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日付:2011年5月28日
場所: ギルの渓谷: (オートアルプ県:05)
訪問地: Mont-Dauphin, Guillèstre, Gorges du Guil, Fort Queras, Aiguilles, Abriès, Ristolas, Ville Vielle, Molines-en-Queyras



   恐怖のギル渓谷  

 モンドーフィン(Montdauphin)の駅には、定刻通り午前8時前に着いた。 天気は快晴である。絶好のサイクリング日和だ。すぐに自転車を組み立てる。
 駅前の小さなホテルのカフェで、コヒーとクロワッサンを食べる。 クロワッサンが柔らかくて美味しい。なかなかのできだ。すぐに走りだす。
 ギユストル(Guillèstre)の村を抜けるとすぐに渓谷に入る。 ギル渓谷(Gorges du Guil)と呼ばれるこの谷間は、結構な迫力である。 細い道の下は、目もくらむような谷だ。向い側の谷崖には、盆栽のような松が岩間にくっ付いている。 早速の、サイクリングの醍醐味である。
 こういう道をサイクリングしたかったのである。ただし車が頻繁に通るのはいただけない。

   昼間っから、一服だ  

 11時半、ケイラ砦(Fort Queyras)に着く。  ここは景勝地だ。 このケイラ(Queyras)という名前は、この地域周辺を指して使われている地名で、 そもそもこの一帯は、ケイラ地域自然公園と呼ばれている。
 ギユストル(Guillèstre)の村から、ずっと登坂と格闘してきた。喉が渇いた。 このケイラ砦の麓にカフェが一軒あった。幸いにも開いている。店に入って、店主に、ビールを一杯注文する。
 テラスでゆっくり、ビール。こりゃ、最高である。来てみてよかったと、もう反省モードである。

 プライベートサイクリング道なり

 どうもこの地域一帯は、スキーで有名らしい。至る所にスキー場がある。 山の中腹まではゲレンデが拡がっている。 夏は、避暑で、ハイキングに来る人が、パラパラだろうか。ホテルも、ほとんどが今の季節は休業中である。
 車は、数十分に一台程度しか走ってこない。 その間、この広い道が、私個人の独占サイクリング道路である。 日本には、こんなすごい道路はないなあ。
 おまけに周りは、残雪が残るアルプスの山々である。

 すばらしい景色を前にして  

 自転車を置いて、少し歩くことにした。自転車走行と歩行の違いは、写真の撮り易さである。 例えば、ある写真を撮る場合に、自転車の場合には、自転車から降りて撮らなければならないが、 歩行の場合は、撮り放題である。
 美しい山々を見ていると、ついついシャッターを押してしまう。 自然は一瞬だ。すぐに形を変えてしまう。しかし、なんで、こんなに山々が美しいのだろう。

   老体にムチ打って、400mの坂登り  

 午後6時を過ぎた。ここから宿泊地のムーリン村(Moulines)までは、坂道の登りだ。 標高1380メートルから1700メートルまで上がらなければならない。ざっと300メートルの標高差である。 距離にして5km。夕方のこの時間に、この登りは辛い。 若ければ、グッとがまんで最後のお勤めであるが、この歳になった今は大変だ。
 おまけに、今晩のワインとおつまみのハムまで、ちゃっかりと買ってリュックに詰めた。 重量増加である。恐らくムーリン村(Moulines)の街に着くころは、お店が閉まっているとの読みからだ。
 今の季節、午後7時を過ぎないと夕方らしくならない。日差しは強い。
汗だくだくで登りきった。水は500ミリリットルボトルを空にした。 「ホテルに着いたらシャワー浴びて、ワインだ」と自分に言い聞かせて登りきった。