home

年月日:2002年12月23日(月:祭)
走行ルート:<千葉県大喜多町>
自宅〜乗用車で千葉県君津市の久留里〜市川市月崎〜大多喜町葛藤(養老温泉街)〜筒森〜野田〜大多喜町葛藤〜女ノ倉林道〜大福山〜菅野〜久留里〜アクアラインで自宅
天気:晴
開始:6:50
終了:13:40
走行距離:約40Km
コメント: 21日〜23日の三連休の天気予報は最悪だった。案の定、土・日は、まったく走られなかった。ところが昨夜の天気予報は、「23日は晴れる」と言っていた。と言うことで、今週も、先週の続きで、房総の山を走る。


格好つけて、コヒーを飲むおじさん

 冬の山には霜が降りるせいか、そこら中が濡れている。うっかり、腰も下ろせない。阿武隈を走っている頃は、携帯のイスをリュックに詰めて、走っていた。これは、ひとえに、見晴らしのよい場所を見つけると、そこで、温かいコヒーを飲むためだけだ。

 最近は、持って走る荷物を少なくする方針から携帯イスは持たない。しかし、ちょっと気に入った場所を見つけると、どっしりと腰を下ろして、コヒーを飲みながら思いに耽る。ひどい時は、1時間以上も、そして何杯もコヒーを飲む。今日は、養老のバンガロー村の近くにある吊橋の上だ。夕木川の水が澄んで、とてもきれいだ。

トンネルを抜けると・・。

 養老の街から、南に6Km程離れた筒森という集落に向かう。五万分の一の地図では、実線の道だ。案の定、軽トラックがやっと走れる程度の細道だった。冬の田んぼ道。このうら寂しい雰囲気がサイクリングにとって最高なのだ。このあたり、トンネルが多い。不思議なことに、トンネルを抜けるごとに、世界が変わっていくような錯覚を覚える。

 トンネルを入る前は、どんよりと曇った冬空。ところが、トンネルを抜けると、なんと、そこは、光あふれる別世界が広がっている。ほんの数分で、こんなに変わるものなのだろうか。昨日までの雨が、逆行に照らし出され、幻想的な雰囲気を醸し出していることに驚く。これがすばらしい景色なのだ。

冬の田んぼ道

 空は、雲一つなく晴れ渡った。あまりの落ち着いた景色を前にして、自転車でスーと通り過ぎてしまうのが惜しくなった。どうせ人など来るはずもなかろうと、道の上で横になる。アスファルトの冷たさが、体に伝わってくるのがわかる。日差しが心地よい。目を閉じて、耳を澄ましてみる。聞こえるのは、風が、枯草を揺する音、そして遠くで木々の枝が擦れる音だけだ。恐ろしいほどの静けさだ。

あれあれ、何か、看板に書いてあるぞ。

 筒森から小田代に向かう途中に、渓流の宿「福水」という立派な旅館がある。このあたりは、温泉宿が多いようで、露天風呂を売り物にした看板が目に付く。「福水」の看板にも露天風呂と書かれていた。自転車で走りつつ、「この旅館は、渓流と露天風呂が楽しめるなんて、なんと粋な旅館なのだろう。ちょっと寄ってみようか」と考えた。

 ところが、旅館に近づくにつれて、看板に他の文字が書かれているらしいことに気づいた。なんと、露天風呂の漢字の前に、「まるで」、後に「みたい」が小さな文字で書かれている。通しで読めば、「まるで露天風呂みたい」と読める。つまり、この旅館の風呂は、露天ではないのだ。この違法広告すれすれの、涙ぐましいまでもの客寄せ努力には、思わず笑ってしまった。