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日付:2010年6月6日

場所:フランス ピレネー・アトランティック県
訪問地: Saint Pèe-sur-Nivelle, Ibarron, Ainoha, Dantxannea, Sare, Ascain, Herboure, Hendaye, Socca, Ciboure, Saint-Jean-de Luz, Gué Bidart, Biarritz


  (1) 〜なんと雨が降り出した〜
 寝る前に観たバスク地方の天気予報は雨。夜が明けて窓の外を見たら雨。強く降っている。 でも、走らなければ前に進まない。スペインとの国境の町近くのエイノホー(Ainoha)の村へ。 村は、フランスからスペインに抜ける車でごったがえしていた。
  観光案内書に紹介されると、村も素朴さを失ってしまう。 村の中は、観光客と観光客相手のお店ばかりが目につく。少し幻滅。 村はずれのカフェで、ビールを一杯。そして、そうそうと退散だ。 やっぱり、雨はよくない。遠くの山々に靄がかかり視界が悪い。景色が楽しめない。

 (2) 〜山の山麓に「高速鉄道反対!」〜
 バスク地方を走ると、「LGV non」と書かれたスティカーをよく見かける。高速鉄道(LGV)反対の意思表明である。 「LGV non」を、至る所で見つける。例えば、家の門の前、道路脇の立て看板、これぐらは、まあまあ、普通。
 ところが、村のメインストリートの上の横断幕や舗装道路上への記載、これは交通表示と間違ってしまうのではと心配するのは、私だけか。
  極めつけは、山の木々を切っての「LGV反対」表示。これにはすごい。腰が抜けるほど驚いた。写真は、アスカン(Ascain)村の北山麓に描かれた、反対表示、 これは大きいよ。衛星写真でも、しっかり、わかるはずだ。

 (3) 〜自転車に異変、大変だ〜
 午後2時を過ぎて、山から海に進路を変える。海の近くは、太陽も時々見られる天気。海岸沿いの美しい眺めが楽しめる。
 コテ・バスクと呼ばれる海岸沿いを走る。実はこのとき、自転車に異変が起きていた。下り坂を高速で走ると、タイヤが微妙に 揺れるのである。ちょうど、スポークが緩んでいる症状である。でも、スポークを観察しても、どこも悪くない。
 よくよく調べると、タイヤの側面が、切れ始め、中のチューブが見える状態になっていた。これは重傷である。 パンクには至らないが、タイヤのバランスが崩れているのである。下り坂は注意しないといけない。 パンクも時間の問題だ。ああ、なんとかしなければ、昨日、ちょっと、無理したかなあ。この自転車で、峠登りは、 無理かも。ああ、どうしよう。

(4) 〜高台から海を眺めて考えた〜
 傷ついた自転車を大切にしつつ、また疲れた足の筋肉をいたわりつつ、今回の旅の終点のビアリッツ(Biarittz)の 海岸に着いた。時間は、午後6時。
  高台では、大西洋から吹きつける涼しい風が心地良い。多くの人が、お酒を飲んで談笑。わたしは、一人寂しく、 ビールを飲む。海岸から離れた場所で遊ぶサーファーの技を見る。なにか、心地良い疲れと、ビールの酔いがまわり、心が どことなく落ち着く。
 ビアリッツ海岸、避暑地、こんなところで余生を過ごせたら、どんなに良いことだろう。

  (5) 〜夕焼け空と旅の終わり〜
 この季節、ヨーロッパの日没は遅い。午後9時半で、やっと太陽が沈んだ。  海岸近くのレストランは、日曜だというのに繁盛している。そして、多くの人が、夕日を観ながら、食事を楽しむ。  夜行列車の出発は午後10時53分。私は、海岸を後にして、4キロメートル離れたところにある鉄道駅に向かった。
 疲れの倦怠感と旅が終わってしまった寂しさ、夕焼けの赤が、なぜか切ない。