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日付:2011年3月21日
場所: エステレル山塊 (バール県:83)
訪問地: St_Raphaël, Massif de l'Estérel


 海を離れて山へ  

 南仏というと、コートダジュールが有名だ。どうしても海が目立つ。紺碧の海だ。それはそれで良い。
ちょっとヘソを曲げて、山に入った。場所は、エステレル山塊(Massif de l'Estérel)である。 この山塊は、サンラファエル(St_Raphaël)とカンヌ(Cannes)を結ぶ海岸の北に拡がっている。
 標高は高いところで数百メートルで、お手頃な山塊だ。  オートバイと車は、完全にシャッタアウト。移動手段は自転車か徒歩である。月曜日、昨日とはうって変って、 誰もいない。逆に誰もいないと、少し、怖くなる。要は、この大自然を独り占めなのである。  

 なんだ、こんな小さな湖か

 この山塊の中央に湖がある。名前はエキュレイル湖(Lac de l'Ecureuil)、動物のリスを意味する名前だ。
 地図上で、この湖を見たとき、山々に囲まれた深い湖を連想した。 ところが、たどり着いてわかった。そこにあったのは、小さな水溜りだった。
これには、若干、失望した。
 湖のほとりで休憩していると、3人組みのハイカーが通りかかった。そのうちの一人の男性が、声かけてきた。「1万分1のスケールの 地図を持っているか?」と聞いてきた。  「残念ながら、自分が持っているのは、10万分の1の地図だよ」と答えた。その男性は、なるほど、と言って納得した。  年寄り3人のウィークデイ・ハイキングである。人生、楽しんでいるなあ。見習わなくっちゃ。    

 松とコルクの木が拡がる  

 すこし、薄雲が空にかかったが、高い所からだと遠くまで見渡せる。  人間の手が入っていない大自然が目の前にドンと拡がる。
 数日前、フランスがリビヤに軍事介入した。その影響か、時々、戦闘用ヘリコプターやミラージュ戦闘機が、爆音を 残して頭の上を飛び去る。「国破れて山河あり」ではないが、何か、切なさを感じる風景である。

 道を遮る小川で、自転車掃除  

 この山塊では、ところどころにで小川が流れ、時におかまいなしに道路を横切っている。
 実は、こういう場所を、しばらく前から探していたのである。なぜかと言えば、自転車の掃除が可能だからだ。
 今日は、ちょっと、大がかりにだ。持っている歯ブラシをお釈迦にして、その歯ブラシで自転車を磨いた。  あまり、自転車の掃除が好きではない性質なので、ここぞとばかり、しっかりと付着した泥を落とした。  そして最後は、この水の流れる道路を何度も往復して、仕上げた。数か月ぶりの掃除である。
 ところで、ハイカーがこんな道に出くわしたら、どうするのだろう。靴も靴下も脱いで、素足で渡るのだろうか。 それとも、強硬突破かな。  

 カフェでビールを飲みながら時間つぶし  

 帰りの電車の出発時刻は午後6時半だ。サントラファエル(St_Raphaël)の街には午後5時前に帰ってきた。
 しばらく、海岸を自転車で散歩し、そして一軒のカフェに入った。ゆっくりと時間つぶしである。 この瞬間がとても好きだ。走り終えた心地よい疲れを感じる。冷たくはない微風が吹く。
 こんなところに、住んでみたいと、ほんとうに思った。