-en-Queyras, Saint véran, Notre-dame de Clausis, Fort de Queyras, Guillstère, Mont-Dauphin



   残念、アグネル峠(標高2744m)は閉鎖中  

 実は、今回の旅行で、フランス・イタリアとの国境にあるアグネル峠(Col Agnel:標高2744m)を踏破したかった。 ところが、昨日、道路脇の看板で、この峠は、今だ、雪のために閉鎖中とのことだった。 宿泊したホテルは、今の季節、お客が少ないようで、私を含めて2〜3組のようだった。
 朝食は8時から。アルプスの山々が見える最高の席を、朝食用に準備してくれた。 これはありがたい。女将に、「アグネル峠は登れるか」と尋ねた。 「雪のため、残念ながら、登れない」と答えた。今年の7月21日には、ツールド・フランスがある。 その時には、通れるようになっているととの話だった。
 フランス国内の峠は、せっせと除雪をするけど、国境を跨ぐ峠は、どうも後廻しみたいだ。 まあ、夏になれば、自然に雪は解けるので、ゆっくり待っていてもよいのだろう。どうせ、国境の峠だから。
 出発時にホテルの女将は、「良い行程を、(Bon course)」と言って、見送ってくれた。久し振りの良いホテルだった。
 ちなみにホテルの名前は,ムーリン村(Moulines)にあるルシャモア(Le Chamois)だ。

   ヨーロッパ最高地の村を訪ねる  

 サンベラン村(Saint- Véran)は、ヨーロッパで最高地にある村との看板があった。 標高は、2040mだ。フランスの美しい村500選にも選ばれている。アルプスの山々に囲まれた落ち着いた村だ。
 もともとは、近くに銅鉱山があり、それが縁でここに村ができたようだ。 銅鉱山は、村よりもさらに山奥の標高2500 mのところにあるという。
 日曜日の朝、村の中で写真を撮っていたら、ゴミ捨てに来た村人とすれ違った。 その村人は背の高いおじさんで、私の自転車を見て声をかけてきた。 「自転車できたのか。どこから来た。 大変だなあ」と、ひととおりの会話をして、最後は、「がんばってな」と勇気づけてくれた。
 こういう観光地の村人は、観光慣れしていて、あまり話の相手にはなってくれないが、ことサイクリストは別のようだ。


 見事な氷河地形

 サンベラン村(Saint- Véran)に自転車を置いて、ハイキング道を登ることにした。 目的の場所は、村の6km東に拡がる圏谷地形の平原(カール底)だ。地図ではその山奥に教会があるという。 なにか、神秘性を感じる。
 空は、昨日に続いて快晴だ。雲ひとつない。ハイキングする人も少ない。
午後2時、そのカール底に着いた。標高は2400m、アルプスの山々が、目の前に迫る。 そこは、まさに「春の小川」だった。目を閉じて、聞えてくる音に注意した。
 まず、谷を下る水の音、この音は結構、強い。次に風の音、ヒバリらしい鳥の鳴き声が聞こえる。 そしてこれは驚いた。なんと至る所にマルモット(ネズミ科の動物)がいて、それがピユーピユーと鳴くのである。 やかましい程に鳴く。
 体長40cm程のこの小動物は、短い夏の間にパートナーを見つけようとして必死である。

   最後に残ったもの  

 この教会について、自分なりに推測した。なぜ、こんな山奥に教会があるか。 それは、恐らく、どうも近くに銅鉱山があったからだろう。銅鉱山後は、機械類がほったらかし状態である。 その近くに、同鉱山の歴史を書いた看板があった。
看板を、ゆっくり読む。
 鉱山の歴史は、19世紀末に始まり、20世紀の厳しい戦争の時代を経て、1950年代に廃止されたという。 この鉱山からサンベラン村(Saint- Véran)まで、鉱石を背負って出荷したという。 「兵どもの夢の跡」とは、こういうことか。今は、残された教会だけが、鉱山後を見下ろしている。

   帰りたくなくなってしまう  

 風もなく、穏やかで、何か、下界に下がるのがもったいない。