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年月日:2002年3月17日(日)
走行ルート:<埼玉県飯能市>
(JR新横浜駅から西武池袋線吾野駅まで輪行)〜東郷公園〜間野〜北川〜林道岩井沢正丸線〜国道299号〜狩場坂〜坂元〜大蔵山〜奥武蔵あじさい館〜(西武池袋線吾野からJR新横浜駅まで輪行)
天気:晴
開始:7:10
終了:15:00
走行距離:約30Km
コメント:   異常に暖かい日々が続いている。桜の開花が記録的な早さだと新聞が騒いでいる。自分自身も、電車の窓から見える最近の景色の変わりようには驚かされる。新緑の葉をたたえた柳、ケヤキの芽吹き、まさに春真っ盛りだ。

 八王寺方面に向かう横浜線の1番電車は、新横浜駅に午前5時3分に着く。それに乗るために午前4時に起床する。ここのところ寒さがゆるんできたことを実感する。厳冬の頃の早朝の走りは、それがほんの数キロメートルであってもほんとうに辛かった。が、いまではかなり楽になった。午前4時40分には新横浜駅に着いた。今日の始まりだ。


砲撃を受けた戦艦「三笠」の甲板
(飯能市 芳延)

 西武池袋線の吾野駅には午前7時前に着いた。まだ、写真を撮るには十分な明るさはない。ゆっくりと秩父市方面に向かって国道299号を走る。国道を走る車両の多さには閉口だ。自転車は、「すみません。隅っこを走らせてください。国道様。」てな感じで走らなければならない。

 1Kmほど走ると「東郷公園」に出くわす。さっそくの道草だ。「東郷」という名前は、最初、地名から取ったと思ったが、案内板を読んだところ、日露戦争で「皇国の荒廃この一戦にあり」と言った、あの東郷平八郎のことだったわかった。神社は、急斜面に建立された立派なもので、階段の多さはすごい。奥の院まで上がるだけで、どうだろう300段は登るのではなかろうか。途中、砲撃を受けた戦艦「三笠」の甲板が展示されており、そのすごさには驚く。当時の造船は、鋲を使っての作業だろうから1隻造るだけでも大変だっただろう。苦労がしのばれる。

障子の引き戸と縁側のある家
(飯能市 岩井沢)

  西吾野から北上して奥武蔵グリーンラインに入ろうかと考えた。北川あたりの集落で、満開の梅の花を眺めながらゆっくりお茶を飲んでいると、地元の人が、「どこからきたの」と聞いてきた。地元の人と話をするのは好きなので、しばらく話をする。どうも北川集落からグリーンラインに登るのはむずかしいらしいことがわかった。

 北川集落の沢の才奥に岩井沢という字があり、そこでなんとも言えないなつかし造りの家を見つけた。障子の引き戸、そして広い縁側を備えた立派な家だ。昭和30年代、このような家は、全国の至るところにあったが、いまでは、ほんとうに少なくなってしまった。もう死んでしまった私の祖父と、こんな縁側に座って、よく将棋を指した。祖父が、いまにも家の陰から元気な姿で、「オイ」と言いながら出てきそうな、そんな家だ。

突然の残雪にビックリ
(飯能市 岩井沢正丸林道)

  あまりの暖かさで、今が3月であることをすっかり忘れてしまっていた。ところが、岩井沢から国道299号に抜ける林道「岩井沢正丸線」を走っていると、突然、道路上に残雪が現れた。これにはびっくり。標高にしたら、300m程度と思うが、さすがに奥武蔵と房総は違う。考えてみたら、昨年の今頃は、北茨城の阿武隈山地を走っていた。ひとたび山道に入れば、残雪は当たり前で、そこらじゅうで見ることができた。

 林道をさらに進むと、すぐにダート道に変わってしまった。これにはまいった。ロード用の細タイヤでは、すぐにパンクしてしまう。それを恐れて歩き押しだ。この辺りの林道沿いは、植林したスギの木だらけだ。季節の風向きからして、この辺りのスギの森は、東京方面へのスギ花粉の大供給地であろう。花粉症の人にとっては、憎きスギの森だ。ところで、逆療法ではないが、この辺りを毎日サイクリングすれば、花粉症も治るのではなかろうかと、くだらないことを真剣に考えながらスギの木が生い茂る林道を歩いた。

枯死してしまった天然記念物のモミの木
(飯能市 吾野)

  「猪狩の大モミ」の木が、西武線の吾野駅と西吾野駅の間に生えているとの情報を、先日訪れた飯能市立郷土館で知った。郷土館には、このモミの木の写真が展示されており、写真に写っているモミの木は、幹の半ば切られた無残なものであった。ところが、今回、訪れてみたら、なんと、その巨木は枯死していた。哀れにも「天然記念物指定」の石碑も、倒されたままで、おまけに大モミの後ろに写っていた「うどん屋」もつぶれていた。

 国道は、アスファルトでしっかりと固められていることから、巨木にとっては、これは辛い条件だ。また、残念にも交通量の多い国道沿いに生えていることから、倒木した時のことを考えて、樹勢の衰えが見え始めたらすぐに切られてしまうのであろう。あわれな巨木だ。天然記念物指定のモミの木のことも考えて、道路を建設してあげればよかったと思うのだが。