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日付:2010年5月29日
場所:フランス セーヌエマルヌ県
訪問地: Ozoir-La-Ferrière, Forêt domaiale d'Armainvilliers, Pontcarré, Ferrières-en-Brie, Forêt regionale de Ferrières, Favières, Tournan-en-Brie

 肌寒い。空は、どんより曇り空。


 オゾワー(Ozoir-La-Ferrière)の駅前で、自転車を組み立てていた。すると、変なおっさんが寄ってきて、「私の自転車に乗らせてくれ」と声をかけてきた。 「私の〜」の意味がよくわからなくて、ポケーとしていたら、「ちょっとだけでよい。少し、ここらを走らせてくれ」と催促された。「いやだ」って言ったら、今度は、輪行袋を触ってきた。 「さわらないでくれ」と強く言うと相手は諦めた。少し、頭のネジが緩んだ人間が多いんだよね、なぜか駅前は。 しばらくすると、このおじさん、どこからもってきたのかギターを伴奏に歌い始めた。まあまあ、歌はうまい。 駅前を通る人々は、当たり前の顔をして、変なおじさんの歌には、なんら注意を払うことなく通りすぎていく。不思議な光景だ。

フェリエールの森には無数の小さな池がある。その森の中に、パランツリーという池があり、ここでは釣りが楽しめるらしい。ここで、昼休みを取る。 すると中学生くらいの子供を連れた背の高い頭が少し薄いおじさんの2人組とすれ違った。手に、キノコ用のバスケットを持っていたので、 「キノコをさがしているのですか?」と声をかけた。すると、何かの植物の新芽を採るために森の中を探し回っているとのこと。でも、残念ながら ちらっと見た限りではバスケットの中は空だった。がんばってください。

 数日前に、強い雨が降った。そのせいか森の中の道が、ところどころ荒れていた。この自転車は、悪路の走行はめっぽう弱い。そこで、ゆっくりと歩きながら森を抜けた。すると、平原に出た。ブリー平原と呼ばれる 平坦地が現れた。見渡す限りの平原だ。天気がおもわしくないせいかすれ違うサイクリストの数も少ない。道端にポピーの花が咲き始めている。その赤の花びらが、みどりの 麦畑を背景にずいぶんと映える。

 ファビエール(Favières)は小さな村だ。村の中心に教会と学校を兼ねた役場があり、その近くにラ・テラス(La terrasse)という飲屋兼食堂がある。 ちょうど、2時をまわり喉の乾きを感じた。ということで、ビールを飲みに店に入る。店の中には、50歳を越したであろうか、小太りのおじさんが、テレビを見ながら ビールをカウンターに置いて暇そうにしていた。「ビールを一杯、もらえるか」と尋ねたら、「もちろんだ」と、生ビールをコップに注いでくれた。少し世間話をする。店の奥に、CD起動のジュークボックスがあった。 「へー、こんなジュークボックス見たの初めてだ。誰か使う人がいるか?」って尋ねたら、自分の胸を指差して「俺が使う。」と意味深なことを言った。

 ファビエール(Favières)からツルナン(Tournan)の街までは、道に迷いながらもなんとかたどりついた。途中、牛を放し飼いにしている農家の横を通る。 牛が、草を食べるのをやめて、不思議そうにこちらを眺める。目があった。「なにやってるの、あんた」と声をかけられたのではないかと一瞬ビックとした。ツルナン発パリ行きの 電車はガラガラ。さきほどのビールと心地良い走りの疲れで、座席に座った途端に深い眠りに落ちた。